この記事では「〜はおろか」について解説する。
端的に言えば「〜はおろか」の意味は「…は無論、その上更に、…ぐらいはまだしも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「〜はおろか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「〜はおろか」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「〜はおろか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「〜はおろか」の意味は?

「〜はおろか」には、次のような意味があります。

[形動][文][ナリ]

1 (「…はおろか」「…もおろか」などの形で)言うまでもないことである。もちろん。「掃除は疎か、布団を上げたこともない」

出典:コトバンク

「〜はおろか」は程度が不十分な様子を表し、「~はおろか…」という形で「~は言うまでもなく…までも」という意味になり、後ろにはふつう好ましくない事柄が続きます。好ましいことを続ける場合には「もとより」などを用いることが多いでしょう。また「…もおろか」という形で「…するまでもない」「当然である」という意味を表し、「…」には「言う」「語る」「問う」「聞く」などの動詞が入ります。

「〜はおろか」の語源は?

次に「〜はおろか」の語源を確認しておきましょう。漢字で「〜はおろか」は「~は疎か」と書きます。それでは「疎」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「疎」は生まれた子供が羊水とともに流れ出る意味を表します。「㐬」と、とおる意味の音を示す「疋」とを合わせた字。子供が母親の体から生まれ出て「とおざかる」意味を表します。後に、まばらの意味の「粗」の字と音が同じであったことから「まばら」の意味にも使われるようになりました。

\次のページで「「〜はおろか」の使い方・例文」を解説!/

「〜はおろか」の使い方・例文

「〜はおろか」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.愚かな老女は長女彩子の婚約者に財産はおろか命までも奪われてしまった。そしてアパートの一室でほとんど餓死状態で発見された。

2.在宅で仕事をし、コンビニとスーパーの往復ばかりでいい加減飽きてきた。海外はおろか国内旅行にだって行けないんだぜ。政府の判断は失敗だと言わざるを得ないよな。

3.未解決事件の顛末については言うもおろかだが不完全な最後だった。

例文1は長女の婚約者は始めからそのつもりで老女に近づいてきたことが伺えますし、例文2は感染症の影響で外出することさえ困難になっている状況が伝わってきますね。また、例文3は未だ解決に至らず時効になってしまった事件であることが読み取れます。

「〜はおろか」の類義語は?違いは?

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「〜はおろか」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「そのうえ」

「そのうえ」はさらに付け加える様子を表す副詞。「日が暮れてそのうえ雪まで降ってきた」「彼はハンサムで頭が良くそのうえ大金持ちだ」など述語にかかる修飾語として用いられます。ややかたい文章語で日常会話にはあまり登場しません。好ましくないことの上に好ましくないことが付け加わる場合にも、好ましいことの上に好ましいことが付け加わる場合にも用いられますよ。また対象を対等に扱って付け加えるというニュアンスで、添加された後の結果に視点があり、客観的な表現で特定の感情を暗示しません

「そのうえ」は「それに」「しかも」に似ていますが、「それに」は付け加わるものが全体にとって軽い意味しかもたない暗示がありますし、「しかも」は反対に付け加わったものが全体にとって重要な意味をもつ暗示があります。また「そのうえ」は「おまけに」「さらには」などにも似ていますが、「おまけに」はふつうあまり好ましくないことについて用いますし、「さらには」は最終的に添加する暗示があるでしょう。なお「〜はおろか」との違いは「〜はおろか」は程度が不十分な様子を表すという点です。

\次のページで「その2「さらには」」を解説!/

その2「さらには」

「さらには」は段階的にいくつも添加する様子を表しすでにいくつか添加して最終的に添加するものの前に用いられますよ。例えば「彼女は英語の次にはフランス語、さらにはイタリア語にまで手を出した」や「会社は国内主要都市はもとより中国・韓国・タイ、さらにはフィリピンにも進出する計画だ」など述語にかかる修飾語として用いられます。また「さらには」は「そのうえ」や「おまけに」などに似ていますが、「そのうえ」は最終添加の暗示がありませんし、「おまけに」はふつう好ましくないものがいくつか付け加わる場合に用いられ、慨嘆・不快などの暗示を伴うでしょう。ちなみに「〜はおろか」との違いは「〜はおろか」は後ろに好ましくない事柄が続くという点です。

「〜はおろか」の対義語は?

「〜はおろか」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「不意に」

「不意に」は予想しない事態の変化が突然起こる様子を表す表現。「見方はふいを突かれて右往左往した」は名詞の用法で「不意を突かれる(討たれる)」の形で用いられます。事前に予想していないという意味で衝撃の暗示がありますよ。「草むらで鳴いていた虫の声がふいにやんだ」は「不意に」の形で、「息子は朝ふいと家を出て行ったきり戻らない」は「不意と」の形で述語にかかる修飾語になります。前者は継続することが期待されている事態が予想に反して変化するというニュアンスで、意外性と不審の暗示があるでしょう。また後者は行為のしかたが突然である様子を表しますが、「不意に」よりは客観的な表現で、衝撃・意外性・不審などの暗示は少ないです。

「不意に」は「いきなり」「出し抜けに」「急に」「突然」「やにわに」などに似ていますが、「いきなり」は前段階を踏まずに新たな事態が起こるというニュアンスがありますし、「出し抜けに」は行為の受け手の被害者意識が暗示されます。また「急に」は事態が短時間内に大きく変化する様子を表し予想しない事態かどうかには言及しませんし、「突然」は話者の誇張の暗示を伴いますよ。さらに「やにわに」は前の動作とまったく関係のない大きな動作や行為を突然起こす様子を表し、慨嘆の暗示がこもります

その2「出し抜け」

「出し抜け」は予想しない事態が突然起こる様子を表し、ふつう人間の行為について以外には用いられません。例えば「部長のだしぬけの自宅訪問には驚いた」は名詞にかかる修飾語、「あの先生はだしぬけにテストをするから嫌われる」は述語にかかる修飾語の用法です。行為の受け手の被害者意識が暗示され、衝撃と慨嘆のニュアンスを伴いますよ。「だしぬけですまないけど、明日ニューヨークへ出張してくれないかな」は出張の指示が部下にとって「出し抜け」なのであって、課長にとっては十分に予定されていることですが、部下の慨嘆の気持ちに同情するニュアンスを持ちます

「出し抜け」は「いきなり」や「不意に」「やにわに」「突如」「急に」などに似ていますが、「いきなり」は驚きと衝撃の暗示がありますが、被害者意識の暗示はありませんし、「不意に」は継続することが期待されている事態が予想に反して変わるという意味で、意外性と不審の暗示があります。また「やにわに」は前の動作とまったく関係のない大きな動作や行為が突然起こる様子を表し慨嘆の暗示がこもりますし、「突如」は人間以外の行為についても受け手の衝撃と驚きの暗示を伴って用いられますよ。さらに「急に」は事態が短時間に大きく変化する様子を表し、予想に反する事態かどうかには言及しません

「〜はおろか」の英訳は?

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「〜はおろか」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「〜はおろか」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「let alone」

「let alone」は「かまわずにおく、(…に)干渉しない、…はもちろんのこと、…は言うまでもなく」という意味です。「I don't have a cent on me, let alone a dollar」で「1ドルはおろか1セントも持っていない」、「He'd turned to drugs, let alone gambling」で「彼はギャンブルはおろか薬にまで手を出してしまった」と言い表すことができますよ。

\次のページで「「〜はおろか」を使いこなそう」を解説!/

「〜はおろか」を使いこなそう

この記事では「〜はおろか」の意味・使い方・類語などを説明しました。「〜はおろか」は程度が不十分な様子を表す形容詞後ろにはふつう好ましくない事柄が続き、好ましいことを続ける場合には「もとより」などを用いることが多いと解説しましたね。そのため「彼はアメリカはおろかヨーロッパにも遠征した」は間違った用法となり、正しくは「彼はアメリカはもとよりヨーロッパにも遠征した」となりますよ。適切な表現を心掛けるようにしましょうね。

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国語言葉の意味

「〜はおろか」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「〜はおろか」について解説する。
端的に言えば「〜はおろか」の意味は「…は無論、その上更に、…ぐらいはまだしも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「〜はおろか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「〜はおろか」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「〜はおろか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「〜はおろか」の意味は?

「〜はおろか」には、次のような意味があります。

[形動][文][ナリ]

1 (「…はおろか」「…もおろか」などの形で)言うまでもないことである。もちろん。「掃除は疎か、布団を上げたこともない」

出典:コトバンク

「〜はおろか」は程度が不十分な様子を表し、「~はおろか…」という形で「~は言うまでもなく…までも」という意味になり、後ろにはふつう好ましくない事柄が続きます。好ましいことを続ける場合には「もとより」などを用いることが多いでしょう。また「…もおろか」という形で「…するまでもない」「当然である」という意味を表し、「…」には「言う」「語る」「問う」「聞く」などの動詞が入ります。

「〜はおろか」の語源は?

次に「〜はおろか」の語源を確認しておきましょう。漢字で「〜はおろか」は「~は疎か」と書きます。それでは「疎」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「疎」は生まれた子供が羊水とともに流れ出る意味を表します。「㐬」と、とおる意味の音を示す「疋」とを合わせた字。子供が母親の体から生まれ出て「とおざかる」意味を表します。後に、まばらの意味の「粗」の字と音が同じであったことから「まばら」の意味にも使われるようになりました。

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