端的に言えば箸にも棒にも掛からないは「あまりにひどくてどうしようもない」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「箸にも棒にも掛からない」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/柊 雅子
イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。初めて書き上げた記事は「箸(はし)にも棒(ぼう)にも掛からないぞ」と言われ、何度も書き直したという。そんな彼女が「箸にも棒にも掛からない」について解説する。
「箸にも棒にもかからない」の意味は?
「箸にも棒にもかからない」には、次のような意味があります。
1.ひどすぎてどうにも手がつけられない。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「箸にも棒にもかからない」
お箸は何とも便利な道具です。挟む、切る、つまむ…お箸で口元まで運ぶことができないものは液体ぐらいでしょう。お茶碗の底に残ったご飯粒を摘まみ上げることができる道具はお箸ぐらいのものです。
棒はどうでしょうか。例えば川で洗濯をしている時に大きな桃が流れて来たとしたら、多分あなたは河原に転がっている木の棒を使ってその桃を手元に引き寄せようとするでしょう。小さなものはお箸を使ってつかむことができ、大きなものは棒を使って引っ掛けることができます。
小さなものを扱う場合に便利な道具であるお箸や大きなものをひっかけることができる棒を使ってもどうにもならないもの…つまり「箸にも棒にもかからない」ことはどうしようもないことなのです。この「どうしようもないこと」は基本的には「仕方がない」「不可能だ」という意味ではありません。これらの道具を使っても、どうにもならないくらいひどいものという意味なのです。
「箸にも棒にもかからない」の語源は?
次に「箸にも棒にもかからない」の語源を確認しておきましょう。
「箸にも棒にもかからない」ということわざは「お箸や棒を使っても引っ掛けることができないほどくだらないものやひどい状態」を表すものとして生まれました。
世間では偏屈な人のことを「あの偏屈者は、箸にも棒にもかからない」と言ったりします。この「箸にも棒にもかからない」が表しているのいるのが「どうしようもない」という意味。確かに偏屈な人には接しにくく、どうしようもないですよね。この「どうしようもない」という意味は「箸にも棒にもかからない」の基本的な意味、「くだらないものやひどい状態」に関連して生まれたものです。
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