この記事では「恩を仇で返す」について解説する。

端的に言えば恩を仇で返すの意味は「感謝すべき受けた恩を返さずに、不利益を与える」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「恩を仇で返す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「恩を仇で返す」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは、「恩を仇で返す」という言葉をご存知ですか?日常生活ではなかなか使用されませんが、漫画やドラマなどで「恩を仇で返したな!」と使われることもあるので、聞いたり見たりしたことがある人も多いのではないでしょうか。今回はそんな「恩を仇で返す」について解説をしていきたいと思います。

それでは早速「恩を仇で返す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「恩を仇で返す」の意味は?

「恩を仇で返す」には、次のような意味があります。

身に受けた恩に感謝するどころか、かえって害を加える。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「恩を仇で返す」は「おんをあだでかえす」と読むことわざです。「仇」は「かたき」と読まないように注意してください。助けてもらった恩を相手に返さず、逆に害を与えることを意味する言葉です。
日本人は義理や人情に厚いと言われていますが、人に助けてもらったり嬉しいことをしてもらったら、その恩をいつか返したいと思うもの。しかし、時にはその恩に報いずに、逆に相手に害をなしたり不利益を被らせたりするするような不義理な仕打ちをしてしまう場面もあります。そのような際に「恩を仇で返す」と表すのです。また、「恩を仇で返すな」と言うように、後ろに禁止の意味を付けて使用されることもあります。

「恩を仇で返す」の語源は?

次に「恩を仇で返す」の語源を確認しておきましょう。

「恩を仇で返す」の「恩」は他人から与えられた恵みや情けのこと「仇」は恨みや害をなすものという意味を持ちます。この2つの言葉が組み合わされることで、恵みや情けをかけてくれた感謝すべき相手に対して害を与えるという意味が生まれたのです。

\次のページで「「恩を仇で返す」の使い方・例文」を解説!/

「恩を仇で返す」の使い方・例文

「恩を仇で返す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.無職の時に仕事を斡旋してくれた恩を忘れて無断欠勤のうえに勝手に辞めて仇で返すなんて、なんて最低な人だ。
2.ごちそうしてくれた恩返しとして掃除をしようと思ったが、自分の不注意で相手が大切にしていた花瓶を割ってしまい恩を仇で返してしまった。
3.受けた恩を忘れて平気で仇で返すような人になるなと、幼い頃からお母さんに言われて育った。

ここでは3つの例文を挙げました。ひとつひとつ使い方を確認していきましょう。

1は、仕事を斡旋してもらった恩を勝手にやめて迷惑をかけて仇で返すということを表す例文です。この例文のように、「恩を仇で返す」は恩返しをすべき相手に対して返って不利益を被らせた場合に用いられます。

2は、恩返ししようとしているのにも関わらず相手の大切にしている花瓶を割って不利益を被らせてしまうということを表す例文です。このように、きちんと恩返しをしようと自覚しているのに、それを失敗して意図せず仇で返してしまう悪意のない場合にも「恩を仇で返す」を使用することができます。
3は、「恩を仇で返す」を教訓として使っているの例文です。このように、「恩を仇で返す」の後に「〜するな」と禁止の言葉を付け加えることで、戒めとしても用いることができます。

「恩を仇で返す」の類義語は?違いは?

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身に受けた恩に感謝するどころか、かえって害を加えるという「恩を仇で返す」と似た意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。以下で詳しく確認していきましょう。

その1「後足で砂をかける」

「後足で砂をかける」は「あとあしですなをかける」と読みます。「後足」は「うしろあし」ではなく「あとあし」と読むので間違えないように注意しましょう。この言葉は、去り際に恩を仇で返すような行為をするという意味です。基本的には「恩を仇で返す」と同じ意味を持ちますが、「後足で」がつくことで去り際に・最後にという意味がつくことに違いがあります。

\次のページで「その2「忘恩負義」」を解説!/

1.世話になった上司に後ろ足で砂をかけるような形で仕事を辞めてしまい、今でもとても後悔している。
2.先輩に部活でとてもお世話になったにも関わらず卒業式で居眠りをしてしまい、後ろ足で砂をかけてしまった。

その2「忘恩負義」

「忘恩負義」は「ぼうおんふぎ」と読む四字熟語です。「忘恩」は恩を忘れること、「負義」は義理に背くことを意味し、このことから、恩義を忘れて義理に背くことを意味します。

1.どのような事情があれど、お金を援助してもらって借りたまま逃げる忘恩負義はあってはならない。
2.突然連絡もせず退職をした上に、競合会社に就職するなんて忘恩負義も甚だしい。

「恩を仇で返す」の対義語は?

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身に受けた恩に感謝するどころか、かえって害を加えるという「恩を仇で返す」と反対の意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。以下で詳しく確認していきましょう。

その1「仇を恩で報ずる」

「仇を恩で報ずる」は「あだをおんでほうずる」と読みます。恨みのある者にかえって情けを持って恩を施すという意味のことわざです。恩のある者に対して不利益を与える「恩を仇で返す」とは真逆の意味だと言えるでしょう。

1.今まで散々迷惑をかけられた恋人だがどうしても憎み切れないので、仇を恩で報ずるというように助けてあげようと思う。
2.恨みのある相手に逆に施しをしてあげるような徳のある人はなかなかいないだろう。

\次のページで「その2「怨みに報ゆるに徳を以てす」」を解説!/

その2「怨みに報ゆるに徳を以てす」

「怨みに報ゆるに徳を以てす」は「うらみをむくゆるとくをもってす」と読み、恨みのある相手に対しても恩徳で報いるという意味を持ちます。上記で説明した「仇を恩で報ずる」の類義語でもあるので覚えておきましょう。

1.怨みに報ゆるに徳を以てすと言うように、どんなにひどい目に合わされたとしても相手に施しを与える徳の高さが欲しいものだ。
2.貸した物を返してくれない友人に対しても怨みに報ゆるに徳を以てすの精神で付き合っていきたい。

「恩を仇で返す」を使いこなそう

この記事では「恩を仇で返す」の意味・使い方・類語などを説明しました。

このことわざは、受けた恩を相手に返すどころか、かえって不利益を被らせて害を与えることを表します。「恩を仇で返す」は今まで築いてきた人間関係を壊しかねない非常識な行為をなので、このような行為をしないためにも、意味をしっかり覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「恩を仇で返す」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

1.世話になった上司に後ろ足で砂をかけるような形で仕事を辞めてしまい、今でもとても後悔している。
2.先輩に部活でとてもお世話になったにも関わらず卒業式で居眠りをしてしまい、後ろ足で砂をかけてしまった。

その2「忘恩負義」

「忘恩負義」は「ぼうおんふぎ」と読む四字熟語です。「忘恩」は恩を忘れること、「負義」は義理に背くことを意味し、このことから、恩義を忘れて義理に背くことを意味します。

1.どのような事情があれど、お金を援助してもらって借りたまま逃げる忘恩負義はあってはならない。
2.突然連絡もせず退職をした上に、競合会社に就職するなんて忘恩負義も甚だしい。

「恩を仇で返す」の対義語は?

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身に受けた恩に感謝するどころか、かえって害を加えるという「恩を仇で返す」と反対の意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。以下で詳しく確認していきましょう。

その1「仇を恩で報ずる」

「仇を恩で報ずる」は「あだをおんでほうずる」と読みます。恨みのある者にかえって情けを持って恩を施すという意味のことわざです。恩のある者に対して不利益を与える「恩を仇で返す」とは真逆の意味だと言えるでしょう。

1.今まで散々迷惑をかけられた恋人だがどうしても憎み切れないので、仇を恩で報ずるというように助けてあげようと思う。
2.恨みのある相手に逆に施しをしてあげるような徳のある人はなかなかいないだろう。

\次のページで「その2「怨みに報ゆるに徳を以てす」」を解説!/

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