この記事では「あえか」について解説する。
端的に言えば「あえか」の意味は「か弱くなよなよとしたさま、頼りないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「あえか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「あえか」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「あえか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「あえか」の意味は?

「あえか」には、次のような意味があります。

[形動][文][ナリ]か弱く、頼りないさま。きゃしゃで弱々しいさま。「あえかに咲く花」

出典:コトバンク

「あえか」は濃淡の程度が非常に低い様子を表します。ややかたい文章語で日常会話に用いられることは少ないでしょう。また「あえか」ははっきり見えないだけでなく、それが美しいことを合わせて表現する語であって、はっきり認識できないものを美とする日本文化の特徴を示す語です。

「あえか」の語源は?

次に「あえか」の語源を確認しておきましょう。漢字で「あえか」は「和か」と書きます。それでは「和」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「和」は「口」とくわえる意味の音を示す「禾」とを合わせた字。声をくわえて調子を「あわせる」意味を表しますよ。ちなみに「和」の特別な読み方には「和泉(いずみ)」「阿蘭陀(オランダ)」「和布(わかめ)」などが挙げられます。

\次のページで「「あえか」の使い方・例文」を解説!/

「あえか」の使い方・例文

「あえか」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.そこは暗い谷間にあえかなスズランが咲いているおすすめの景色だ。

2.華奢で素敵な雰囲気の美少女に一方的に好意を寄せる彼は、最後まであえかな希望を抱いていた。

3.湿気が立ち込める中、一人の男性がたけのこを掘りに出掛けたら、学習施設跡地の方から筍流しが吹いてきた。ふと目を転じると霧にけぶる山麓はあえかに美しかった。

例文1は誰にも教えたくない秘密の場所であることが伺えますし、例文2からは彼女が結婚するまで自分にもチャンスはあると思っていた彼の気持ちが読み取れます。また、例文3からはぼうっと薄くかすんで見える景色に男性が心奪われていることが想像できますね。

「あえか」の類義語は?違いは?

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「あえか」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「そこはかとない」

「そこはかとない」は濃淡の程度が非常に低い様子を表します。「彼の後ろ姿にはそこはかとない悲哀が漂っている」「彼女が出て行ったあと、香水の香りがそこはかとなく残った」などのように修飾語として用いられ、述語としてはふつう用いられません。「そこはかとない」ははっきりそれと指摘できないが、非常に微弱なものが広範囲をおおうというニュアンスをもつ語で、そういう繊細な感覚を必要とするものをプラスに評価する日本文化ならではの語です。そのため「そこはかとない」ははっきり目の前に提示されているものの濃度の低さについては用いられません

また「そこはかとない」が対象とするものは、感覚的で無形のものであることが多く、理性的なもの、形のはっきりしているものについて用いられることは稀です。はっきり認知できないものを表す意味では「そこはかとない」は「ほのか」にも似ていますが、「ほのか」が比較的小さい対象について、ある期待(もっと見たい、知りたい、得たいなど)をもって認知している暗示があるのに対して、「そこはかとない」は比較的広範囲に及ぶ対象について述べ、対象に対する期待はない点が異なるでしょう。

\次のページで「その2「ほのか」」を解説!/

その2「ほのか」

「ほのか」は「蘇生術で患者の頬にほのかに赤みがさした」や「床の間の花はほのかな香りを漂わせていた」など濃淡の程度が非常に低い様子を表す形容詞「ほのか」の示す濃度の低さはそれが感覚にやっとふれる程度であることが原則で、そのように繊細な感覚を必要とする濃度の低さについて、もっとよく見たい、知りたいという期待の暗示があり全体としてプラスイメージの語になっています。「あえか」「はかない」などにも通じますが、対象の濃淡の程度の低いことをプラスに評価するのは、日本文化に特徴的であると言えますよ。「ほのか」は対象についての期待が暗示されているので、好ましくないものの程度が低い場合にはふつう用いられません

「ほのか」は「あわい」に似ていますが、「あわい」の方が濃度がやや高く、眼前にはっきり提示されているものについても用いられるのに対して、「ほのか」は感覚にふれる限界の濃度を示すので、眼前にはっきり提示されているものについてはふつう用いられません。また「ほのか」は「あえか」にも似ていますが、「あえか」の方が美的な暗示が強いでしょう。濃度の低いことを表す語としては、これらの他に「うすい」「かすか」「おぼろげ」「はかない」などがありますが、「うすい」「かすか」は客観的・一般的で特定の思い入れはなく、「おぼろげ」には存在は知っていても認知が難しいという暗示があり、期待や美の暗示は少ないです。また「はかない」には感傷の暗示がありますよ。

その3「はかない」

「はかない」は「努力しない者の希望はいつもはかない」「終わってみればはかない恋だった」など程度が低くて確かでない様子を表します抽象的なものについて用いられ、具体的なものの濃度の低さについては用いられません「はかない」は対象の程度が低いことについて感傷的に思う残念な気持ちがあり、対象への心理的な傾斜を示す語となっています。「あわい」も対象の程度が低いことについてもっとよく感受したいという期待の暗示がありますが、「はかない」よりは客観的な表現になっていますよ。

また「はかない」は「かすか」「あえか」などにも似ていますが、「かすか」は対象の程度が低いことを客観的に表現し、特定の感情は暗示されていません。「あえか」は反対に、対象の程度が低いことについて美的に評価するニュアンスのある点が異なります。「はかない」の暗示する感傷は「むなしい」にもありますが、「むなしい」には感傷のほかに対象についての無力感の暗示があるでしょう。

「あえか」の対義語は?

「あえか」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「もうれつ」

「もうれつ」は勢いや程度などが非常にはなはだしい様子を表します。「雲仙普賢岳の火砕流はもうれつだ」は述語、「日本列島はもうれつな暑さに見舞われた」は名詞にかかる修飾語、「林君と結婚すると言ったらもうれつに反対された」は述語にかかる修飾語の用法です。あまり好ましくないものの勢いや程度について用いることが多いでしょう。「ああいうもうれつな女には気をつけろ」は性格が激しく行動も過激であるような性質について言う表現。「昨夜徹夜したからもうれつ眠くって」は単独で述語にかかる修飾語になる現代語用法で、若い人中心にくだけた会話でのみ用いられます。状態を表す語にかかることが多いですが、動詞にかかることもあります程度がはなはだしいことについて慨嘆の暗示を伴いますよ。なお「もうれつ」は「すごく」「非常に」という意味ですが、勢いと誇張の暗示があり、客観的な表現にはなっていません

「あえか」の英訳は?

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「あえか」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「あえか」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「fleeting」

「fleeting」は「いつしか過ぎてゆく、つかの間の、はかない」という意味です。「There are fleeting flowers in her garden」で「彼女の庭にはあえかな花が咲いている」、「He hadn't given up hope fleeting, he'd made it to the end」で「彼はあえかな望みを捨てずに最後までやり遂げた」と表現することができますよ。

\次のページで「「あえか」を使いこなそう」を解説!/

「あえか」を使いこなそう

この記事では「あえか」の意味・使い方・類語などを説明しました。「あえか」は濃淡の程度が非常に低い様子を表す形容詞修飾語として用いられることが多く述語として用いられることは稀だと解説しましたね。そのため「その花はあえかだった」などとは言いませんので注意しましょう。意味としては「かすか」「ほのか」「はかない」などに近いですが、「かすか」「ほのか」「はかない」よりも対象をさらに美的に評価するニュアンスがあります。ニュアンスの違いを正しく理解しましょうね。

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国語言葉の意味

「あえか」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「あえか」について解説する。
端的に言えば「あえか」の意味は「か弱くなよなよとしたさま、頼りないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「あえか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「あえか」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「あえか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「あえか」の意味は?

「あえか」には、次のような意味があります。

[形動][文][ナリ]か弱く、頼りないさま。きゃしゃで弱々しいさま。「あえかに咲く花」

出典:コトバンク

「あえか」は濃淡の程度が非常に低い様子を表します。ややかたい文章語で日常会話に用いられることは少ないでしょう。また「あえか」ははっきり見えないだけでなく、それが美しいことを合わせて表現する語であって、はっきり認識できないものを美とする日本文化の特徴を示す語です。

「あえか」の語源は?

次に「あえか」の語源を確認しておきましょう。漢字で「あえか」は「和か」と書きます。それでは「和」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「和」は「口」とくわえる意味の音を示す「禾」とを合わせた字。声をくわえて調子を「あわせる」意味を表しますよ。ちなみに「和」の特別な読み方には「和泉(いずみ)」「阿蘭陀(オランダ)」「和布(わかめ)」などが挙げられます。

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