この記事では「真綿で首を絞める」について解説する。

端的に言えば真綿で首を絞めるの意味は「徐々に苦しめる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「真綿で首を絞める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「真綿で首を絞める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「真綿で首を絞める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「真綿で首を絞める」の意味は?

「真綿で首を絞める」には、次のような意味があります。

遠まわしにじわじわと責めたり痛めつけたりすることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「真綿で首を絞める」

読み方は「まわたでくびをしめる」。直接的な攻撃をしたり一発で大ダメージを食らわせたりすることなく時間をかけてダメージを与えていくことを指す慣用句です。

また「しめる」を「締める」と表記するのは誤り。締めるはリボンや紐に対して使い、首などを圧迫する意味では基本的に「絞める」が使われます。

「真綿で首を絞める」の語源は?

次に「真綿で首を絞める」の語源を確認しておきましょう。

真綿とは蚕の繭を引き延ばし、乾燥させることで綿状にしたもののことです。昔から布団などに使われ柔らかい素材であるため、それを紐状にしたもので首を絞めてもすぐには命に影響することはありません。

しかし真綿であっても強く絞め続ければ苦しむことになるため、じわじわと苦しめることを指すようになりました。

\次のページで「「真綿で首を絞める」の使い方・例文」を解説!/

「真綿で首を絞める」の使い方・例文

「真綿で首を絞める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.浮気していることがバレているようなのに笑顔でい続ける彼女に内心真綿で首を絞められているような気持ちでいる。
2.経済の悪化で顧客離れが加速していく。まさに日々真綿で首を絞められるような思いでいる。

1では、罪悪感と笑顔の彼女に対する恐怖感で徐々に遠回しに追い詰められていく様を表現するのに使われている例です。直接責められているわけではないのでじわじわと苦しむことが分かります。

2も同様に一気に業績が落ちるのではなく時間をかけてマイナスに向かっていく様子が想像できますね。経済の悪化という要因はどうにもできないので身動きのとれない状態もよく表されている例でしょう。

「真綿で首を絞める」の類義語は?違いは?

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つづいて、「真綿で首を絞める」に似た意味を持つ言葉や関連する表現について見ていきましょう。

その1「生殺し」

ほぼ死んでいるような状態にして苦しめることや、物事を半端な状態で解決せず他者を困らせることを指します。

特に「蛇の生殺し」と使われることも多く、生命力が強くなかなか死なない蛇に対し死を待つだけの状態にして放っておくということから来ました。

「真綿で首を絞める」のように徐々に苦しめる意味はありませんが、致命的な傷を負わせない点で似ていると言えるでしょう。

\次のページで「その2「いたぶる」」を解説!/

その2「いたぶる」

激しく揺り動かす、悪意を持って相手の嫌がることをするという意味です。

こちらも徐々に苦しめるという意味を持つわけではありませんが、決定打となるほどの攻撃をするわけではない点で近い意味を持つと言えます。

「拷問」「いじめる」なども同様に使うことができる言葉です。

その3「追い詰める」

あと一歩のところまで追いやることを指します。

類義語も含めて日常会話の中で比較的使いやすい言葉なので覚えておくと便利です。

「真綿で首を絞める」は実際に命を削るわけではなく精神的に徐々に苦しむ場合が多いため、「追い詰める」でも近い意味で代用することができるでしょう。

「真綿で首を絞める」の対義語は?

次に、「真綿で首を絞める」と反対の意味を持つ言葉についてご紹介します。

その1「一撃必殺」

もともとは武道で用いられていた言葉で、一発の攻撃で相手を倒し決着をつけるという意味です。

決定打にならない方法で苦しみを与える「真綿で首を絞める」と正反対の言葉ですね。

広く使われている言葉ではないので正式な場では使用を控えた方が良いかもしれません。

その2「イチコロ」

一撃でころりと倒れる、を略した言葉。

戦いの場面だけでなく、魅力的な女性にすぐに惚れてしまうことに対しても使うことが可能です。

対義語の中でも最もフランクな表現なので友人など親しい間柄のみで使いましょう。

その3「致命傷」

本来は命を失う原因と判断されるほどの重大な傷を指し、転じて仕事やスポーツなどで再起不能になる欠点や失敗のことを指す言葉です。

すぐに命に関わることのない「真綿で首を絞める」に対して生命に直結してしまうという点で反対の意味を持つ表現だと言えます。

ビジネスシーンでも大きな痛手となるミスについて用いることができるので覚えておくと良いでしょう。

\次のページで「「真綿で首を絞める」の英訳は?」を解説!/

「真綿で首を絞める」の英訳は?

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最後に「真綿で首を絞める」の英語での表現方法について学んでいきましょう。

その1「Half dead, half alive」

「半分死んでいて、半分生きている」という意味です。

日本語の「生殺し」「半死半生」に近い表現だと言えるでしょう。単に「half-dead」「half-alive」だけでも簡単に使うことができます。

内容としては疲労や怪我などの肉体的なもの、精神的なもののどちらにも使える便利な表現です。

その2「keep someone in agony」

相手を苦しみの中に閉じ込めておく、といった意味合いです。

「keep」という表現からも長い期間が想像できるので「真綿で首を絞める」のじわじわと相手に苦しみを与えるニュアンスを表すのにぴったりだと言えます。

その3「torture」

拷問のことを指します。

拷問とは生きたまま死なない程度の苦しみを与えることで、「生き地獄」などと同じ意味を持つ表現ですね。

もちろん実際に痛めつけられている場面で使われることは少なく、ぎりぎり耐えられるほどの苦痛に対して使われることの多い言葉です。

「真綿で首を絞める」を使いこなそう

この記事では「真綿で首を絞める」の意味・使い方・類語などを説明しました。

ゆっくりとした恐怖や居心地の悪さを感じるのは気持ちの良いものではありませんが、言葉にすると少し気持ちが軽くなるかもしれません。

そのように、自分の感情や状況を的確に表す術を持つことはビジネスだけでなく日常生活で良い影響をもたらします。一緒に語彙を深めていきましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「真綿で首を絞める」の意味や使い方は?例文や類語を現役文学部生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「真綿で首を絞める」について解説する。

端的に言えば真綿で首を絞めるの意味は「徐々に苦しめる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「真綿で首を絞める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「真綿で首を絞める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「真綿で首を絞める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「真綿で首を絞める」の意味は?

「真綿で首を絞める」には、次のような意味があります。

遠まわしにじわじわと責めたり痛めつけたりすることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「真綿で首を絞める」

読み方は「まわたでくびをしめる」。直接的な攻撃をしたり一発で大ダメージを食らわせたりすることなく時間をかけてダメージを与えていくことを指す慣用句です。

また「しめる」を「締める」と表記するのは誤り。締めるはリボンや紐に対して使い、首などを圧迫する意味では基本的に「絞める」が使われます。

「真綿で首を絞める」の語源は?

次に「真綿で首を絞める」の語源を確認しておきましょう。

真綿とは蚕の繭を引き延ばし、乾燥させることで綿状にしたもののことです。昔から布団などに使われ柔らかい素材であるため、それを紐状にしたもので首を絞めてもすぐには命に影響することはありません。

しかし真綿であっても強く絞め続ければ苦しむことになるため、じわじわと苦しめることを指すようになりました。

\次のページで「「真綿で首を絞める」の使い方・例文」を解説!/

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