端的に言えば、調子に乗るの意味は「仕事などがうまく進む」ことです。良い意味にきこえるが、もう一つ別の悪い意味もあるぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「調子に乗る」の意味を確認し、例文や類義語などを見ていきます。
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「調子に乗る」の意味・例文
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「調子に乗る」という言葉を聞いて、何を連想しますか?仕事がうまくいっていることでしょうか?それともおだてられていい気になっている人のことでしょうか。まず、意味を確認し、例文で使い方を見ていきましょう。
「調子に乗る」の良い意味・悪い意味
では、「調子に乗る」の意味を辞書でチェックしてみましょう。
1.仕事などに、弾みがついて順調に進む。
2.おだてられ、得意になって物事をする。いい気になって軽率な行動をする。
出典 デジタル大辞泉(小学館)「調子に乗る」
「調子」には「動作や進行の勢い」という意味があります。「調子が出る」とか「調子を落とす」といいますね。また、「乗る」には「勢いがついて、物事がうまく運ぶ」という意味があります。「動作や進行の勢いがついて、物事が具合よく運ぶ」ので、「調子に乗る」は「仕事などがうまく進む」という意味ですね。
もともとの「仕事などがうまく進む」というのは悪い意味ではありません。しかしそこから転じて「おだてられて得意になって行動する」「いい気になって軽率にふるまう」という意味でも使われるようになりました。
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「調子に乗る」の例文
次は、「調子に乗る」の例文で使い方を見てみましょう。
1.「シンプル&ビューティー」をキーワードに女性向けのジャケットを発売した。女性誌の最新号にコーディネート例が掲載されたせいか売り上げが順調に伸びていて、景気低迷にあえいでいたわが社もやっと調子に乗ったようだ。
2.彼女はモデルのようにスタイルがよく、ファッションセンスも抜群で、入社当時から目立っていた。最近は営業成績も良いので、上層部からの評価は高いが、一部の女性社員からは「あの娘は調子に乗っている」とあまり好意的には見られていなかった。
3.友人がブログをはじめた。女子の興味を引きそうな恋愛や結婚についてのサイトだというが、自分の恋愛経験を書いているだけだ。調子に乗って元カレの個人情報を書かないように忠告しておいた。
最初の例文は、商品の売上が伸びて、会社の経営状態が改善してきたという意味です。「調子に乗る」を「仕事などがうまく進む」の意味で使っています。2番目の例文は、仕事は順調なのに、一部の人からは「おだてられて得意になって行動する」と見られているという意味ですね。
3番目は知人が「いい気になって軽率にふるまう」ことがないよう忠告したという内容です。2番目も3番目も、いい気になってうわついた言動をしているのか、あるいは単なるやっかみなのかは微妙なところですね。
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「順風」とは追い風、つまり進行方向に向かって吹く風のこと。追い風を受けて帆がいっぱいに張っている状態を「満帆」といいます。転じて「順風満帆」は、「物事が思い通りに順調に進んでいる」という意味になりました。「満帆」は「まんぽ」とは読みませんので注意しましょう。「仕事などがうまく進む」という意味の類義語をです。
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