体の仕組み・器官理科生物

体液の一種「組織液」とは?何のためにあるの?現役講師がわかりやすく解説します

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さて、組織液は細胞の周囲を循環し、物質のやりとりを行うと、リンパ管や静脈へと回収されます。リンパ管を流れる体液がリンパ液でしたよね。リンパ液はもともと組織液だった、というわけなんです。

なお、リンパ液は最終的に静脈に行き着き、血液と合流します。組織液はリンパ液となり、リンパ液は血管に戻って、また血しょうに混ざっていくんですね。

組織液の役割

ではここで、組織液の役割について改めてみていきたいと思います。

組織液は細胞の周囲を満たし、細胞内外で物質のやりとりをするために必要なものです。細胞内では絶えず代謝反応が起こっています。そのための糖や酸素を必要とし、一方で代謝によって生じた二酸化炭素や老廃物を排出しなくてはなりません。

組織液を通してこの物質のやりとりを行うことで、細胞は活動をし続けることができます。

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酸素を運ぶのは赤血球ではないのか?

肺で行われるガス交換では、確かに赤血球が酸素を受け取ります。しかし、最終的に細胞に届けるときには、組織液にその酸素を溶け込ませているんです。

反対に、細胞から二酸化炭素を受け取るときにも、いったん組織液にそれが溶け込みます。その後赤血球に出会うと、赤血球内部へ取り込まれるのです。このあたりの詳しいお話は、赤血球の働きについて勉強するときに学ぶことになるでしょう。

組織液と”むくみ”

以上のように、細胞が正常に働くためになくてはならない組織液なのですが、これが貯まりすぎてしまうといわゆる”むくみ”ができた状態になります。むくみは専門的な言葉で浮腫(ふしゅ)ともいいますね。

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むくみが起きる原因はいくつも考えられます。

例えば、血液(血しょう)中の成分のバランスが悪くなっているために、血しょうが過剰に組織液側に流れ込んできてしまい、組織液の過剰が生じてしまうパターン。また、リンパ液がうまく流れなくなってしまうことで、組織液が上手く循環せず溜まりがちになり、むくみにつながるパターンもあります。

\次のページで「「組織液はどこからきて、どこへいくのか?」」を解説!/

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