
その2「めだって」
「めだって」は以前あるいは他のものと比較して程度がはなはだしい様子を表す副詞。「中山君はクラスの中でめだって背が高い」や「最近外国人の犯罪がめだって増えてきた」などのように状態を表す述語にかかる修飾語として用いられます。ふつう目に見えるものについて用いられますよ。後者も統計上の数字などで目に見える形で確認できる暗示があるでしょう。「めだって」は「きわだって」や「ひときわ」に似ていますが、「きわだって」は同類のものの中で特に程度がはなはだしい様子を客観的に述べます。「ひときわ」は同類や過去の状態と比べて程度がはなはだしいというニュアンスで比較の暗示が強い。「目に見える」との違いは「目に見える」は変化の途中ではあまり用いられないという点です。
「目に見える」の対義語は?
「目に見える」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
「かすか」
「かすか」は「彼はかすかな明かりをたよりに夜道を歩いた」や「爆発現場にはかすかにガスのにおいが残っていた」などのように濃淡の程度が非常に低い様子を表します。また、濃度が低くて感覚にふれる程度が少ないことを客観的に表す語。ただし、感じられるか感じられないかの境界あたりの濃度を指すニュアンスがあり、感じられる範囲内での濃度の低さについては用いられません。「かすか」によって認知されるものは存在自体についての保証がないでしょう。この点が、存在することは確実だがはっきり認知できないというニュアンスをもつ「おぼろげ」と異なります。
濃度が低いことでは「わずか」に近いですが、「わずか」が数量的に少ないというニュアンスがあるのに対して、「かすか」では五感に感じられる度合いが少ないというニュアンスの違いがありますよ。感覚的に弱いという意味では「あわい」や「ほのか」にも近いですが、「あわい」「ほのか」には対象を感受しようとする期待があり、プラスイメージの語になっていることが「かすか」の客観的な表現と異なります。
「visibly」
「visibly」は「目に見えて、目に見えるほど、ありありと」という意味です。「He grew visibly paler」で「彼は目に見えて顔色が悪くなっていった」、「I can see his defeat visibly」で「奴の敗北は目に見えている」と言い表すことができますよ。
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