この記事では「竹帛に垂る」について解説する。

端的に言えば竹帛に垂るの意味は「歴史に名を残す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「竹帛に垂る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「竹帛に垂る」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「竹帛に垂る」ということわざをご存じですか? 読み方は「ちくはくにたる」です。ぱっと見では読める人は少ないでしょうし、あまり聞きなれない言葉ですね。しかし、意味をきちんと理解して正しい場面で使うことができれば、それだけで自慢できちゃいそうです。この記事ではそんな「竹帛に垂る」について解説していきますよ。それでは早速「微に入り細を穿つ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「竹帛に垂る」の意味は?

「竹帛に垂る」ということわざは、どういった意味を持つのでしょうか。辞書を紐解いてみると、次のような意味が書かれていました。

歴史に名を残す。名を竹帛に垂る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「竹帛に垂る」

辞書的な意味としては単純で「歴史に名を残す」。「名を竹帛に垂る」というような言い方をされることもあります。歴史的な功績を果たした人に対する賛辞としても使われる他、スポーツなどで新しい記録を作った時にも使われるでしょうか。どちらにしろ「歴にし名を残す」ほどの功績は偉大なものであるので、最大級の賛辞として使えそうですね。

「竹帛に垂る」の語源は?

次に「竹帛に垂る」の語源を確認しておきましょう。「竹」とはその名の通り竹のこと、「帛」は見慣れない漢字ですが、絹の布のことを指します。その昔、紙がまだなかった古代中国では竹の札や絹の布に文字を書き、様々なものを記録していました。そのことから「竹帛」という熟語で書物、主に歴史書を意味するようになっています。そして「竹帛」に垂れ下がる、つまり名前が書かれるような人は、歴史に残るような偉大な人物であったことから、「竹帛に垂る」で「歴史に名を残す」という意味になりました。

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「竹帛に垂る」の使い方・例文

それではここで「竹帛に垂る」の正しい使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.かつて戦国時代の武将たちは、誰もが竹帛に垂るような手柄や功名を欲し、命懸けで戦場を駆け回っていた。
2.保存された精選情報を使って登録した関連画像を編集および更新し、一覧をその他の人々にシェアする機能を持ったこのアプリはまさに、竹帛に垂る発明と言って差し支えないだろう。

上記の例文はどちらも「竹帛に垂る」が「歴史に名を残す」という意味で用いられています。「竹帛に垂る」はことわざという性質上、実際に「歴史に名を残した」という断定表現よりも「歴史に名を残すような」という比喩表現で用いられることが多いです。ただし比喩表現とはいえ、後世に名を伝えるほどの偉大な功績という土台があった上で使うのが望ましいでしょう。

「竹帛に垂る」の類義語は?違いは?

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「竹帛に垂る」と似たような意味を持つ言葉はいくつかあります。ここではその一例をご紹介しましょう。

その1「垂名竹帛」「竹帛之功」

「垂名竹帛」は「すいめいちくはく」と読み、「名を竹帛に垂る」をそのまま四字熟語にしたもので、意味は同じく「歴史に名を残す」です。同様の意味の四字熟語として「竹帛之功(ちくはくのこう)」という四字熟語もあります。

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その2「豹死留皮」

「豹死留皮」は「ひょうしりゅうひ」と読み、「死後に名声を残す」という意味の四字熟語です。動物の豹は死後に美しい毛皮を残すということから、そのような意味を表すようになりました。「竹帛に垂る」は功績を残した人物の生死を問わず使えるのに対し、「豹死留皮」はあくまで「死後に」というニュアンスが強く残っています。

「豹死留皮」の出典は『新五代史』の「王彦章伝」から。『新五代史』とは中国の北宋時代の欧陽脩によって書かれた、五代十国時代の歴史書のことで、「王彦章」とはその時代に活躍した武将のことです。その王彦章が残した「豹死して皮を留め、人は死して名を留む」という言葉から、この四字熟語は来ています。

「竹帛に垂る」の対義語は?

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「竹帛に垂る」とは反対の意味を持つ言葉はいくつかあります。ここではその一例をご紹介しましょう。

その1「馬の骨」

「馬の骨」とは素性のはっきりしない者をあざけって言った言葉です。「どこの馬の骨とも知れない人」などといった言い方をされることが多いですね。「馬の骨」の語源は中国の「一に鶏肋(けいろく)、二に馬骨」という言い回しから来ています。中国では鶏肋(鶏の肋骨)や馬の骨が役に立たないものの代表格であったことから、「馬の骨」が役立たずな者、素性の知れない人を表す言葉となりました。

「竹帛に垂る」ような人物が大変立派であるのに対して、「馬の骨」はまさに対照的な存在であるといっていいでしょう。ただし、「馬の骨」はネガティブなニュアンスが強い蔑称であるため、日常の場面で使う際には注意が必要です。

その2「うだつが上がらない」

「うだつが上がらない」は「なかなか出世ができない」「金銭的に恵まれた状況にならない」といった意味を持つことわざです。「うだつ」とは町家などの建物の間に、外側に張り出して設けられた袖壁のことで、漢字では「卯建」「梲」「宇立」などと書かれます。もともとは防火用として作られた壁だったのですが、これが次第に装飾的な意味合いを持つようになり、裕福な商家などで競うように立派な「うだつ」が上げられるようになりました。このことから「うだつが上がらない」は出世できない、儲からないといった状況を表現することわざとなったのです。

「竹帛に垂る」を使いこなそう

この記事では「竹帛に垂る」の意味・使い方・類語などを説明しました。この記事で初めて「竹帛に垂る」ということわざを知った人も多いかと思いますが、たとえマイナーなことわざでも知っているか知らないかで表現の幅が大きく変わってきます。Study-Zではことわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などといった日本語の意味を解説する新着記事がたくさん掲載されていますので、興味のある方はぜひサイト内でページ検索をして、国語の知識を増やしていってください。もしかしたら将来、「竹帛に垂る」ような偉大な人物になれるかもしれませんよ。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「竹帛に垂る」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

「竹帛に垂る」の使い方・例文

それではここで「竹帛に垂る」の正しい使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.かつて戦国時代の武将たちは、誰もが竹帛に垂るような手柄や功名を欲し、命懸けで戦場を駆け回っていた。
2.保存された精選情報を使って登録した関連画像を編集および更新し、一覧をその他の人々にシェアする機能を持ったこのアプリはまさに、竹帛に垂る発明と言って差し支えないだろう。

上記の例文はどちらも「竹帛に垂る」が「歴史に名を残す」という意味で用いられています。「竹帛に垂る」はことわざという性質上、実際に「歴史に名を残した」という断定表現よりも「歴史に名を残すような」という比喩表現で用いられることが多いです。ただし比喩表現とはいえ、後世に名を伝えるほどの偉大な功績という土台があった上で使うのが望ましいでしょう。

「竹帛に垂る」の類義語は?違いは?

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「竹帛に垂る」と似たような意味を持つ言葉はいくつかあります。ここではその一例をご紹介しましょう。

その1「垂名竹帛」「竹帛之功」

「垂名竹帛」は「すいめいちくはく」と読み、「名を竹帛に垂る」をそのまま四字熟語にしたもので、意味は同じく「歴史に名を残す」です。同様の意味の四字熟語として「竹帛之功(ちくはくのこう)」という四字熟語もあります。

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