この記事では「ご相伴(ごしょうばん)」について解説する。

端的に言えばご相伴の意味は「ご一緒、お供」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「ご相伴」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

会社員時代は上司にかわいがられ、宴席の際は「ご相伴にあずかる」機会も多かったらしい。ご相伴とはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「ご相伴」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ご相伴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ご相伴」の意味は?

「ご相伴」には、次のような意味があります。

1. 連れ立って行くこと。また、その連れの人。

2.饗応の座に正客の連れとして同席し、もてなしを受けること。または、人の相手をつとめて一緒に飲み食いをすること。また、その人。

3.他とのつり合いや行きがかりで利益を受けること。また、他の人の行動に付き合うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「相伴」

辞書にも載っている「相伴」を丁寧にした「ご相伴」は、丁寧語、謙譲語として便利に使えるので、目上の人と接する機会が多い人なら覚えておきたい言葉です。

1つ目の意味のように単に連れ立っていく、同席するだけでも「相伴」ですが、ビジネスシーンにおいては上司が呼ばれた接待の場に連れていってもらうように、2つ目の意味で使われることが多いですよ。そのため、上司が接待されるわけではない社内の宴会で「ご相伴させていただきます」と使ってしまうと、違和感があると捉える人もいるので注意しましょう。

「ご相伴」の語源は?

次に「ご相伴」の語源を確認しておきましょう。

室町時代、幕府には「相伴衆」と呼ばれる役職がありました。「御相伴衆」とも呼ばれるこの役職は将軍に付き従って宴に参加したり、他家を訪問する役割を担ったことが由来となって今の「ご相伴」という表現になっています。

\次のページで「「ご相伴」の使い方・例文」を解説!/

「ご相伴」の使い方・例文

「ご相伴」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・秘書をしていて楽しいと思うのは、社長のご相伴にあずかって高級店でごちそうをいただける機会が多いことです。

・会食にご相伴させていただけるのは光栄ですが、礼儀知らずなのでドレスコードなどのマナーに反したことをしでかさないか心配になります。

このように、「ご相伴」は「ご相伴にあずかる」「ご相伴させていただく」などの形で使われます。ほかに「ご相伴いたします」や「ご相伴させてください」と使ってももちろんかまいません。

こうした例からも分かるように、相手に敬意を表し自分を下げた表現で用いるのが「ご相伴」です。もし「部長、社長にご相伴したときの話を聞かせてください」など、自分より目上の人の行動について「ご相伴」を使ってしまうと失礼なので気をつけましょう。

「ご相伴」の類義語は?違いは?

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「ご相伴」と似た意味で使える表現を見ていきましょう。

「随伴(ずいはん)」

お供として付き従うことや、一緒に連れていくことをいいます。人に限らず物事を主語として使うこともでき、「胸痛の随伴症状」のように医学用語としても用いられますよ。

「ご相伴」と異なるのは、もてなしを受けるとか利益を得るといったニュアンスは含まれない点です。地位の高い人に付き従うことは「随行(ずいこう)」とも表します。

\次のページで「「末席を汚す(まっせきをけがす)」」を解説!/

「末席を汚す(まっせきをけがす)」

集まりに参加することをへり下っていう言い方です。平社員ながら、社長のお供で食事に招かれたような場合の自己紹介で「このような晴れやかな場の末席を汚すことになりまして感謝にたえません。△△部の○○です」などと使います。

新しい部署に異動になったり、なんらかの会合のメンバーに抜擢されたりという際に、謙遜の気持ちを表しやすく便利に使えるのでぜひ覚えておきましょう。

「ご相伴」との違いは、「どこかに行く」とか「正客の連れとして」という意味は含まず、仲間に加わる場合全般に使える点です。

「陪席(ばいせき)」

身分の高い人と同席することをいいます。目上の人と共に宴席に出席する際に使える言葉ですが、利用するシーンは必ずしももてなされる場には限りません。

また、合議制の裁判では裁判長以外の裁判官のことを陪席裁判官と呼び、略して「陪席」と呼ぶこともありますよ。

・大臣に随伴して渡航するのは緊張するものです。

・営業活動に随行させてもらい、いろいろと勉強になりました。

・今日からこの部署の末席を汚すことになりました、よろしくお願いいたします。

・晩さん会に陪席することになり、失礼がないように作法を叩き込んでいるところです。

「ご相伴」の対義語は?

「ご相伴」には対義語といえる表現はありません。「メインの客とともにもてなしを受ける」の反対となると、自分が主賓と捉えれば単に「もてなされる」となります。また「もてなしを受けないを特別表現する言葉も存在しないでしょう。

「ご相伴にあずかる」ことができない事情があるような場合は、「申し訳ございませんが業務の関係でお供できません」などと断ればいいのではないでしょうか。

「ご相伴」の英訳は?

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最後に、「ご相伴」を英語の中で用いる方法を見ておきましょう。英語で「目上の人と」というニュアンスまで含む表現は存在しないので、「一緒に行く」ことを表す表現を紹介します。

「share in」

「~を分かち合う、共有する」の意味です。日本語でもレストランで大皿から「シェアする」といいますね。ビジネスシーンでも「貴重な情報をシェアしていただいて感謝します」などと聞くことがあります。

このように、食事に限らず情報や考え、繫栄といった抽象的なものを分かち合う際にも使える表現です。

\次のページで「「お相伴」との違いは?」を解説!/

「お相伴」との違いは?

一般的な使い方で「お相伴」といった際は、「ご相伴」と意味は全く同じです。どちらが正解、間違いということではなく、しいていえば「お相伴」のほうがやわらかく聞こえるといった程度。

ただ、桜木先生も指摘したとおり、茶道の世界では「お相伴」という読み方が普通です。お茶の席における客の位は正客、次客、三客と続き、次客以下はまとめて「相伴」とも呼ばれます。この相伴は、自分より位が上の客に対しては「お相伴させていただきます」と告げてからお茶を飲んでいくという習慣がありますよ。

「ご相伴」を使いこなそう

この記事では「ご相伴」の意味・使い方・類語などを説明しました。家族や友人など親しい関係ではあまり聞かない言葉ですが、社会人になるとこうした言葉も使いこなせると語彙力の豊かさを感じさせることもできます。ここぞというときにすっと出てくるように、意味と使い方を頭に入れておきましょう。

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国語言葉の意味

「ご相伴」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「ご相伴(ごしょうばん)」について解説する。

端的に言えばご相伴の意味は「ご一緒、お供」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「ご相伴」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

会社員時代は上司にかわいがられ、宴席の際は「ご相伴にあずかる」機会も多かったらしい。ご相伴とはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「ご相伴」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ご相伴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ご相伴」の意味は?

「ご相伴」には、次のような意味があります。

1. 連れ立って行くこと。また、その連れの人。

2.饗応の座に正客の連れとして同席し、もてなしを受けること。または、人の相手をつとめて一緒に飲み食いをすること。また、その人。

3.他とのつり合いや行きがかりで利益を受けること。また、他の人の行動に付き合うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「相伴」

辞書にも載っている「相伴」を丁寧にした「ご相伴」は、丁寧語、謙譲語として便利に使えるので、目上の人と接する機会が多い人なら覚えておきたい言葉です。

1つ目の意味のように単に連れ立っていく、同席するだけでも「相伴」ですが、ビジネスシーンにおいては上司が呼ばれた接待の場に連れていってもらうように、2つ目の意味で使われることが多いですよ。そのため、上司が接待されるわけではない社内の宴会で「ご相伴させていただきます」と使ってしまうと、違和感があると捉える人もいるので注意しましょう。

「ご相伴」の語源は?

次に「ご相伴」の語源を確認しておきましょう。

室町時代、幕府には「相伴衆」と呼ばれる役職がありました。「御相伴衆」とも呼ばれるこの役職は将軍に付き従って宴に参加したり、他家を訪問する役割を担ったことが由来となって今の「ご相伴」という表現になっています。

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