この記事では「微に入り細を穿つ」について解説する。

端的に言えば微に入り細を穿つの意味は「非常に細かいところまでゆきとどく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「微に入り細を穿つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「微に入り細を穿つ」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「微に入り細を穿つ」ということわざをご存じですか? あまり聞きなれない言葉ですが、意味をきちんと理解して正しい場面で使うことができれば、それだけで自慢できちゃいそうですよね。この記事ではそんな「微に入り細を穿つ」について解説していきますよ。それでは早速「微に入り細を穿つ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「微に入り細を穿つ」の意味は?

「微に入り細を穿つ」ということわざは、どういった意味を持つのでしょうか。辞書を紐解いてみると、次のような意味が書かれていました。

非常に細かいところまでゆきとどく。微に入り細に入り。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「微に入り細を穿つ」

「微に入り細を穿つ」ということわざは「細かいところまでゆきとどく」という意味です。主に相手から懇切丁寧な配慮をもらった際に使われることわざとなります。相手に対する感謝の念または称賛の念と合わせて使われることが多いですね。一方で単純に「とても細かい」というニュアンスで用いられることもあります。

ちなみに読み方は「びにいりさいをうがつ」であり、「入り」は「はいり」とは読みません。「微に入り細に入り」と言われることもあり、この場合も両者「はいり」ではなく「いり」と読みます。「穿つ」という言葉も難しい漢字であり、かつ履き違えやすい意味を持っているので注意が必要です。

「微に入り細を穿つ」の語源は?

次に「微に入り細を穿つ」の語源を確認しておきましょう。「微に入り細を穿つ」をわかりやすく言い換えると、「非常に細かいところまで入り込み、さらにそこへ小さな穴を開ける」という意味になります。「微」は「非常に小さいこと」、「細」には「こまかいこと」という意味があり、小さいところで更にこまかいことをする、という場面から「細かいところまでゆきとどく」という意味が生まれました。

また「穿つ」には「物事の本質をとらえる」という意味もあります。「非常に細かいところまで入り込み、その物事の小さな本質をとらえる」と解釈しても、「細かいところまでゆきとど」かせようとする意思が伝わってくるでしょう。

\次のページで「「微に入り細を穿つ」の使い方・例文」を解説!/

「微に入り細を穿つ」の使い方・例文

それでは「微に入り細を穿つ」の正しい使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大学の講師による日本語の授業は微に入り細を穿つ的確な解説だと日頃から評価され、参加者全員の能力アップが期待できる部分があるという見方があった。
2.就職先の関連会社の上司に提出した最新の報告書は微細な画像付きで、克明かつ詳細に執筆されており、微に入り細を穿つ気配りがなされたものだと好評だった。
3.現在、国語力の先生が関与している資格検定試験の添削内容は、微に入り細を穿つ対応であり、自分も周りも自然と関心するコメントをツイートする様子だった。

例文はどちらも「細かいところまでゆきとどいている」という意味で使われています。「微に入り細を穿つ」ということわざは、おおよそポジティブなニュアンスで用いられることがほとんどです。「細かい所に穴を開ける」能力自体が希少かつ有用なものなので、そういった使われ方になるのも自然なことかもしれませんね。

「微に入り細を穿つ」の類義語は?違いは?

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「微に入り細を穿つ」と似たような意味を持つ言葉はとてもたくさんあります。ポジティブな意味を持つので、ほめ言葉として相手を称賛する語彙が自然と増えたのかもしれませんね。ここではその一例をご紹介しましょう。

その1「痒い所に手が届く」

「痒い所に手が届く」とは「細かいところまで配慮が行き届き、気が利いている」ことをたとえたことわざです。「微に入り細を穿つ」とほぼ同じような意味を持つことわざですが、「微に入り細を穿つ」の方が最上級のほめ言葉として使われることが多いでしょう。

\次のページで「その2「至れり尽くせり」」を解説!/

その2「至れり尽くせり」

「至れり尽くせり」とは「配慮が行き届いて申し分がない」という意味の慣用句です。「微に入り細を穿つ」や「痒い所に手が届く」と同じような意味を持っていますが、やはり「微に入り細を穿つ」の持つ格には届いていないような印象がありますね。ちなみにこの言葉の由来は、中国の古典である荘子の斉物論だとされています。

「微に入り細を穿つ」の対義語は?

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「微に入り細を穿つ」とは反対の意味を持つ言葉はいくつかあります。ここではその一例をご紹介しましょう。

「杜撰」

「杜撰」の読み方は「ずさん」であり、「物事がいい加減で誤りが多いこと」を表す言葉です。「微に入り細を穿つ」が「細かいところまでゆきとどいている」のに対し、いい加減でかつミスが多いのは対照的であると言わざるを得ないでしょう。

ちなみに「杜」は宋の時代の杜黙のことで、「撰」とは詩文を作ることです。杜黙が作る詩が定形詩の規則にほとんど合っていなかった、という「野客叢書」に書かれた故事からこの言葉はきています。

「微に入り細を穿つ」を使いこなそう

この記事では「微に入り細を穿つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。私は「微に入り細を穿つ」解説を心掛けておりますが、皆さんは「微に入り細を穿つ」について知識を深めることができたでしょうか。Study-Zにはこの他にも言葉の意味を解説する記事がたくさん掲載されています。興味のある方はぜひサイト検索を行って、他の「微に入り細を穿つ」ような記事を読んでみてくださいね!

" /> 【ことわざ】「微に入り細を穿つ」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【ことわざ】「微に入り細を穿つ」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「微に入り細を穿つ」について解説する。

端的に言えば微に入り細を穿つの意味は「非常に細かいところまでゆきとどく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「微に入り細を穿つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「微に入り細を穿つ」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「微に入り細を穿つ」ということわざをご存じですか? あまり聞きなれない言葉ですが、意味をきちんと理解して正しい場面で使うことができれば、それだけで自慢できちゃいそうですよね。この記事ではそんな「微に入り細を穿つ」について解説していきますよ。それでは早速「微に入り細を穿つ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「微に入り細を穿つ」の意味は?

「微に入り細を穿つ」ということわざは、どういった意味を持つのでしょうか。辞書を紐解いてみると、次のような意味が書かれていました。

非常に細かいところまでゆきとどく。微に入り細に入り。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「微に入り細を穿つ」

「微に入り細を穿つ」ということわざは「細かいところまでゆきとどく」という意味です。主に相手から懇切丁寧な配慮をもらった際に使われることわざとなります。相手に対する感謝の念または称賛の念と合わせて使われることが多いですね。一方で単純に「とても細かい」というニュアンスで用いられることもあります。

ちなみに読み方は「びにいりさいをうがつ」であり、「入り」は「はいり」とは読みません。「微に入り細に入り」と言われることもあり、この場合も両者「はいり」ではなく「いり」と読みます。「穿つ」という言葉も難しい漢字であり、かつ履き違えやすい意味を持っているので注意が必要です。

「微に入り細を穿つ」の語源は?

次に「微に入り細を穿つ」の語源を確認しておきましょう。「微に入り細を穿つ」をわかりやすく言い換えると、「非常に細かいところまで入り込み、さらにそこへ小さな穴を開ける」という意味になります。「微」は「非常に小さいこと」、「細」には「こまかいこと」という意味があり、小さいところで更にこまかいことをする、という場面から「細かいところまでゆきとどく」という意味が生まれました。

また「穿つ」には「物事の本質をとらえる」という意味もあります。「非常に細かいところまで入り込み、その物事の小さな本質をとらえる」と解釈しても、「細かいところまでゆきとど」かせようとする意思が伝わってくるでしょう。

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