この記事では「出立ち」について解説する。

端的に言えば出立ちの意味は「身なり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「出立ち」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。いつも出立ちにはあまりこだわらない。重要視しているのは、サイズが合うかどうかだ。特に足が大きいので、靴を買うときは時間がかかる。

「出立ち」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「出立ち」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「出立ち」の意味は?

「出立ち」には、次のような意味があります。

1.出かけるときの服装。転じて、身なり。いでたち。「書生羽織を着た寛闊—である」〈魯庵・社会百面相〉
2.出発。旅立ち。また、物事の始まり。「たやすく弥陀の浄土へまゐりなんずるための—なり」〈蓮如御文章〉
3.出発のときの食事。いでたち。「目覚めて、—焼(た)く女に」〈浮・一代男・二〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「出立ち」

まず、一般的に「出立ち」は「でたち」と読み、上に掲げた辞書でも「でたち」で掲載されています。しかし、現代では「でたち」よりも「出で立ち」(いでたち)の方が広く使われているでしょう。「出立ち」でも通用しますが、もしも文章で「いでたち」を表現する場合は、「出で立ち」とした方が分かりやすいはずです。

「出立ち」の意味ですが、辞書にはいくつかの意味が記載されています。しかし、現代において使われているのは、上にある辞書ではほとんどが1の意味でしょう。「身なり」が今使われている「出立ち」の意味です。

「出立ち」の語源は?

次に「出立ち」の語源を確認しておきましょう。

前掲した辞書の意味にも記載されていますが、2番の「旅に出る」という意味が「出立ち」の意味としては先にあったものです。古文における「出で立つ」(いでたつ)を古語辞典で見ると、順番で先に「そびえ立つ」や「旅立つ」などの意味が書かれてます。そこから、3番の「旅に出るための食事」であったり、「旅に出るための身なり」などに意味が枝分かれしました。それがいつしか、辞書の1番にある「転じて身なり、いでたち」というように、普段の服装でも「出立ち」と呼ぶようになっています。

\次のページで「「出立ち」の使い方・例文」を解説!/

「出立ち」の使い方・例文

「出立ち」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.また今日は一段と素敵な出立ちですな。
2.君とは月イチで会うくらいだけど、いつも似たような出立ちだね。
3.仕事場では作業服、普段はジャージの多い二人だが、今は新郎新婦の出立ちになって輝いて見える。

「出立ち」を例文2のように普段の服装に対しても使うことがあるかもしれません。しかし、普段よりもいい身なりを指して「出立ち」と呼ぶのが多い傾向です。

そもそも「出立ち」が「旅支度、旅に出るときの服装」という意味だったこともあり、「出立ち」では特によそ行きの格好を表します。例文3がその典型でしょう。晴れの舞台で着るような服装を、よく「出立ち」と表現します。

「出立ち」の類義語は?違いは?

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ところで、「出立ち」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「装い」「格好」

「身なり」という意味の言葉は、「出立ち」以外にも「装い」(よそおい)や「格好」(かっこう)などがあります。順に見ていきましょう。

まずは「装い」を辞書で見てみると、「身なりを整えること」や「身じたく」などとあります。もちろん「身なり」や「美しく着飾ること」という意味もありますが、「装い」の意味で強調されるのは、身なりを整えようとする準備の動きでしょう。「出立ち」はどちらかというと見た目の方の意味が強いので、その点で2つの言葉は意味が少し違うということになります。

次は「格好」です。辞書には「身なり、姿」もありますが、その他にも「人に対して恥ずかしくない姿かたち、体裁」などとあります。「体裁」と聞けば、見た目だけではないと感じられるのではないでしょうか。服装や髪型だけでなく、立ちふるまいなども「体裁」のうちに含まれるはずです。つまり、「格好」は外に現れる動きも指し示すということになり、その点が「出立ち」とは違うと言えます。

\次のページで「「出立ち」の対義語は?」を解説!/

「出立ち」の対義語は?

さらに「出立ち」の対義語も見ていきましょう。

「内面」「中身」

「出立ち」が「身なり」や「服装」という意味ならば、つまりは「外見」のことを表しているはずです。ならば、「出立ち」の対義語となるものがおのずと絞られていくでしょう。

「外見」の反対は、「内面」や「中身」です。これらを「出立ち」の対義語に置き換えても良いでしょう。

ちなみにですが、「なかみ」は「中身」だけでなく、「中味」という表記も目にしたことがあるはずです。となると、「中身」と「中味」は違うのかと疑問が湧くところですが、結論としては意味に違いはありません。ですが、「中味」の方は当て字とされます。よって、無難な表現にするのであれば「中身」の方を使いましょう。

「出立ち」の英訳は?

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では、「出立ち」の英訳は何と言うでしょうか。

「dress」「appearance」

ようするに、「出立ち」は「身なり」や「服装」のことです。ならば、「出立ち」の英訳に悩まされることはありません。

dress」ですと「服装」に近いですし、「appearance」なら「身なり」や「外見」に近いでしょう。また、洋服店なら「outfit」(アウトフィット)という表現が使われますし、スポーツ用品店なら「equipment」(エキップメント、エクイップメント)という単語が多用されます。「turnout」や「getup」などもありますし、それこそ単純に「clothes」や「clothing」でも良いでしょう。

「出立ち」を使いこなそう

この記事では「出立ち」の意味・使い方・類語などを説明しました。

もともと「出立ち」とは「旅に出ること」でした。しかし、今では「身なり」や「服装」を意味することが多くなっています。しかも、ただの「服装」ではなく、よそ行きと言えるものが「出立ち」です。そういえば、卒業式や結婚式のように次の世界への「出立ち」(旅立ち、門出)をする際には、それなりの「出立ち」(身なり、衣装)をします。やはり「出立ち」は、旅立ちとは切り離せないのかもしれません。

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国語言葉の意味

「出立ち」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「出立ち」について解説する。

端的に言えば出立ちの意味は「身なり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「出立ち」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。いつも出立ちにはあまりこだわらない。重要視しているのは、サイズが合うかどうかだ。特に足が大きいので、靴を買うときは時間がかかる。

「出立ち」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「出立ち」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「出立ち」の意味は?

「出立ち」には、次のような意味があります。

1.出かけるときの服装。転じて、身なり。いでたち。「書生羽織を着た寛闊—である」〈魯庵・社会百面相〉
2.出発。旅立ち。また、物事の始まり。「たやすく弥陀の浄土へまゐりなんずるための—なり」〈蓮如御文章〉
3.出発のときの食事。いでたち。「目覚めて、—焼(た)く女に」〈浮・一代男・二〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「出立ち」

まず、一般的に「出立ち」は「でたち」と読み、上に掲げた辞書でも「でたち」で掲載されています。しかし、現代では「でたち」よりも「出で立ち」(いでたち)の方が広く使われているでしょう。「出立ち」でも通用しますが、もしも文章で「いでたち」を表現する場合は、「出で立ち」とした方が分かりやすいはずです。

「出立ち」の意味ですが、辞書にはいくつかの意味が記載されています。しかし、現代において使われているのは、上にある辞書ではほとんどが1の意味でしょう。「身なり」が今使われている「出立ち」の意味です。

「出立ち」の語源は?

次に「出立ち」の語源を確認しておきましょう。

前掲した辞書の意味にも記載されていますが、2番の「旅に出る」という意味が「出立ち」の意味としては先にあったものです。古文における「出で立つ」(いでたつ)を古語辞典で見ると、順番で先に「そびえ立つ」や「旅立つ」などの意味が書かれてます。そこから、3番の「旅に出るための食事」であったり、「旅に出るための身なり」などに意味が枝分かれしました。それがいつしか、辞書の1番にある「転じて身なり、いでたち」というように、普段の服装でも「出立ち」と呼ぶようになっています。

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