「ご相伴にあずかる」の語源は?
次に「ご相伴にあずかる」の語源を確認しておきましょう。「相伴」には昔から「連れの人」という意味があります。室町時代には、宴会や外出などで将軍につき従う人を「御相伴衆」といいました。茶道では、招待された客の中で代表となる人を正客と呼びますが、それ以外の客のことを「相伴客」とよびます。
実は「御相伴」の読み方は、「ご相伴」でも「お相伴」でも良いのです。通常は音読みの言葉には「ご」、訓読みの言葉には「お」がつくため、「ご相伴」が正しいともいえます。しかし「御都合」を「ご都合」とも「お都合」とも読むように、例外があるのですね。「御相伴」も例外のひとつです。
「あずかる」の元の言葉は「あづかる」。鎌倉時代に成立した平家物語では「神明の加護にあづかり」と使われています。「神のご加護をいただいて」という意味です。現代の「あずかる」と同じ「目上の人から恩恵を受ける」という意味で使われていますね。
「ご相伴にあずかる」の使い方・例文
「ご相伴にあずかる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.暇してるという先輩にお供して構内でお茶していたところ、先輩の知り合いから「野菜を大量消費するために鍋するけど来る?」と連絡が来て、僕もご相伴にあずかりご馳走になった。
2.先日は貴重な演舞の奉納のご相伴にあずかり、まことにありがとうございました。1000年続く文化におそれ多くも触れる、またとない経験となりました。
3.俺の上司、社長に招待されて、大自然に囲まれた別荘でめっちゃイイ酒を飲ませてもらったんだって。俺もご相伴にあずかりたいなぁ!
4.本日もご来店なのね。いつも来てくれてうれしいわ。あら、私も飲んでいいの?まだお客さんも少ないし、ご相伴にあずかっちゃおうかしら。
例文1の「ご相伴にあずかる」は、「おこぼれで恩恵を受ける」という意味です。登場するのが「後輩」でも同じように使って問題ないでしょう。「目上の人から恩恵を受けたように、あえてかしこまって言う」という風にも使えます。
例文2の「ご相伴にあずかる」は謙譲の表現です。なかなか得られないような体験をさせてもらったことに対し、「私のようなものが」という意味を添えて相手を敬っています。
例文3の「ご相伴にあずかりたい」は「自分もおこぼれで恩恵を受けたい」という意味ですね。本人に直接「私も行きたいです」と伝えるときにも「私もご相伴にあずかりたいものです」などと使います。
例文4は少し変わった使い方です。この「ご相伴にあずかっちゃおうかしら」を分かりやすくいうと「お相手しますね」ということ。店の主人という立場を考えると「おこぼれでいただいちゃおうかしら」ではつじつまが合わないのですね。
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