この記事では「冬来りなば春遠からじについて解説する。

端的に言えば冬来りなば春遠からじの意味は「苦難に耐え努力を重ねた先には幸せなときが訪れる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「冬来りなば春遠からじ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「冬来りなば春遠からじ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「冬来りなば春遠からじ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「冬来りなば春遠からじ」の意味は?

「冬来りなば春遠からじ」には、次のような意味があります。

《英国の詩人、シェリーの詩「西風の賦」の一節から》つらい時期を耐え抜けば、幸せな時期は必ず来るというたとえ。長い冬を耐えて春を待つ気持ちの表現としても用いられる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「冬来りなば春遠からじ」

イギリスの詩の訳文が由来となり広まった慣用句です。

終りが無いように思える長い苦楽でも、その先には春のように希望に満ちた時期がやってくるという前向きなフレーズですね。

稲作の労働者からしたら苦難と冬、幸運と春は一致しますのでその風景が目に浮かぶような言葉です。

ちなみに古語で「~なば」は「~てしまったならば、~したならば」を指す助動詞と接続助詞の組み合わせ、「~じ」は「~ないだろう、~まい」という意味を持つ助動詞になっています。

「冬来りなば春遠からじ」の使い方・例文

「冬来りなば春遠からじ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「冬来りなば春遠からじ」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.冬来りなば春遠からじと信じて今は勉強に励むしかない。
2.冬来りなば春遠からじとは言うが、ただ何もしないで耐えるだけでは何も起きないぞ。

1は、現在はとても辛い状況だが努力が報われると信じて一生懸命行っていくために奮い立たせる意味で使われている例です。

特に受験では入試本番が冬、結果発表や入学が春なので使われやすいとも考えられます。

2はこの言葉の本質を考えて、苦労の先に良いことが待っているのであってぼーっとしているだけでは意味がないと諭してる様子です。

この言葉に甘えるのではなく、自分を奮起させる目的で使うのが本来の役目だということですね。

「冬来りなば春遠からじ」の類義語は?違いは?

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つづいて、「冬来りなば春遠からじ」と似た意味を持つ単語や関連する表現について見ていきましょう。

その1「石の上にも三年」

このことわざは比較的知っている方が多いのではないでしょうか。

はじめは座るとヒヤリとする石ですが、ずっとそこにいると体温で温まってきます。このことから困難であっても長い間耐え抜けば達成できるということを指すようになりました。

三年というのは具体的な年月のことではなく、長い間のたとえとして用いられている点も注目です。「何事も三年は耐えろ」といった意味ではないので注意しましょう。

その2「臥薪嘗胆」

将来的な成功を見据えて現在は苦難に耐えることを指し、読み方は「がしんしょうたん」である四字熟語です。

それぞれの漢字に注目すると、薪の上に寝たり、苦い肝をなめたりという苦行を乗り越えるという意味が分かります。

ちなみに明治時代に「三国干渉」の発生後、ロシア帝国に対する報復を目指すスローガンとしても使われたという記録が残っている歴史ある表現です。

\次のページで「その3「雨垂れ石を穿つ」」を解説!/

その3「雨垂れ石を穿つ」

その努力が小さな影響力しか持っていなかったとしても、積み重なれば雨粒が石に穴をあけるように大きな結果を招くということのたとえ。

「石の上にも三年」は長く努力をすることに焦点を当てている点、「雨垂れ石を穿つ」は小さなことの積み重ねに着目している点が微妙に異なりますね。

細かなニュアンスに注意して使い分けられるとより語彙力を高めることができますよ。

「冬来りなば春遠からじ」の対義語は?

次に、「冬来りなば春遠からじ」と反対の意味を持つ言葉について学んでいきましょう。

その1「脂に画き 氷に鏤む」

「あぶらにえがき こおりにちりばむ」と読みます。がんばったことが報われずに終わってしまうことのたとえです。

脂っぽいところに何かを描いたり氷を彫刻に使ったりすると、最後には溶けてなくなってしまいます。

そこから努力が無駄になることを指すようになりました。

その2「一難去ってまた一難」

困難を乗り越えたと思った矢先に新たな困難に見舞われることを指します。

「冬来りなば春遠からじ」では困難の後に幸運が訪れるため困難が続く点で反対と言えるでしょう。息つく間もなく災難が訪れるという点で耐え忍ぶというよりは対処していく、というイメージで使われます。

その3「泣きっ面に蜂」

大変な目に遭っているのにさらに困難に見舞われることを指します。

既に悲しいことがあり泣いているのにその顔を蜂に刺されてしまうという様子から来た言葉です。ほぼ同じ意味で「踏んだり蹴ったり」とおい表現もあるので合わせて覚えておきましょう。

他の例よりも困難の度合いが軽い場合に使うことが多いため、日常会話ではこれを使うと良いかもしれません。

「冬来りなば春遠からじ」の英訳は?

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最後に「冬来りなば春遠からじ」を英語で表す方法をご紹介します。

\次のページで「その1「If winter comes , can spring be far behind?」」を解説!/

その1「If winter comes , can spring be far behind?」

「冬来りなば春遠からじ」のもとになった詩そのもの。

直訳すれば「冬が来たなら、春はすごく遠くにあることがあるのだろうか?(いや、ない=近い)」という反語的表現です。

詩の一説であるため英語話者だからと言って伝わるとは限りませんので、日本語で「冬来りなば春遠からじ」と言うとき同様使う場は選んだほうが良いでしょう。

その2「Perseverance prevails.」

忍耐力が勝つ。」という意味です。

「冬来りなば春遠からじ」の意味を最もシンプルに言い表すことができ、短い文章なのでこれを覚えておくと便利でしょう。

その3「Hard work will pay off.」

努力は報われる。」英語の授業などで習った方もいるかもしれません。

「冬来りなば春遠からじ」の耐えるというニュアンスはあまり含まれていませんが、分かりやすいため場面・相手を選ばず使うことができる表現です。

「冬来りなば春遠からじ」を使いこなそう

この記事では「冬来りなば春遠からじ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

昔から国境を越えて冬は苦難、春は幸運の象徴だったのが面白いと思います。個人的には日本語訳では古語が用いられているのも好みです。

一緒に春が訪れるまで努力を続けていきましょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「冬来りなば春遠からじ」の意味や使い方は?例文や類語を現役文学部生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「冬来りなば春遠からじについて解説する。

端的に言えば冬来りなば春遠からじの意味は「苦難に耐え努力を重ねた先には幸せなときが訪れる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「冬来りなば春遠からじ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「冬来りなば春遠からじ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「冬来りなば春遠からじ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「冬来りなば春遠からじ」の意味は?

「冬来りなば春遠からじ」には、次のような意味があります。

《英国の詩人、シェリーの詩「西風の賦」の一節から》つらい時期を耐え抜けば、幸せな時期は必ず来るというたとえ。長い冬を耐えて春を待つ気持ちの表現としても用いられる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「冬来りなば春遠からじ」

イギリスの詩の訳文が由来となり広まった慣用句です。

終りが無いように思える長い苦楽でも、その先には春のように希望に満ちた時期がやってくるという前向きなフレーズですね。

稲作の労働者からしたら苦難と冬、幸運と春は一致しますのでその風景が目に浮かぶような言葉です。

ちなみに古語で「~なば」は「~てしまったならば、~したならば」を指す助動詞と接続助詞の組み合わせ、「~じ」は「~ないだろう、~まい」という意味を持つ助動詞になっています。

「冬来りなば春遠からじ」の使い方・例文

「冬来りなば春遠からじ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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