国語言葉の意味

ことわざ「泥のように眠る」の意味は?語源は中国?意味や使い方・類語・英語表現を元小学校教諭がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。この記事では「泥のように眠る」について解説する。

端的に言えば「泥のように眠る」の意味は「ぐっすりと深く眠る」だ。それにしても、なぜ「泥」なのか不思議だと思わないか?

小学校教諭として言葉の授業を何度もしてきた「こと」と一緒に、「泥のように眠る」の意味や使い方・語源・類語などを見ていこう。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/こと

元小学校教諭のwebライター。先生や子どもたちから「授業が分かりやすい!」との定評があった教育のプロだ。豊富な経験を活かし、どんな言葉も分かりやすく解説していく。

「泥のように眠る」の意味と使い方

image by iStockphoto

では早速、ことわざ「泥のように眠る(どろのようにねむる)」の意味と使い方を見ていきましょう。

「泥のように眠る」の意味は「ぐっすりと深く眠る」

まずは「泥のように眠る」の意味を辞書で確認します。

正体もなく眠り込んでいるさまにいう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「泥のように眠る」

「正体もなく」眠り込んでいるというくらい、ぐっすりと深い眠りに入っているということです。「正体がない」とは相当な眠り様ですよね。

「泥のように眠る」の使い方を例文で紹介

「泥のように眠る」の使い方を例文で紹介します。

・深夜に帰宅し、そのまま布団に倒れて泥のように眠っていた。
・いつの間にか泥のように眠っていたようで、気づけば夕方になっていた。
・週末は決まって泥のように眠ってしまうが、何とかならないだろうか。

このように、どの例文も深く眠り込んでいる様子を表しています。

「泥のように眠る」の語源は?

image by iStockphoto

「泥のように眠る」の語源を探っていきましょう。正体がないかのごとく深く眠っている様子を表すことわざですが、「泥」に「正体がない」というイメージはあまりありません。なぜ「泥」なのか気になるところです。

中国の言い伝えから来た言葉

「泥のように眠る」の語源は諸説あります。その一説が、中国の古書『異物志(いぶつし)』にでてくる「泥(でい)」という虫が関係しているとされているのです。「泥のように眠る」は中国の言い伝えから来た言葉ということですね。

中国では「泥(でい)」という想像上の生物が海の中に住んでいると言われていました。その生物は海の中では元気なのですが、海から外に出ると途端に動かなくなってしまいます。そこから、疲れ果てて眠り込んでしまう様子を「泥のように眠る」と表現するようになったということです。

意味は「でい」ですが、読み方は「どろ」が正解。間違えないように注意しましょう。

「泥酔」も同じ語源の言葉

同じ語源の言葉に「泥酔(でいすい)」があります。「泥酔」は「正体をなくすほど、ひどく酔うこと」です。「泥(でい)」という想像上の生物は骨がないことから、陸に上がると動かないだけではなく、泥(どろ)のように形を保てなくなります。「泥(でい)」のぐったりとして力が入っていない様子が、グテングテンに酔ってしまった様子を表す「泥酔」という言葉と同じですよね。

こちらは、語源の生物の名前のまま「泥(でい)」と読んでいますね。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

「泥のように眠る」の「泥(どろ)」は、どろ遊びの泥ではなく、元々「泥(でい)」という中国の想像上の生物を表す単語だったんだな。

似た言葉「泥のように寝る」「綿のように疲れる」

image by iStockphoto

似た言葉に「泥のように寝る」「綿のように疲れる」があります。それぞれ詳しく見てみましょう。

ちなみに「泥のように疲れる」は厳密には間違った使い方なので、注意が必要です。

「泥(どろ)のように寝る」:正体をなくした様子で眠るさま

「泥のように寝る」も正しい言葉です。「泥のように眠る」と同じように「正体をなくした様子で眠るさま」を例えた表現。 ただ「泥のように眠る」のほうがより一般的に用いられます。

\次のページで「「綿(わた)のように疲れる」:ひどく疲れてくたくたになる様子」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: