この記事では「ご相伴に預かる」について解説する。

端的に言えばご相伴に預かるの意味は「おこぼれで恩恵をうける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「ご相伴に預かる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「ご相伴に預かる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ご相伴に預かる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「ご相伴」の読み方は「ごしょうばん」。漢字で書くと「御相伴に与る」となります。

「あずかる」には「預かる」の字を使う人が多いようですが、正しくは「与る」ですよ。「与る(あずかる)」は常用漢字表にない読み方のため、新聞ではひらがなで表記します。ここでもそれにならい、ひらがなで表記しますね。

「ご相伴にあずかる」の意味は?

「ご相伴にあずかる」の意味を知るために、「相伴」と「あずかる」の意味を調べましょう。「相伴」「あずかる」には次のような意味があります。

1.連れ立って行くこと。また、その連れの人。
2.饗応の座に正客の連れとして同席し、もてなしを受けること。または、人の相手をつとめて一緒に飲み食いをすること。また、その人。
3.他とのつり合いや行きがかりで利益を受けること。また、他の人の行動に付き合うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「相伴」

1.物事にかかわりをもつ。関係する。関与する。
2.主に目上から、好意の表れとしてあることを受ける。こうむる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「与る(あずかる)」

「ご相伴にあずかる」とは、おこぼれで主に目上の人からの恩恵をうけることです。「相伴」の3の意味と「与る(あずかる)」の2の意味から成っていると考えられます。「お褒めにあずかる」の「あずかる」ですね。

おこぼれで得をする」というニュアンスを含むのがポイント。例えば、職場でバレンタインチョコをもらってきたお父さんがいたとしましょう。そこへ現れ「おいしそう、ちょっともらっても良い?ありがとう、いただきまーす」とチョコをつまむ娘。これを娘の立場からあらわすと「ご相伴にあずかる」となるのです。

「ご相伴にあずかる」は謙譲の表現にも使います。例えば、自分の立場では参加できないような格調高い催しに、誰かのツテでお呼ばれしたとき。「この度はご相伴にあずかり、ありがとうございます」などと使います。「自分のようなものがおこぼれで参加させていただき光栄です」という意味ですね。

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「ご相伴にあずかる」の語源は?

次に「ご相伴にあずかる」の語源を確認しておきましょう。「相伴」には昔から「連れの人」という意味があります。室町時代には、宴会や外出などで将軍につき従う人を「御相伴衆」といいました。茶道では、招待された客の中で代表となる人を正客と呼びますが、それ以外の客のことを「相伴客」とよびます。

実は「御相伴」の読み方は、「ご相伴」でも「お相伴」でも良いのです。通常は音読みの言葉には「ご」、訓読みの言葉には「お」がつくため、「ご相伴」が正しいともいえます。しかし「御都合」を「ご都合」とも「お都合」とも読むように、例外があるのですね。「御相伴」も例外のひとつです。

「あずかる」の元の言葉は「あづかる」。鎌倉時代に成立した平家物語では「神明の加護にあづかり」と使われています。「神のご加護をいただいて」という意味です。現代の「あずかる」と同じ「目上の人から恩恵を受ける」という意味で使われていますね。

「ご相伴にあずかる」の使い方・例文

「ご相伴にあずかる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.暇してるという先輩にお供して構内でお茶していたところ、先輩の知り合いから「野菜を大量消費するために鍋するけど来る?」と連絡が来て、僕もご相伴にあずかりご馳走になった。
2.先日は貴重な演舞の奉納のご相伴にあずかり、まことにありがとうございました。1000年続く文化におそれ多くも触れる、またとない経験となりました。
3.俺の上司、社長に招待されて、大自然に囲まれた別荘でめっちゃイイ酒を飲ませてもらったんだって。俺もご相伴にあずかりたいなぁ!
4.本日もご来店なのね。いつも来てくれてうれしいわ。あら、私も飲んでいいの?まだお客さんも少ないし、ご相伴にあずかっちゃおうかしら。

例文1の「ご相伴にあずかる」は、「おこぼれで恩恵を受ける」という意味です。登場するのが「後輩」でも同じように使って問題ないでしょう。「目上の人から恩恵を受けたように、あえてかしこまって言う」という風にも使えます。

例文2の「ご相伴にあずかる」は謙譲の表現です。なかなか得られないような体験をさせてもらったことに対し、「私のようなものが」という意味を添えて相手を敬っています。

例文3の「ご相伴にあずかりたい」は「自分もおこぼれで恩恵を受けたい」という意味ですね。本人に直接「私も行きたいです」と伝えるときにも「私もご相伴にあずかりたいものです」などと使います。

例文4は少し変わった使い方です。この「ご相伴にあずかっちゃおうかしら」を分かりやすくいうと「お相手しますね」ということ。店の主人という立場を考えると「おこぼれでいただいちゃおうかしら」ではつじつまが合わないのですね。

「ご相伴にあずかる」の類義語は?違いは?

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「ご相伴にあずかる」の類義語には「ご馳走になる」があげられます。

\次のページで「「ご馳走になる」」を解説!/

「ご馳走になる」

「ご馳走になる」とは、食事を振る舞ってもらったり、おごってもらったりすることです。現代の「ご相伴にあずかる」は、ズバリ「おこぼれでゴチになる」という意味で使うのがほとんどではないでしょうか。「ゴチになる」は「ご馳走になる」こと。「ご相伴にあずかる」イコール「ご馳走になる」ととらえても、おそらく問題ないでしょう。

「おこぼれで」とは、自分はついでの客であるという意味です。「ご馳走になる」は「おこぼれで」という意味を含まないため、自分だけが誘われた1対1のディナーでも、当然「ご馳走になる」と使いますよ。

「ご相伴にあずかる」の英訳は?

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「ご相伴にあずかる」の英訳には「share」を使います。

「share」

「share」は「分配する」「共有する」という意味。日本語でも「シェアする」と使うのでイメージしやすいですね。「ご相伴にあずかる」の概念は「共有する」という表現であらわすことができます。

シーンによっては別の表現もありますよ。例で紹介します。

I shared the proceeds.
(私は利益を共有した。= 利益のご相伴にあずかった。)

I dined with Mr. Yamada at his expense.
(私は山田さんにご馳走してもらった。= 食事のご相伴にあずかった。)

I would like to join you in next time.
(次回は私もご相伴にあずかりたいものです。)

「ご相伴にあずかる」を使いこなそう

この記事では「ご相伴にあずかる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ご相伴にあずかる」は「おこぼれで恩恵をうける」という意味です。「ご相伴にあずかりありがとうございました」と使うと、「私のようなものが参加させていただき」という謙譲の表現になります。

お土産のお菓子をひとつ「よかったらあなたもどうぞ」とついでにもらったくらいでも、「ご相伴にあずかる」のは嬉しいものです。しかし、おこぼれをギラギラとねらい過ぎるのは良くないですよ。

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国語言葉の意味

「ご相伴に預かる」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

「ご相伴にあずかる」の語源は?

次に「ご相伴にあずかる」の語源を確認しておきましょう。「相伴」には昔から「連れの人」という意味があります。室町時代には、宴会や外出などで将軍につき従う人を「御相伴衆」といいました。茶道では、招待された客の中で代表となる人を正客と呼びますが、それ以外の客のことを「相伴客」とよびます。

実は「御相伴」の読み方は、「ご相伴」でも「お相伴」でも良いのです。通常は音読みの言葉には「ご」、訓読みの言葉には「お」がつくため、「ご相伴」が正しいともいえます。しかし「御都合」を「ご都合」とも「お都合」とも読むように、例外があるのですね。「御相伴」も例外のひとつです。

「あずかる」の元の言葉は「あづかる」。鎌倉時代に成立した平家物語では「神明の加護にあづかり」と使われています。「神のご加護をいただいて」という意味です。現代の「あずかる」と同じ「目上の人から恩恵を受ける」という意味で使われていますね。

「ご相伴にあずかる」の使い方・例文

「ご相伴にあずかる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.暇してるという先輩にお供して構内でお茶していたところ、先輩の知り合いから「野菜を大量消費するために鍋するけど来る?」と連絡が来て、僕もご相伴にあずかりご馳走になった。
2.先日は貴重な演舞の奉納のご相伴にあずかり、まことにありがとうございました。1000年続く文化におそれ多くも触れる、またとない経験となりました。
3.俺の上司、社長に招待されて、大自然に囲まれた別荘でめっちゃイイ酒を飲ませてもらったんだって。俺もご相伴にあずかりたいなぁ!
4.本日もご来店なのね。いつも来てくれてうれしいわ。あら、私も飲んでいいの?まだお客さんも少ないし、ご相伴にあずかっちゃおうかしら。

例文1の「ご相伴にあずかる」は、「おこぼれで恩恵を受ける」という意味です。登場するのが「後輩」でも同じように使って問題ないでしょう。「目上の人から恩恵を受けたように、あえてかしこまって言う」という風にも使えます。

例文2の「ご相伴にあずかる」は謙譲の表現です。なかなか得られないような体験をさせてもらったことに対し、「私のようなものが」という意味を添えて相手を敬っています。

例文3の「ご相伴にあずかりたい」は「自分もおこぼれで恩恵を受けたい」という意味ですね。本人に直接「私も行きたいです」と伝えるときにも「私もご相伴にあずかりたいものです」などと使います。

例文4は少し変わった使い方です。この「ご相伴にあずかっちゃおうかしら」を分かりやすくいうと「お相手しますね」ということ。店の主人という立場を考えると「おこぼれでいただいちゃおうかしら」ではつじつまが合わないのですね。

「ご相伴にあずかる」の類義語は?違いは?

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「ご相伴にあずかる」の類義語には「ご馳走になる」があげられます。

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