
端的に言えば悖るの意味は「反する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「悖る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル
某国立大で日本語学を専攻。高校の倫理を、授業として時間を割いてまで教える必要はあるのかと疑問に思っていた。しかし、倫理や道徳に悖る行為をニュースでよく目にするので、やはり必要かとも考え直している。
「悖る」の意味は?
「悖る」には、次のような意味があります。
1.道理にそむく。反する。「人の道に—・る」
2.ねじり曲がる。ゆがむ。また、ゆがめる。「故(ことさら)に己が口を—・りて」〈霊異記・中〉
出典:デジタル大辞泉(小学館)「悖る」
まず最初に、「悖る」の読み方は「もとる」です。漢字検定1級レベルのため、この漢字自体を見たことがないという人もいるでしょう。送り仮名が付いた場合の読みは「もとる」です(その他「みだれる」)。ちなみに、おもな音読みには「ハイ」(悖徳など)や「ボツ」(悖然など)がありますが、日常で使うことはほぼないと言っていいでしょう。
「悖る」の意味は「道理にそむく、反する」です。前掲した辞書には、2の「ゆがむ、ゆがめる」という意味も記載されていますが、現代ではその意味では使われることがありません。「悖る」イコール「人の道から外れる」という認識でかまいません。
「悖る」の語源は?
次に「悖る」の語源を確認しておきましょう。
「悖る」の語源は「戻る」(もどる)とされます。実際に「もとる」を辞書で調べると、「悖る」と「戻る」が併記されている状況です。もともと「戻る」には、「人の心が従う自然な流れに反する」という意味がありました。水の流れが逆方向に「戻る」ことをイメージすると良いでしょう。それが現在使われている「道理にそむく、反する」という意味を持つ「悖る」へと変化しました。
\次のページで「「悖る」の使い方・例文」を解説!/