この記事では「我が強い」について解説する。

端的に言えば我が強いの意味は「意地っ張り」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「我が強い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「我が強い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「我が強い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「我が強い」の意味は?

「我が強い」には、次のような意味があります。

自分の考えを押し通そうとする気持ちが強い。強情だ。意地っ張りだ。

出典:明鏡国語辞典第三版(大修館書店)「我が強い」

「我が強い」人は自己主張が強く、自分勝手で周りの意見にも耳を傾けず、他人と衝突しがちです。このような性格がわがままな行動になり、他人からマイナス点をつけられる原因になってしまいます。一方このような人はとかく負けず嫌いの傾向にありますから、その特徴をうまく生かせば一見短所と思われる性格も長所に変えることができるのです。

「我が強い」の語源は?

次に「我が強い」の語源を確認しておきましょう。「我が強い」の「我」は通常「自我」のことを指します。自我はオーストリアの精神科医ジークムント・フロイトが新しく定義づけするまでは「自己意識」の意味で使われていました。しかしフロイトが1923年以後、新たな理論を提唱し、自我は意識とは異なるとする概念を発表したのです。「自我はそれ自体、意識されない」とフロイトは語っています。自我が頻繁に行う活動の一つが「防衛」です。つまり人間が軋轢を恐れず、協調性のない言動で「我が強い」と言われる態度を取るのも、すべては自我の防衛本能のなせる心理的反応と言えるでしょう。

\次のページで「「我が強い」の使い方・例文」を解説!/

「我が強い」の使い方・例文

「我が強い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。

1.彼は我が強いから、あなたがいくらアドバイスしても無駄だよ。
2.彼女は我が強い女性だから、素直にお詫びの言葉は期待しないほうがいいよ。
3.我が強いタイプの人間は、相手の意見を否定しがちだ。

「我が強い」人に共通するところは、頑固で周囲の状況に合わせることが苦手な点です。常に価値判断を自分中心に行う傾向にあるため、周りから敬遠される可能性があります。しかし考えようによっては、自己をしっかり持っているともいえ、それがいい方向に働けば学業や仕事でも成功する余地が多分にあるわけです。とはいえそうした感情をコントロールすることも、一人前の大人になるために必要な条件でもあります。

「我が強い」の類義語は?違いは?

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ここでは「我が強い」の類義語を見ていきましょう。「我が強い」の意味がわかれば、おのずと類義語も浮かんできます。

その1「わがまま」

「わがまま」とは漢字で表記すると「我が儘」で、文字どおり自分の思うがままに振る舞うことです。周りの空気を読まず行動しまいがちですから、男女関係でもうまくいかないことが多くあります。「わがまま」な人は相手の感情に鈍感で簡単に人を傷つけてしまいがちです。これでは人間関係がうまくいくはずがありません。相手のことを思いやり、日々の行動に気をつけてください。

\次のページで「その2「身勝手」」を解説!/

その2「身勝手」

「身勝手」も「我が強い」の類義語の一つと言えます。自分の都合や利益だけを考えて行動することで「我が強い」より「わがまま」に意味合いがよく似た言葉です。「我が強い」は相手の主張にかかわらず自分の意見を押し通すことで、「わがまま」や「身勝手」は相手がいる、いないにかかわらず自分本来の性格である点に両者の違いがあります。

その3「自分勝手」

「自分勝手」とは「他人のことは考えず、自分の都合だけを考えて振る舞うこと」で、他人の都合や迷惑を考えない性格を言います。言葉としては「身勝手」によく似ていますが、他人が関連しているかどうかに微妙な違いがあると言えるでしょう。「自分勝手」な人は簡単に嘘をつきますから注意が必要です。さらに人にものを依頼されるのは嫌がりますが、自分が他人にものを頼むことは平気だという点に特徴があります。

「我が強い」の対義語は?

次に「我が強い」の対義語を見ていきましょう。「我が強い」の真逆の言葉はありませんが、類義語から対義語を考えてみました。

その1「素直」

「我が強い」の類義語の一つに「強情」があります。その「強情」の対義語の「素直」は「我が強い」の対義語であるとも言えるでしょう。「素直」にはいろいろな意味があります。「ありのままで飾り気がない」「物の形がまっすぐでねじ曲がっていない」という意味もありますが「我が強い」の対義語として挙げられるのは「性格・態度などが穏やかでひねくれていない」様子です。「素直」な性格の持ち主は、間違いを指摘されたらすぐに認めます。そのような人は他人の意見を聞き入れてどんどん成長していくことでしょう。

その2「従順」

「従順」とは素直で人に逆らわないことですから「我が強い」の対義語と言えるでしょう。「従順」な人は、態度にひねくれたところがなく喜んだり悲しんだりといった感情もストレートに表します。そんな点は一見「我が強い」ようにも見えますが、あくまでも喜怒哀楽の表現に限られているのです。けっして自我を主張するわけではありません。ですから人の言うことは素直に聞きます。その点が長所にも短所にもなり得るのです。

その3「協調的」

「協調的」は「我が強い」の類義語「わがまま」の対義語で、互いに助けあったり譲り合ったりする性格のことです。「協調」とは互いに協力することを意味する名詞で、それに接尾辞「的」をつけることにより傾向や性格を表すことになり「我が強い」の対義語と言えます。「協調的」とはなんでもかんでも唯々諾々と従うことではありません。自分の考えをしっかり持っていて、そのうえで周囲と協力しあうことです。

\次のページで「「我が強い」の英訳は?」を解説!/

「我が強い」の英訳は?

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最後に「我が強い」の英訳を見ていきましょう。

その1「egoistic」

「egoistic」は日本語で「自己本位の」「わがままな」を意味します。日本でも「エゴイズム(利己主義)」「エゴイスト(利己主義者)」という言葉を聞いたことがあるでしょう。そのどれもが日本では「エゴ」の一言で通じます。しかし英語で「ego」と言えば「自負心」「うぬぼれ」「自尊心」を意味し、日本語で使う「エゴ」とは違いますから注意してください。

その2「selfish」

「selfish」は「利己的な」「わがままな」を意味する英語で、皆さんよくご存じの「self(自分自身)」からの派生語です。「勝手なことばかり言うな!」とか「勝手なことばかりするな!」はどちらも「Don't be selfish!」で通じます。「Be quiet!」だけで「静かにしろ!」を意味するのと同じような使い方です。

「我が強い」を使いこなそう

この記事では「我が強い」の意味・使い方・類語などを説明しました。一般的に「我が強い」性格は扱いにくく敬遠されがちです。しかし、なにも考えずに上司の命令を無批判に受け入れる「イエスマン」ばかりではその会社の成長は望めません。学校でも校長の言うことばかり聞いている先生しかいないのでは、児童や生徒の教育に悪影響を及ぼします。ある程度「我が強い」人であることが、これからの社会に求められる人材ではないでしょうか。

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国語言葉の意味

【慣用句】「我が強い」の意味や使い方は?元広報紙編集者がわかりやすく解説!

この記事では「我が強い」について解説する。

端的に言えば我が強いの意味は「意地っ張り」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「我が強い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「我が強い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「我が強い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「我が強い」の意味は?

「我が強い」には、次のような意味があります。

自分の考えを押し通そうとする気持ちが強い。強情だ。意地っ張りだ。

出典:明鏡国語辞典第三版(大修館書店)「我が強い」

「我が強い」人は自己主張が強く、自分勝手で周りの意見にも耳を傾けず、他人と衝突しがちです。このような性格がわがままな行動になり、他人からマイナス点をつけられる原因になってしまいます。一方このような人はとかく負けず嫌いの傾向にありますから、その特徴をうまく生かせば一見短所と思われる性格も長所に変えることができるのです。

「我が強い」の語源は?

次に「我が強い」の語源を確認しておきましょう。「我が強い」の「我」は通常「自我」のことを指します。自我はオーストリアの精神科医ジークムント・フロイトが新しく定義づけするまでは「自己意識」の意味で使われていました。しかしフロイトが1923年以後、新たな理論を提唱し、自我は意識とは異なるとする概念を発表したのです。「自我はそれ自体、意識されない」とフロイトは語っています。自我が頻繁に行う活動の一つが「防衛」です。つまり人間が軋轢を恐れず、協調性のない言動で「我が強い」と言われる態度を取るのも、すべては自我の防衛本能のなせる心理的反応と言えるでしょう。

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