この記事では「出し抜く」について解説する。

端的に言えば出し抜くの意味は「先んじる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「出し抜く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「出し抜く」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「出し抜く」の意味や語源・使い方まとめ

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「出し抜く」という言葉を使った事はあるでしょうか?普段の生活ではあまり経験しないかもしれませんね。一昔前の社会では「出し抜いてなんぼ」のような会社も多かったのですが、学校でも順位をつけるのは望ましくないという風潮なので、最近ではほとんど使われない言葉になってきているかもしれません。今回は「出し抜く」について詳しく解説していきます。

それでは早速「出し抜く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「出し抜く」の意味は?

「出し抜く」には、次のような意味があります。

他人の隙に乗じたり、あざむいたりして自分が先に事をなす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「出し抜く」

「出し抜く」とは「だしぬく」と読み、「他の人が油断している隙に、自分が先に行う事」の意。または「他人をあざむき、他に目を向けさせている間に達成する」事でもあります。何とも小癪なやり方ですね。ですが競争社会では隙を見せた方が負けとなる厳しい世界もあります。結果重視の事柄であれば、これも立派な戦略と言えますよ。

「出し抜く」の語源は?

次に「出し抜く」の語源を確認しておきましょう。「出し抜く」の語源は至ってシンプルです。「出す」の「内から表に出す」と、「抜く」の「内側から引っ張り出す」を合わせて「隠していた物を出して先んじる」の意味の「出し抜く」という言葉が生まれましたよ。

日本では鎌倉時代から使われていた言葉で、鎌倉中期に書かれた教訓説話集の『十訓抄』の中ですでに使われていますよ。歴史を辿ると17世紀まで遡り、劇作家が舞台で使う効果音を他の人に真似された事が始まりとされています。

\次のページで「「出し抜く」の使い方・例文」を解説!/

「出し抜く」の使い方・例文

「出し抜く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.いつも成績で敵わないライバルを出し抜くために、今回は猛勉強をした。
2.画期的なプランを打ち出した結果、他社を出し抜いた
3.仲間にうそをついてまで、出し抜こうとする行動が理解できないな。

3つの例文を挙げてみました。学生時代一度は経験あるのではないでしょうか?どうしても抜けない人がいたり、絶対に負けたくない人がいませんでしたか?そういう相手がいることで自分もモチベーションが上がるのですが、それに気づくのは大人になってからかもしれないですね。例文2は他社との差別化を図る、というビジネスでは不可欠な戦略ですよ。その結果利益をもたらしたのであれば、大成功という事になりますよ。例文3は良くない例を挙げてみました。目的のためなら嘘までついて出し抜こうとする行動は、仲間内でなくても避難される行為ですよ。

このように「出し抜く」という行為は、その行いによって善悪が分かれるという事が分かりますね。

「出し抜く」の類義語は?違いは?

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「出し抜く」という言葉にはどんな類義語があるでしょうか?

その1「抜け駆け」

「抜け駆け」とは「ぬけがけ」と読み、「人を出し抜いて物事を行うこと」の意。この言葉の語源は「戦時中に功績を上げるために、人より先に密かに敵地に攻め入る」ことから、「同じ目標に向かっている集団の中で、いち早く行動を起こして目標を達成する」の意味になりました。ですが後に集団行動においてそういった動きを「裏切り者」と見られ、現在では「卑怯」のニュアンスを強く含む言葉になりましたよ。

他の人の隙をついて先に行う「出し抜く」とは、「他人をあざむく」という点で同じですので類義語としてふさわしいでしょう。

\次のページで「その2「先制」」を解説!/

その2「先制」

「先制」とは「せんせい」と読み、「先手を取ること・機先を制すること」の意。野球でよく「先制点を取る」という言い方をしますね。野球などで表現される場合は、先制点を取ることでゲームの流れを有利に掴むという意味合いになりますが、「事が起こる前に制する」は、まさしく「出し抜く」と同じ意味になるので、「先制」も類義語として適切でしょう。

「出し抜く」の対義語は?

「出し抜く」という行為の反対の意味を持つ言葉を紹介しましょう。

「後塵を拝する」

「後塵を拝する」とは「こうじんをはいする」と読みます。難しい慣用句ですね。初めて聞く人もいるかもしれません。この言葉は、競争において他者に遅れを取って追いかける立場になることから「優れた人に付き従う」の意味を持ちますよ。「他人に先んじられる・人の下風に立つ」の意味もあるので、「出し抜く」の対義語としてふさわしいですね。

「出し抜く」の英訳は?

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「出し抜く」は日本語でも色んな言い換えが出来るので、英語表現もいくつか紹介しましょう。

その1「beat (someone) to the punch」

「beat (someone) to the punch」は、「beat(打ちのめす)」と「punch(パンチ)」からボクシングを連想できますね。ですが本当に誰かを殴るわけではなく「人より先にする」と言いたい時に使われます。「抜け駆け」や「機先を制する」の意味で使うことができますよ。

その2「get the better of」

「get the better of」は「~に勝つ・~をやっつける」の意味で、「優位に立つ」や「~を出し抜く」と言いたい時に使えます。文章の内容によっては「出し抜く」とは少しニュアンスが違ってきますが、「出し抜いて優位に立つ」を表現したいときはこのフレーズを活用しましょう。例文を挙げるので参考にしてください。

\次のページで「「出し抜く」を使いこなそう」を解説!/

「I got the better of him in this test.」

(私は今回のテストで彼を出し抜いた。)

「We beat other companies to the punch with breakthrough plan.」

(画期的なプランで他社を出し抜いた。)

「出し抜く」を使いこなそう

この記事では「出し抜く」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しましょう。「出し抜く」とは相手の隙を狙って先に行うことを言いましたね。また他人をあざむいて他に目を向けさせてる間に行う行為のことでもありますよ。

意味を改めて見ると「裏切り」「薄情」などの言葉がピッタリな行為ですね。基本的には良い意味では使いませんが類義語にもあるように、スポーツの世界では「先制」する事が勝利の近道ですし、完全なネガティブ用語というわけではありませんよ。長い人生の中で、勝負をしないといけない時もありますよね。社会人になれば仲間を出し抜かなければならない時もあるかもしれません。そんな時でも正々堂々と勝負に挑みたいものですね。この記事が参考になれば幸いです。

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国語言葉の意味

「出し抜く」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「出し抜く」について解説する。

端的に言えば出し抜くの意味は「先んじる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「出し抜く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「出し抜く」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「出し抜く」の意味や語源・使い方まとめ

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「出し抜く」という言葉を使った事はあるでしょうか?普段の生活ではあまり経験しないかもしれませんね。一昔前の社会では「出し抜いてなんぼ」のような会社も多かったのですが、学校でも順位をつけるのは望ましくないという風潮なので、最近ではほとんど使われない言葉になってきているかもしれません。今回は「出し抜く」について詳しく解説していきます。

それでは早速「出し抜く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「出し抜く」の意味は?

「出し抜く」には、次のような意味があります。

他人の隙に乗じたり、あざむいたりして自分が先に事をなす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「出し抜く」

「出し抜く」とは「だしぬく」と読み、「他の人が油断している隙に、自分が先に行う事」の意。または「他人をあざむき、他に目を向けさせている間に達成する」事でもあります。何とも小癪なやり方ですね。ですが競争社会では隙を見せた方が負けとなる厳しい世界もあります。結果重視の事柄であれば、これも立派な戦略と言えますよ。

「出し抜く」の語源は?

次に「出し抜く」の語源を確認しておきましょう。「出し抜く」の語源は至ってシンプルです。「出す」の「内から表に出す」と、「抜く」の「内側から引っ張り出す」を合わせて「隠していた物を出して先んじる」の意味の「出し抜く」という言葉が生まれましたよ。

日本では鎌倉時代から使われていた言葉で、鎌倉中期に書かれた教訓説話集の『十訓抄』の中ですでに使われていますよ。歴史を辿ると17世紀まで遡り、劇作家が舞台で使う効果音を他の人に真似された事が始まりとされています。

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