この記事では「けりをつける」について解説する。

端的に言えば、けりをつけるの意味は「結論を出して終わりにすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「けりをつける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「けりをつける」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「けりをつける」の意味や語源・使い方まとめ

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けりをつける」は、日常会話でも使われる身近な慣用句ですね。しかし、意味をわかっていても、語源を知らない人が多いでしょう。それでは早速「けりをつける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「けりをつける」の意味は?

まず初めに「けりをつける」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「けりをつける」には、次のような意味があります。

1.結末をつける。決着をつける。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「けりをつける」

2.長い間の懸念事項であった物事の結末がつく。(他動表現は「けりをつける」)

出典:新明解国語辞典(三省堂)「けりがつく」

上記のように、「けりをつける」とは、何かしらの問題や懸念事項に決着をつける、と言う意味です。ただ単に決着をつけると言うより、容易には解決できないような問題や、懸念している期間があってやっと決着をつけると言う意味合いですね。

また、「けりがつく」と言う活用もあり、こちらの言い回しは、決着がつく、と言う意味の自動詞です。

「けりをつける」の語源は?

次に「けりをつける」の語源を確認しておきましょう。

「けり」と言う言葉を聞いた事があるでしょうか。おそらく、古文や和歌、俳句などの古典文章で、だれもが聞いた事があると思います。文章や歌の終わりにつく「~けり」のことです。この「けり」は助動詞で、「…だった」「…だったそうだ」「…だったのだなあ」と言う意味で使われていました。そして特に和歌においては、「…だったのだなあ」と言う詠嘆の意味で、句末に付けられることがとても多かったのです。

このように、「けり」が和歌の末尾によく使われることから、結末をつける、終わりにする、と言う意味の慣用句「けりをつける」が生まれたのですね。

\次のページで「「けりをつける」の使い方・例文」を解説!/

「けりをつける」の使い方・例文

それでは「けりをつける」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.記者として長年追ってきた汚職事件の裁判が終わり、ようやくけりをつけることができそうだ。
2.今の彼女と出会うことができて、引きずっていた過去の恋愛にけりをつけることができた。
3.多くの政治家を巻き込み、議論を呼んだ不祥事だったが、ここにきてやっとけりがついた。

上記のように「けりをつける」は、様々なシチュエーションで、決着をつけることが困難だったことを終わりにする、と言う意味で用いられます。例文は、「けりをつける」を用いることが多いシチュエーションを選んでみました。

「けりをつける」は、例文1のように、解決まで時間がかかった事柄や、例文2の恋愛においての揉め事を終わらせる時などに、よく使われます。また、例文3の、議論や争論など、なかなか話がまとまらなかった話し合いが決着することに使われる事も多いでしょう。

「けりをつける」の類義語は?違いは?

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「けりをつける」の類義語には「かたをつける」「幕引きをする」などの慣用句が挙げられます。

その1「かたをつける」

「かたをつける」は漢字では「方をつける」と書きます。一般的にはひらがな表記が多いでしょう。

「かたをつける」も、「けりをつける」と同じく、決着をつける始末をつける、と言う意味の言葉です。はっきりとした違いはないのですが、「かたをつける」はお金の問題を解決する際にはよく使われます。また、「かたをつける」も「けりをつける」と同じく、勝負事にもよく使わるでしょう。

\次のページで「その2「幕引きをする」」を解説!/

その2「幕引きをする」

「幕引きをする」は「まくひきをする」と読みます。「幕引き」とは、演劇などの最後に、幕を引いて芝居などを終えることです。このことから、物事を終わりにする、結末をつけると言う意味で、「幕引きをする」と言う慣用句になりました。

「けりをつける」が論争や懸念事項、喧嘩などの決着をつけることを意味するのに対して、「幕引きをする」は単に、終わらせると言う意味合いが強い慣用句です。簡単に「幕を引く」という言い方もあります。

「けりをつける」の対義語は?

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「けりをつける」の反対の意味は「けりをつけられない」と言うことですから、「折り合いがつかない」「埒が明かない」などが対義語としてふさわしいでしょう。どちらも「けりをつける」と同じく慣用句です。

その1「折り合いがつかない」

折り合いがつかない(おりあいがつかない)」は、交渉などの場面によく使われ、相手との話がまとまらない時に使われる言葉です。

「折り合い」とは、双方の意見がまとまると言う意味ですね。よく、人の意見を受け入れてくれることを「折れてくれる」などと言いますが、このように「折る」には「受け入れる」と言う意味合いがあるのです。

会議などの話し合いがまとまらず、「けりがつかない」と言う際に「折り合いがつかない」と言い換えることができるでしょう。

その2「埒が明かない」

埒があかない」は「らちがあかない」と読みます。

「埒」は、あまり日常で用いられる言葉ではありませんが、競馬場など、馬の居る場所では使われている専門用語です。「埒」とは馬場において、馬を囲う柵を指します。つまりゲートのことですね。この柵と言う意味が転じて、物事の区切り、と言う意味が生じたと言われています。

このことから「埒が明かない」は、解決してほしい物事の区切りがつかないと言う意味の慣用句になりました。物事が進まず、収集がつかないと言うことですから、「けりをつける」の対義語と言えるでしょう。

また、「埒」を用いた表現は意外と多く、今ではあまり使われませんが「埒があく」は、物事が進み区切りがつく、と言う意味。「埒外」は範囲外、「埒内」は範囲内。「埒を越える」は、道理を反する、と言う意味です。

「けりをつける」を使いこなそう

この記事では「けりをつける」の意味・使い方・類語などを説明しました。

由来の項目で説明した通り、「けり」は俳句や短歌の末尾によく用いられる古語でしたね。「けり」が俳句の終わりに多く用いられることから、終わりにする、決着をつけることを「けりをつける」と言うようになったのです。

「けりをつける」は日常会話でも使われる身近な言葉ですが、語源を知ると、さらに理解が深まりますね。慣用句は、本来の言葉の意味とは違う意味を持つので、覚えるのが大変に思えますが、語源を知ると簡単に覚えられるでしょう。

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【慣用句】「けりをつける」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「けりをつける」について解説する。

端的に言えば、けりをつけるの意味は「結論を出して終わりにすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「けりをつける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「けりをつける」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「けりをつける」の意味や語源・使い方まとめ

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けりをつける」は、日常会話でも使われる身近な慣用句ですね。しかし、意味をわかっていても、語源を知らない人が多いでしょう。それでは早速「けりをつける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「けりをつける」の意味は?

まず初めに「けりをつける」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「けりをつける」には、次のような意味があります。

1.結末をつける。決着をつける。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「けりをつける」

2.長い間の懸念事項であった物事の結末がつく。(他動表現は「けりをつける」)

出典:新明解国語辞典(三省堂)「けりがつく」

上記のように、「けりをつける」とは、何かしらの問題や懸念事項に決着をつける、と言う意味です。ただ単に決着をつけると言うより、容易には解決できないような問題や、懸念している期間があってやっと決着をつけると言う意味合いですね。

また、「けりがつく」と言う活用もあり、こちらの言い回しは、決着がつく、と言う意味の自動詞です。

「けりをつける」の語源は?

次に「けりをつける」の語源を確認しておきましょう。

「けり」と言う言葉を聞いた事があるでしょうか。おそらく、古文や和歌、俳句などの古典文章で、だれもが聞いた事があると思います。文章や歌の終わりにつく「~けり」のことです。この「けり」は助動詞で、「…だった」「…だったそうだ」「…だったのだなあ」と言う意味で使われていました。そして特に和歌においては、「…だったのだなあ」と言う詠嘆の意味で、句末に付けられることがとても多かったのです。

このように、「けり」が和歌の末尾によく使われることから、結末をつける、終わりにする、と言う意味の慣用句「けりをつける」が生まれたのですね。

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