その2「至急」
「至急」は時間をおかずに行動する様子を表します。「課長はしきゅうの用があってさっき出かけた」は名詞にかかる修飾語、「お父様にしきゅうにお目にかかりたいんですが」や「しきゅう御連絡いただきたい」は述語にかかる修飾語の用法。行動をおこすにあたって切迫感の暗示があり単に短時間内に行動するという意味ではありません。まだ達成されていない未来のことについて用いることが多く、過去のことについてはふつう用いません。また「至急」は「早急」に似ていますが「早急」には切迫感の暗示はありません。ちなみに「片時」との違いは、「片時も」は後ろに打消しの表現を伴ってほんの短い時間も「…しない」という意味を表すという点です。
その3「即座」
「即座」は「教授は新しい本の企画にそくざに同意してくれた」や「この仕事にはそくざの判断が要求される」など時間をおかずに行動する様子を表します。ふつう「即座に」の形で述語にかかる修飾語として用いられますが、名詞にかかる修飾語になることもありますよ。とても客観的な表現で特定の感情は暗示されていません。「即座に」は「すぐ」「ただちに」などに似ていますが「すぐ」よりも時間的に短い暗示がありますし、「ただちに」は切迫感の暗示があります。なお「片時」との違いは「片時も」は後ろに打消しの表現を伴ってほんの短い時間も「…しない」という意味を表すという点。
「片時」の対義語は?
「片時も」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
その1「しきり」
「しきり」は間隔を置かずに何度も繰り返す様子を表します。「彼はデートに遅れたのを弁解することしきりだ」は「…することしきりだ」の形で述語になる用法、「暗いやぶの中でウグイスがしきりに鳴いている」は述語にかかる修飾語の用法で、名詞にかかる修飾語にはあまりなりません。前者が基本的な用法で、間隔を置かずに何度も同じ行為や状態が繰り返される様子を表しますよ。「朝から雪がしきりに降っている」はこれから一歩進んで、動作や行為が継続する様子を表します。また「彼はさっきからしきりに考え込んでいるみたいだ」はさらに進んで、継続される動作に没頭している様子を表します。とても客観的な表現で特定の感情は暗示されていません。
「しきりに」は「しばしば」「しょっちゅう」や「ひっきりなしに」などに似ていますが、「しばしば」は「しきりに」よりも頻度が低いですし、「しょっちゅう」は「しきりに」よりも頻度が高くしばしば慨嘆の暗示を伴います。そして「ひっきりなしに」は実際の行為がひんぱんに反復される様子を表しますよ。
その2「のべつ」
「のべつ」は動作や行為の頻度が非常に高い様子を表す副詞。述語にかかる修飾語として用いられます。ややくだけた表現でかたい文章中には登場しません。「このディスクジョッキーはこんなにのべつまくなしにしゃべって、あごがくたびれないのかねえ」の「のべつまくなし」は「のべつ」を強調した表現で、まったく休みなく行為し続ける様子を表します。「あの夫婦はのべつ喧嘩ばかりしている」は非常に頻度が高い様子、「牛ってのべつ口を動かしてるんだね」は動作が継続する様子を表しますよ。
ふつうあまり好ましくない動作や行為の頻度が高かったり継続したりする場合に慨嘆の暗示を伴って用いられ、好ましい場合には用いられません。「のべつ」は「しょっちゅう」「四六時中」や「ひっきりなし」などに似ていますが、「しょっちゅう」は頻度についてだけでなく一般的な傾向を表す意味もありますし、「四六時中」は切れ目のない持続を誇張的に暗示します。そして「ひっきりなし」は実際の行為の頻度が非常に高くて切れ目がない様子を表し、一般的な傾向は表しません。
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