
「無論」には強いニュアンスがある
「もちろん」など、当然であることを示す言葉の中で、「無論」はかなり強いニュアンスを持っている言葉です。「無論」と言った側がいかに当然と思っているのかを、相当強く表現する言い方になるため、柔らかい言い方をしたいときは「無論」は避けた方が良いでしょう。
言い換えると、どれだけ明らかかを強調したいときは「無論」が強い味方になってくれます。状況に応じて使い分けを行い、伝えたいことを正確に伝えられるようになりましょう。
「無論」は言い切りとして使用されることも
「無論」はしばしば言い切り型で使用されることもあります。問答の状況の中で、「無論」の一単語で台詞が終わってしまうわけです。
たとえば、「Aはこのように扱いますか?」という質問に対し、「無論です」としか返答されないというケースがこれに当たります。この場合、丁寧に言うと「無論あなたの言う通りです」という意味です。しかし、「あなたの言う通りです」の部分は省略しても、前後の流れから相手に伝わっているため、「無論です」とだけ発言します。
言い換えると、現代文などで「無論」とだけ言っているようなセリフがあれば、必ず前後の近い部分に「無論」が指し示す内容が記載されているのです。略されているからといってわからないと慌てず、前後の部分をよく読んでください。
「無論」の類義語は?

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「無論」の類義語は「もちろん/当然/明らかに/明白に/言うまでもなく」などです。基本的には「言うまでもなく当然である」という意味を持ち、かつ指し示す内容が後に続くような言葉が該当します。
上記の例は意味としてはどの言葉もほぼ同じですが、受け取る側の印象やイメージはそれぞれ微妙に異なるものです。どれを選んでも伝わらないということは考えにくいですが、どれがより真意を伝えやすいかは考えて言葉を置き換えてください。
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肯定と打ち切りを同時に持つ「無論」
「無論」には「もちろん/当然」という意味があります。辞書上の意味ではいずれもほぼ同じですが、相手の受け取り方は異なる場合が多いです。特に誰かに何かを質問された場合、「もちろん」と答えるケースと、「無論」と答えるケースでは印象が違うことがわかるでしょう。
質問に対し肯定を返しているという点では共通していますが、「もちろん」と言われると、どことなく質問者を全面的に肯定しているようなニュアンスが多分に含まれます。対して「無論」と言うと、質問の答えには肯定していても、質問者に対する肯定のニュアンスは薄れるのです。声のトーンによっては、「当たり前のことをいちいち聞いて来ないように」と突っぱねているような印象さえ感じるでしょう。
確かに相手を肯定しているはずなのに、どこか否定のニュアンスも混じる。そういった二面性が、「無論」の特徴であり、醍醐味でもあるのです。