この記事では「頭ごなし」について解説する。

端的に言えば頭ごなしの意味は「決めつけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「頭ごなし」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「頭ごなし」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「頭ごなし」の意味や語源・使い方まとめ

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「頭ごなし」に叱られたり「頭ごなし」に叱った経験はありませんか?誰でもが当たり前に経験することではありませんが、圧倒的に強い人・偏屈な人が周りにいる人は身に覚えがあるかも知れませんね。今回は「頭ごなし」について詳しく解説をしていきます。

それでは早速「頭ごなし」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頭ごなし」の意味は?

「頭ごなし」には、次のような意味があります。

1.事情を知ろうとしたり相手の言い分を聞こうとしたりせずに、状況を一方的に決めてかかる事。
2.相手の言い分を聞かず、最初から決めつけた態度を取ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭ごなし」

「頭ごなし」とは「相手の言い分も聞かず決めつけた態度を取ること」の意。何かトラブルが起こった時、中立の立場に立つならまずは両者の言い分を聞く事が鉄則です。一方の話だけでは事実を客観的に知る事は難しいですし、公平性に欠けますよね。「頭ごなし」とは、最初から公平性や中立の立場など無視して、一方的に決めつける行為を表す言葉ですよ。

よく間違われる言葉で「1人の頭上を越して何かをすること」を表す「頭越し」という言葉もあります。響きがとても似ている事から間違われる事も多いですが、全く違う意味の言葉ですので混同しないようにしましょう。

「頭ごなし」の語源は?

次に「頭ごなし」の語源を確認しておきましょう。

「頭ごなし」は「頭」ではなく、実は「こなし」の方が主となる言葉なのです。「こなし」は「こなす」という動詞の連用形で、3つの意味を持っていますよ。形ある物を粉状にする「粉成す」と、そこから派生して食べた物を胃の中で消化する意味の「こなす」、最後に消化する意味をさらに発展させた「思うままに扱う」の3つです。「要領よくこなす」などと使われていますよ。その意味を踏まえて、「頭ごなし」は「頭(最初から)思うままに扱う」と成ったのです。

\次のページで「「頭ごなし」の使い方・例文」を解説!/

「頭ごなし」の使い方・例文

「頭ごなし」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.課長はいつも頭ごなしに怒鳴ってくる。
2.頭ごなしに言われて、やる気が失せた。
3.子供を叱る時は頭ごなしに叱るのはやめましょう。

3つの例文を挙げてみました。例文の1と2は、続けて考えてみてください。いつも頭ごなしに怒鳴る課長に、うんざりして志気が下がっているさまですよ。また最初から期待されていないだろうという諦めのような心情も見て取れますね。これを踏まえて例文3を見てみましょう。まだ人生経験が圧倒的に少ない子供相手に「頭ごなし」に叱っても何もなりませんね。子供にとっては言い分も聞いてもらえずに、何が悪かったのか・なぜ叱られるのかを理解できない怒り方が「頭ごなし」と表現しますよ。

「頭ごなし」の類義語は?違いは?

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「頭ごなし」にはどんな類義語があるでしょうか?

その1「有無を言わせぬ」

「有無を言わせぬ」とは「うむをいわせぬ」と読み、「相手に反論の機会を与えずに物事を決める事」の意。「有無を言わせない口調」などと使い、相手に何も言わせずに従わせる事を指します。威圧や優越性を存分に使った高圧的な態度が「頭ごなし」と共通しているので、類義語としてふさわしいでしょう。

\次のページで「その2「高圧的」」を解説!/

その2「高圧的」

「高圧的」とは「こうあつてき」と読み、「権力で相手を抑えつけ従わせる事」の意。「抑えつける」と「従わせる」が共通ワードですので、「高圧的」も「頭ごなし」の類義語として適切でしょう。

「頭ごなし」の対義語は?

次は「頭ごなし」の対義語を見てみましょう。

その1「低姿勢」

「低姿勢」とは「ていしせい」と読み、「相手に対して低く構えること」の意。端的に言うと下手(したて)に出る態度のことですよ。「頭ごなし」とは相手に対する物腰や態度が反対になることから対義語として紹介しました。

その2「諒恕」

「諒恕」とは「りょうじょ」と読み、「事情をくんで許すこと」の意。難しい言葉なので初めて聞いた人も多いかと思います。「諒恕」という漢字にはどちらにも「相手を思いやる・許す」の意味が含まれていますよ。

「低姿勢」が態度で「諒恕」は気持ちの上で、「頭ごなし」とは反対の意味ですね。

「頭ごなし」の英訳は?

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「頭ごなし」は世界共通の言葉なのでしょうか?どんな英語表現があるのか調べてみました。

その1「never give someone the time of day」

「頭ごなし」という英単語はないので、文脈に合わせて表現方法を考える必要があります。とりつく島がないというニュアンスで、「never give someone the time of day」という言い回しが無難でしょう。「the time of day」を「a chance」に変えると「チャンスすらくれない」になるので、上手く使い分けてください。

\次のページで「その2「scold without thinking」」を解説!/

その2「scold without thinking」

「考えずに叱る」と考えて「scold without thinking」とも表現出来ますよ。考えなしに叱る=頭ごなしのニュアンスになります。こちらの方が意味は穏やかですが使いやすいかもしれませんね。例文を挙げるので参考にしてください。

「My boss always never gives me the time of days.

(上司はいつも頭ごなしに叱る。)

「When scolding a child, don’t be scolded without thinking.」

(子供を叱る時、頭ごなしに叱ってはいけません。)

 

「頭ごなし」を使いこなそう

この記事では「頭ごなし」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しましょう。「頭ごなし」とは相手の言い分や事情を知ろうとせずに、一方的に決めつける事の意味でしたね。

「頭ごなし」という言葉を解説しながら「問答無用」や「理由はどうであれ」などの似た表現がいくつか頭に浮かびましたが、ビジネスシーンに限らず、相手の話を聞かない・事情を知ろうとしない、この時点で人として如何なものかと思います。いくら「頭ごなし」に物を言っても、心の余裕のなさやコミュニケーション能力の低さが周囲の人には伝わるでしょうし、円滑な人間関係は築けませんよね。人の話を聞く、人と寄り添った人間でありたいものですね。この記事が参考になれば幸いです。

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国語言葉の意味

「頭ごなし」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「頭ごなし」について解説する。

端的に言えば頭ごなしの意味は「決めつけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「頭ごなし」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「頭ごなし」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「頭ごなし」の意味や語源・使い方まとめ

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「頭ごなし」に叱られたり「頭ごなし」に叱った経験はありませんか?誰でもが当たり前に経験することではありませんが、圧倒的に強い人・偏屈な人が周りにいる人は身に覚えがあるかも知れませんね。今回は「頭ごなし」について詳しく解説をしていきます。

それでは早速「頭ごなし」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頭ごなし」の意味は?

「頭ごなし」には、次のような意味があります。

1.事情を知ろうとしたり相手の言い分を聞こうとしたりせずに、状況を一方的に決めてかかる事。
2.相手の言い分を聞かず、最初から決めつけた態度を取ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭ごなし」

「頭ごなし」とは「相手の言い分も聞かず決めつけた態度を取ること」の意。何かトラブルが起こった時、中立の立場に立つならまずは両者の言い分を聞く事が鉄則です。一方の話だけでは事実を客観的に知る事は難しいですし、公平性に欠けますよね。「頭ごなし」とは、最初から公平性や中立の立場など無視して、一方的に決めつける行為を表す言葉ですよ。

よく間違われる言葉で「1人の頭上を越して何かをすること」を表す「頭越し」という言葉もあります。響きがとても似ている事から間違われる事も多いですが、全く違う意味の言葉ですので混同しないようにしましょう。

「頭ごなし」の語源は?

次に「頭ごなし」の語源を確認しておきましょう。

「頭ごなし」は「頭」ではなく、実は「こなし」の方が主となる言葉なのです。「こなし」は「こなす」という動詞の連用形で、3つの意味を持っていますよ。形ある物を粉状にする「粉成す」と、そこから派生して食べた物を胃の中で消化する意味の「こなす」、最後に消化する意味をさらに発展させた「思うままに扱う」の3つです。「要領よくこなす」などと使われていますよ。その意味を踏まえて、「頭ごなし」は「頭(最初から)思うままに扱う」と成ったのです。

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