
「悖る」の対義語は?
さらに「悖る」の対義語も見ていきましょう。
「従う」「合わせる」
「悖る」には決まった対義語が存在しません。しかし、「悖る」の意味である「そむく、反する」からたどれば、「悖る」の対義語となりえるものが見つかります。
であるならば、「従う」や「合わせる」などが「悖る」の対義語としてふさわしいでしょう。「決まりごとにそむく」「決まりごとに反する」の逆になるものを考えれば、「決まりごとに従う」「決まりごとに合わせる」はしっくりくるはずです。
「be against」
特にゴルフのファンであれば、「アゲインスト」という言葉になじみ深いでしょう。ゴルフで「アゲインスト」は「逆風」のことです。そのイメージがあれば、「against」の意味もつかみやすいでしょう。
「against」には「〜に反して、〜にそむいて」などの意味があります。これを使って「悖る」という意味の英語にするには、be動詞を使いましょう。たとえば「to be against reason」で「道理に悖る」となります。
「be」以外にも、「go」や「sin」などの動詞でも良いでしょう。「sin」は「罪、過失」などの意味で名詞として使われることの方が多い単語ですが、「罪を犯す、そむく」という意味の動詞にもなります。

「悖る」の英訳として説明した英単語「against」の語源が面白いので紹介しよう。
実は、「against」(〜にそむく)と「again」(再び)の語源は同じだ。「again」の派生語として「against」ができるのだが、当初は「agains」と「s」が付く形だったらしい。ところが、12世紀頃のイギリスでは最上級などに使われる「〜st」が流行して、「again」にも「〜st」が付くようになった。結局そのまま「against」という形で残り、今に至るというわけだ。今も昔も言葉は変化していくものだな!
「悖る」を使いこなそう
この記事では「悖る」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「規則を破る」や「ルールに反する」であれば、どちらかというと軽微なものにも感じるかもしれません。しかし、「道徳に悖る」や「倫理に悖る」となると、人間としての根幹を揺るがす重大なことであると感じられます。それほど「悖る」は重みのある言葉です。よって、普段から「悖る」という言葉を使わずにすむ暮らしをしなければなりません。しかし、人の道から外れるようなことに遭遇したときは、遠慮なく「人道に悖る」と糾弾すべきでしょう。