この記事では「何から何まで」について解説する。
端的に言えば「何から何まで」の意味は「こまごました事柄までも含めて、すべて、すっかり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「何から何まで」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「何から何まで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「何から何まで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「何から何まで」の意味は?

「何から何まで」には、次のような意味があります。

いっさいの雑多なものを残る所なく含むさま。完全に。すっかり。何もかも。

出典:コトバンク

「何から何まで」は全ての物事を一つももらさない様子を表す副詞。「父は家のことは何から何まで母任せだ」「この度は何から何までお世話になりました」など述語にかかる修飾語として用いられますよ。「全部」「全て」という意味ですが、個々の要素を一つ一つ具体的に点検した結果として一つの例外もなくすべてというニュアンスです。

「何から何まで」の語源は?

次に「何から何まで」の語源を確認しておきましょう。「何から何まで」の語源ははっきりとはわかっていませんので、「何」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「何」は人を表す「亻(にんべん)」と肩に荷物を担ぐ意味の音を示す「可」とを合わせた字。後に、この字を疑問をあらわす言葉に使うようになったので、「かつぐ」「になう」というもとの意味には、同じ音の「荷」の字をあて表しました。ちなみに「何」の特別な読み方には「何処(いずこ)」「何時(いつ)」「何故(なぜ)」などが挙げられます。

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「何から何まで」の使い方・例文

「何から何まで」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.父は家のことはなにからなにまで母任せだ。

2.このたびはなにからなにまでお世話になりました。

例文1からは自分では全く何もしない亭主関白であることが読み取れます。また、例文2はお世話になった相手へのお礼の言葉です。

「何から何まで」の類義語は?違いは?

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「何から何まで」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「まんべんなく」

「まんべんなく」は全体に均一に行き渡る様子を表し、「エビに片栗粉をまんべんなくまぶして揚げる」「恵美子はどの科目もまんべんなくできる」など述語にかかる修飾語として用いられます前者は具体物について用いられた場合、後者は抽象的なものや行為について用いられた場合ですよ。一定の密度で均一に全体に行き渡るというニュアンスで、一部分の程度が高い場合にはふつう用いられません後者ではどの科目も八十点程度にできるというニュアンスであって、百点の科目が一つ二つ存在する場合にはあまり用いません

「まんべんなく」は「あまねく」や「くまなく」に似ていますが、「あまねく」はかたい文章語で、情報や教育など主に抽象的なものが行き渡る場合に限って用いられますし、「くまなく」はある範囲を限定してその中のすべてに行き渡るニュアンスで、精緻の暗示があります。なお「何から何まで」との違いは「何から何まで」は個々の要素を一つ一つ具体的に点検した結果として一つの例外もなくすべてという点。

\次のページで「その2「すべて」」を解説!/

その2「すべて」

「すべて」は全部に及んでいる様子を表し、ややかたい文章語でもったいぶった発言などに用いられます。「すべての道はローマに通ず」は名詞にかかる修飾語の用法でことわざ。ローマ帝国全盛時には世界中の道が全部ローマに通じていたという意味で、そこから、手段は異なっても最終的に一つの心理に行き着くという意味で用いられますよ。「光るものすべて金ならず」もことわざで「すべて…ならず(ない)」という打消しと呼応する形で用いられ、光るもの全部が金というわけではないという部分否定を表します。「すべて」は構成要素を一つ一つ吟味し、全体を通してある一つの視点で一貫しているというニュアンスで、構成要素に視点をおいた上で総体を表す「ぜんぶ」、全部の人間を暗示する「みな」と異なるでしょう

述語にかかる修飾語で用いられた「すべて」は「いっさい」や「ことごとく」に似ていますが、「いっさい」は残っているものが何もないというニュアンスで、誇張の暗示があるでしょう。「ことごとく」はあまり好ましくない結果になったというニュアンスで、軽い慨嘆やあきれの暗示を伴いますよ。ちなみに「何から何まで」との違いは「何から何まで」は全ての物事を一つももらさない様子を表すという点です。

「何から何まで」の対義語は?

「何から何まで」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「おおよそ」

「おおよそ」は不正確な全体を表しますよ。「家から駅まではおおよそ一キロある」は名詞にかかる修飾語、「彼女のカンはおおよそのところ当たっている」や「君の話は聞かなくてももおおよそ見当がつくね」は「おおよそのところ」「おおよそ」の形で述語にかかる修飾語になります。後者は数量を表す名詞にかかり近似値を表しますよふつうある状態の不正確な全体を表す場合に用いられ、行為や動作の達成度を表す場合には用いないことが多い。「おおよそ」は「あらまし」に似ていますが、「あらまし」は一応の筋道が通っているというニュアンスで、概略の暗示をもちます。

その2「だいたい」

「だいたい」は主要な大部分を表します。「だいたいのご説明はすでに係の者がいたしました」は名詞にかかる修飾語、「課長の提案にはだいたいにおいて賛成だ」は述語にかかる修飾語の用法です。瑣末な部分を除いた大部分という意味で、無差別に大部分を言うわけではありません。また、動作や作用の達成度についても用いられます客観的な表現で特定の感情は暗示されていません。この「だいたい」は「たいがい」「たいてい」「あらから」などに似ていますが、「たいがい」はある範囲の大部分という暗示がありますし、「たいてい」は一般的な傾向を述べる暗示があります。また「あらかた」はややくだけた表現で疎略の暗示があるでしょう。

「何から何まで」の英訳は?

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「何から何まで」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「何から何まで」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「anything and everything」

「anything and everything」は「何から何まで」という意味です。「My mother take care of him anything and everything」で「母は彼の身の回りの世話を何から何までする」、「I know anything and everything about her」で「彼女のことなら何から何まで知っている」と訳すことができますよ。

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「何から何まで」を使いこなそう

この記事では「何から何まで」の意味・使い方・類語などを説明しました。「何から何まで」は全ての物事を一つももらさない様子を表す副詞だと解説しましたね。また「何から何まで」は「何もかも」に似ていますが、「何もかも」には個々の要素を点検する暗示はありません。そのため「何から何まで承知している」は「細部まで承知している」、「何もかも承知している」は「知らないことはない」というニュアンスになります。ニュアンスの違いに注意しましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「何から何まで」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「何から何まで」について解説する。
端的に言えば「何から何まで」の意味は「こまごました事柄までも含めて、すべて、すっかり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「何から何まで」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「何から何まで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「何から何まで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「何から何まで」の意味は?

「何から何まで」には、次のような意味があります。

いっさいの雑多なものを残る所なく含むさま。完全に。すっかり。何もかも。

出典:コトバンク

「何から何まで」は全ての物事を一つももらさない様子を表す副詞。「父は家のことは何から何まで母任せだ」「この度は何から何までお世話になりました」など述語にかかる修飾語として用いられますよ。「全部」「全て」という意味ですが、個々の要素を一つ一つ具体的に点検した結果として一つの例外もなくすべてというニュアンスです。

「何から何まで」の語源は?

次に「何から何まで」の語源を確認しておきましょう。「何から何まで」の語源ははっきりとはわかっていませんので、「何」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「何」は人を表す「亻(にんべん)」と肩に荷物を担ぐ意味の音を示す「可」とを合わせた字。後に、この字を疑問をあらわす言葉に使うようになったので、「かつぐ」「になう」というもとの意味には、同じ音の「荷」の字をあて表しました。ちなみに「何」の特別な読み方には「何処(いずこ)」「何時(いつ)」「何故(なぜ)」などが挙げられます。

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