その2「豹死留皮」
「豹死留皮」は「ひょうしりゅうひ」と読み、「死後に名声を残す」という意味の四字熟語です。動物の豹は死後に美しい毛皮を残すということから、そのような意味を表すようになりました。「竹帛に垂る」は功績を残した人物の生死を問わず使えるのに対し、「豹死留皮」はあくまで「死後に」というニュアンスが強く残っています。
「豹死留皮」の出典は『新五代史』の「王彦章伝」から。『新五代史』とは中国の北宋時代の欧陽脩によって書かれた、五代十国時代の歴史書のことで、「王彦章」とはその時代に活躍した武将のことです。その王彦章が残した「豹死して皮を留め、人は死して名を留む」という言葉から、この四字熟語は来ています。
その1「馬の骨」
「馬の骨」とは素性のはっきりしない者をあざけって言った言葉です。「どこの馬の骨とも知れない人」などといった言い方をされることが多いですね。「馬の骨」の語源は中国の「一に鶏肋(けいろく)、二に馬骨」という言い回しから来ています。中国では鶏肋(鶏の肋骨)や馬の骨が役に立たないものの代表格であったことから、「馬の骨」が役立たずな者、素性の知れない人を表す言葉となりました。
「竹帛に垂る」ような人物が大変立派であるのに対して、「馬の骨」はまさに対照的な存在であるといっていいでしょう。ただし、「馬の骨」はネガティブなニュアンスが強い蔑称であるため、日常の場面で使う際には注意が必要です。
その2「うだつが上がらない」
「うだつが上がらない」は「なかなか出世ができない」「金銭的に恵まれた状況にならない」といった意味を持つことわざです。「うだつ」とは町家などの建物の間に、外側に張り出して設けられた袖壁のことで、漢字では「卯建」「梲」「宇立」などと書かれます。もともとは防火用として作られた壁だったのですが、これが次第に装飾的な意味合いを持つようになり、裕福な商家などで競うように立派な「うだつ」が上げられるようになりました。このことから「うだつが上がらない」は出世できない、儲からないといった状況を表現することわざとなったのです。
「竹帛に垂る」を使いこなそう
この記事では「竹帛に垂る」の意味・使い方・類語などを説明しました。この記事で初めて「竹帛に垂る」ということわざを知った人も多いかと思いますが、たとえマイナーなことわざでも知っているか知らないかで表現の幅が大きく変わってきます。Study-Zではことわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などといった日本語の意味を解説する新着記事がたくさん掲載されていますので、興味のある方はぜひサイト内でページ検索をして、国語の知識を増やしていってください。もしかしたら将来、「竹帛に垂る」ような偉大な人物になれるかもしれませんよ。