

端的に言えば溜飲が下がるの意味は「胸がすっきりする」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んだ。一緒に「溜飲が下がる」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/十木陽来
難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。
「溜飲が下がる」の意味や語源・使い方まとめ

皆さんは「溜飲が下がる」を正しく使えていますか? 「溜飲を晴らす」と言っている方も多く見受けられますが、実はこれは誤用なんです。「溜飲が下がる」は間違えて使っている人が多い慣用句であるといわれています。今日はこの記事を読むことで正しい意味と使い方を理解し、日常で活用してもらえると幸いです。
それでは早速「溜飲が下がる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
「溜飲が下がる」の意味は?
「溜飲が下がる」は「溜飲を晴らす」と間違えている人が多いと先ほど述べましたが、この慣用句はどういった意味を持つのでしょうか。辞書を紐解いてみると、次のような意味が書かれていました。
胸をすっきりさせる。不平・不満・恨みなどを解消して、気を晴らす。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「溜飲を下げる」
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」はどちらも同じ意味です。「溜飲が下がる」とは「(むかむかやもやもやなどが)すっきりする」「気が晴れる」といった意味を持つ慣用句で、何かしらのネガティブな事象が解消されて心が晴れやかになる様を表しています。また、「気が晴れる」という意味と言葉を混同したためか、「溜飲を晴らす」という誤用が広まっているようです。
平成29年度に文化庁によって行われた『国語に関する世論調査』では、本来の言い方である「溜飲を下げる」を使用している人は37.4パーセント、本来の言い方ではない「溜飲を晴らす」を使用している人は32.9パーセントという調査結果が出ていました。逆転現象こそありませんが、本来の言い方ではない方が、本来の言い方と同じくらい広く使われている使われていることがわかりますね。データ自体は少し古いですが、現在においても認識についてはさほど変わりはないと思われ、今後誤用が更に広まって逆転するか否かが注目されることとなるでしょう。
「溜飲が下がる」の語源は?
次に「溜飲が下がる」の語源を確認しておきましょう。「溜飲」の読み方は「りゅういん」で、「留飲」と書くのは誤りです。これは消化不良や胸やけなどで胃の中に飲食物が溜まることで発生する酸性の胃液のことを指します。これがのどまで上がってくると相当な不快感を覚えてしまうのですが、これが下がるとすっきりすることから「溜飲が下がる」という慣用句が生まれました。こうした語源を理解すると、「溜飲を晴らす」ではなく「溜飲が下がる」が本来の言い方であることが理解できるでしょう。
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