「何はともあれ」ってどう使う?
「何はともあれ」は以下のように使用します。
1.「何はともあれ」この方法は駄目だとわかった。別の手段を考えよう。
2.落ち着いて。「何はともあれ」、答えとまではいかなくてもヒントは手に入ったのだから。
3.その他のことは、「何はともあれ」片付いたんだ。あとは、本題のこの問題だけだ。
1、2を見るとわかりますが、「何はともあれ」は文章の頭に来るパターンが非常に多い言葉です。「他のことはさておき、今から述べることに集中して」という意味であるため、言うなれば本題に対する前置きの役割を持つ言葉と言えます。
逆に、文末に「何はともあれ」が出てくることはほとんどありません。文末の場合は大抵意味の付け加えのような、補助の役割です。極端なことを言ってしまうと、「何はともあれ」とは仮になくなったとしても成立する言葉と言えます。本題に対する前置きであり、本題ではないためです。
こういう場面で「何はともあれ」は使える?
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「何はともあれ」は、改まった場面で使用するにあたって戸惑う人の多い言葉です。言い回しとして非常に口語に近いため、「日常でくだけた言葉で話しているのと同じようなものでは?」という印象を自ら覚えてしまい、使用をためらってしまうのでしょう。
確かに「何はともあれ」は話し言葉に近い言い回しです。しかし結論から言うと、取り立てて場面を選ぶ言葉ではありません。
目上の人への「何はともあれ」
目上の人に対しての「何はともあれ」の使用は、結論から言うと言葉遣いとして特に問題が生まれるわけではありません。ただし、問題が無いのはあくまで言葉遣いの話であり、意味上は問題になってしまうケースもあります。
前述しましたが「何はともあれ」とは、「他のことはともかく」という意味です。そのため他人に向かって言う際は、多かれ少なかれ「私の事情に着目してください」というニュアンスが入ります。つまり転じて「あなたが今考えていることは一度無視してください」と述べているようなものなので、使わない方が無難であるという考え方はある程度正しいと言えるでしょう。
ビジネスにおける「何はともあれ」
ビジネス全般においても、「何はともあれ」とはそれほど無礼な言い回しというわけではありません。しかし、無礼かそうでないかという問題以前に、ビジネスシーンにおいては「無駄が多い」という点であまり好ましくない言葉ではあります。
前述したように、「何はともあれ」とは本題に入る前の前置き的役割が強い言い回しであるため、なくても良いという考え方ができるのです。もちろんあったからといって本題の内容が大きく変わるわけではないため、あっても構いません。しかしビジネスのシーンにおける文章とは、「削除して良い部分は省く」という行為によってシンプルにかつ分かりやすくなっていきます。そのため、「そもそも使わない方が無駄が少ない」という考え方も間違いとは言い切れないのです。
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