この記事では「皆目」について解説する。

端的に言えば皆目の意味は「全然」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「皆目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読み続けていく中で、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「皆目」の意味や語源・使い方まとめ

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本を読んでいたり、ビジネスシーンなどでよく出てくる「皆目」という言葉の意味をご存じでしょうか。日常生活ではあまり聞き馴染みのない言葉なので、混乱してしまう事もあると思います。言葉の正しい意味と使い方を知ると、表現の幅が広がってとても便利です。それでは早速「皆目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「皆目」の意味は?

「皆目」には、次のような意味があります。

1.あとに打消しの語を伴って、強く否定する気持ちを表す。まるっきり。全然。「皆目見当がつかない」

2.まるまる全部、すっかりの意を表す。あとに否定的な意味・内容のくることが多い。「風眼とやらをわづらひおりまして、両眼ともに―おっつぶして」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「皆目」

「皆目」は「かいもく」と読み、「まるっきり。全然」「まるまる全部」「全く」という意味があります。「皆目見当がつかない」のように、「皆目」のあとに「~ない」と続ける事で、強く打ち消す気持ちや否定を強調する事が出来るのです。他にも、「すっかり」といった意味も持ち合わせています。

「皆目」の語源は?

次に「皆目」の語源を確認しておきましょう。「皆目」という言葉は、元々「ちっとも」という意味を持つ「カイムク」という言葉が、由来ではないかと言われています。この事から、元々はない事を強調したり、何かを否定する際に使う言葉だったことが分かるでしょう。

\次のページで「「皆目」の使い方・例文」を解説!/

「皆目」の使い方・例文

「皆目」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「僕が何故怒ってるか分かるよね?」と彼に聞かれたけれど、その理由は皆目見当がつかず、黙り込んでしまいました。
2.ここ最近体調が悪く、会社も休んでいたのですが、不調の原因が皆目分からないので病院へ向かいます。
3.彼女がこの失敗に関して、責任を感じる必要は皆目ないでしょう。

これらの例文に関して、1つ1つ詳しく見ていきましょう。例文1の「皆目見当(検討】がつかない」とは、「全く想像がつかない」「全くわからない」という意味です。この言い回しは、「皆目」の中でもよく使われるので、覚えておきましょう。「皆目見当(検討)がつかない」という言い回しは、理由が分からない時や困惑しているシーンで使われます。

例文2の「皆目わからない」というのは、原因や理由が全く分からない時に使われる言い回しです。ビジネスシーンでは、プロジェクトや作業が行き詰っている事を意味する事が多いのではないでしょうか。

例文3の「皆目ない」は、「全くない」という意味の言い回しです。「全く」とあるように、そのことに関して確信を持っていたり、自信がある状況で使われます。「全くそんなことはない」と何かの意見を否定するときに、この言い回しはとても効果的です。ビジネスシーンでは使う機会が多くなります。

「皆目」の類義語は?違いは?

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「皆目」には「全然」「全く」などの意味がありました。そんな「皆目」の類義語についても見ていきましょう。

その1「全然」

「皆目」の類義語の1つに「全然」という言葉が挙げられます。「全然」とは、「全く」「まるっきり」「すっかり。全面的に」という意味。「全然納得しています」のように、現代では肯定的な意味合いで使われる事も多いです。しかし、本来は「皆目」のように否定的な言葉をつけるのが正しい使い方になります。

\次のページで「その2「まるっきり」」を解説!/

・先日は忙しく、英語の宿題が全然出来ませんでした。

・この問題が全然わからない。

・今日鑑賞した映画が全然面白くなかった。

その2「まるっきり」

もう1つの類義語に「まるっきり」という言葉があります。「まるっきり」とは「全く。まるで。」という意味。「皆目」と同様に、「まるっきりない」「まるっきり違う」などの、否定的な言葉を後ろにつける使い方をします。ほぼ同じ意味であり、「まるっきり」という言葉を、そのまま「皆目」に言い換える事も可能です。

・アメリカ人に勉強した英語で話したはずなのに、まるっきり伝わらなくてショックだ。

・意見を出したのに、まるっきり無視されてしまった。

・長年使ってきたスマホが、まるっきり動かなくなってしまった。とうとう壊れてしまった。

その3「からきし」「からっきし」

「からきし」「からっきし」は、「まったく」「全然」を意味する言葉です。「皆目~ない」のように、「からっきし~ない」「からっきし苦手」と、マイナスな表現を加えて使います。

「からっきし」の語源が「からきし」にあり、本来は「からきし」と表現していたのが、音の変化によって「からっきし」と現代では表現されるようになりました。「からっきし」は漢字表記はありません、小説などでは「全然」と書き、「からっきし」と読まれる事もあります。

・パソコンには強い方だが、スマホのこととなるとからっきしだ。

・仕事がからっきしできない私に、先輩が丁寧に教えてくれた。

・運動はからっきしできないが、それが何だというのだ。

「皆目」の英訳は?

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次に、「皆目」の英訳も、確認しておきましょう。

\次のページで「「completely」」を解説!/

「completely」

「completely」は「全く」という意味で、肯定文で使われます。例えば、「That's completely different」とすると、「それは全く違う」という意味。否定文の場合は「at all」を用いましょう。「全く理解できない」と伝えたい場合には、「 I don't understand at all 」となります。

・I do not like English at all.(私は英語が全く好きではありません。)

・I don't mind at all.(全く気にしませんよ。)

・ I stopped seeing him completely after that.(それからは彼と全く会わなくなりました)

「皆目」を使いこなそう

この記事では「皆目」の意味・使い方・類語などを説明しました。「皆目」は「かいもく」と読み、「まるっきり。全然」「まるまる全部」「全く」という意味があります。「皆目」を用いる時は、「皆目~ない」という形で文章を作るようにしましょう。

類義語には、「全然」「まるっきり」「からきし」などの単語が挙げられます。それぞれの違いをよく知り、うまく使い分けていきましょう。

日本語は正しい読み方と使い方があります。使い方を間違えると誤解を生み、更にはビジネスシーンになると周囲からの評価が低くなる可能性もあるのです。言葉のバリエーションを増やす事で、コミュニケーション能力や語彙力が上がります。「皆目」の使い方をマスターし、明日から積極的に使用していきましょう。

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国語言葉の意味

「皆目」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「皆目」について解説する。

端的に言えば皆目の意味は「全然」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「皆目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読み続けていく中で、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「皆目」の意味や語源・使い方まとめ

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本を読んでいたり、ビジネスシーンなどでよく出てくる「皆目」という言葉の意味をご存じでしょうか。日常生活ではあまり聞き馴染みのない言葉なので、混乱してしまう事もあると思います。言葉の正しい意味と使い方を知ると、表現の幅が広がってとても便利です。それでは早速「皆目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「皆目」の意味は?

「皆目」には、次のような意味があります。

1.あとに打消しの語を伴って、強く否定する気持ちを表す。まるっきり。全然。「皆目見当がつかない」

2.まるまる全部、すっかりの意を表す。あとに否定的な意味・内容のくることが多い。「風眼とやらをわづらひおりまして、両眼ともに―おっつぶして」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「皆目」

「皆目」は「かいもく」と読み、「まるっきり。全然」「まるまる全部」「全く」という意味があります。「皆目見当がつかない」のように、「皆目」のあとに「~ない」と続ける事で、強く打ち消す気持ちや否定を強調する事が出来るのです。他にも、「すっかり」といった意味も持ち合わせています。

「皆目」の語源は?

次に「皆目」の語源を確認しておきましょう。「皆目」という言葉は、元々「ちっとも」という意味を持つ「カイムク」という言葉が、由来ではないかと言われています。この事から、元々はない事を強調したり、何かを否定する際に使う言葉だったことが分かるでしょう。

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