この記事では「同病相憐れむ」について解説する。

端的に言えば同病相憐れむの意味は「同じ悩みや苦しみを持つ者同士はお互いに同情し合う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「同病相憐れむ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「同病相憐れむ」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「同病相憐れむ」ということわざの意味をご存知ですか。日常では滅多に使われない言葉なので、その意味を知らない人も多いのではないでしょうか。今回はそんな「同病相憐れむ」について解説していきたいと思います。

それでは早速「同病相憐れむ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「同病相憐れむ」の意味は?

「同病相憐れむ」には、次のような意味があります。

同じ病気、同じ悩みや苦しみをもつ人は互いにいたわりあい、同情しあう。
デジタル大辞泉(小学館)

「同病相憐れむ」は「どうびょうあいあわれむ」と読むことわざです。同じ病気や悩み、苦しみを持つもの同士は、お互いの苦しみを理解することができるため同情し合ったり、いたわり合うことができるという意味を持ちます。

「同病相憐れむ」の語源は?

次に「同病相憐れむ」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、後漢の初期に趙曄によって記された春秋時代の呉と越に関する歴史書である『呉越春秋』から来ています。この書物の「闔閭内伝」には「同病相憐れみ、同憂相救う」と記載されており、これがもとになったと考えられています。「同病」は同じ病気や苦しみ、「同憂」は同じ悩みを意味するので覚えておきましょう。

\次のページで「「同病相憐れむ」の使い方・例文」を解説!/

「同病相憐れむ」の使い方・例文

「同病相憐れむ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.同じ病気を持つ彼には、どんな弱音でも言えることができる。まさに同病相憐れむ関係だ。
2.同病相憐れむと言うように、元彼の二股相手を最初はひどく憎んでいたが、今では何でも相談し合えるかけがいのない友人だ。
3.早くに親を亡くした境遇を持つ者同士、同病相憐れむなので、お互いの淋しさや悲しみを理解し合うことができる。

ここでは3つの例文を挙げました。ひとつひとつ使い方を確認していきましょう。

1は、同じ病気と戦う彼にだからこそ、何でも弱音を言えるということを表す例文です。誰かの話を聞く相手になったり理解したりしようとしても、その当事者の立場に立ったことがないと、理解してあげるのはなかなか難しいもの。だからこそ、同じ病気を持つ人と自分の持つ苦しみを共有することができるのです。

次に例文2にについてですが、二股をかける元彼という共通の悩みを持つことで、彼女同士が結託し何でも相談し合える仲になることを表しています。また、例文3は、親を亡くしたこの上ない悲しみを理解し癒やしにつながっていることを表す例文です。このように、上記の例文で示した病気の場合だけでなく、悩みや苦しみの場合でも使用することができるので覚えておきましょう

「同病相憐れむ」の類義語は?違いは?

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「同じ病気、同じ悩みや苦しみをもつ人は互いにいたわりあい、同情しあう」と似た意味を持つ言葉にはどんなものがあるのでしょうか。下記で詳しく確認していきましょう。

その1「同舟相救」

「同舟相救」は「どうしゅうあいすくう」と読む四字熟語です。「同舟」は同じ舟に乗ること、つまり、同じ立場に立つことを表します。立場を同じくするものは、普段仲が悪かったり敵同士でも、いざという時には助け合うことを意味する言葉です。同じ立場に立つもの同士が助け合う、労り合うという点では「同病相憐れむ」と似ていますが、「同病相憐れむ」には普段は敵同士という意味は付かないので注意しましょう。

\次のページで「その2「同悪相助」」を解説!/

1.かつてないほど傾いてしまった出版産業を立て直すために、同舟相救で、ライバル会社との協力も考えていかねばならない。
2.普段は県優勝をかけてしのぎを削り合うライバルだが、お互い県選抜として選ばれ全国優勝を目指す以上、同舟相救で協力していくつもりだ。

その2「同悪相助」

「同悪相助」は「どうあくあいたすく」と読む四字熟語です。「同悪」とは、同じ悪いことをする者同士、「相助」はお互いに助け合うという意味を持ちます。そのため、この四字熟語は悪人同士は助け合って悪事を働くということを表すのです。「同病相憐れむ」と助け合うという意味では似ていますが、「同悪相助」は何かしらの悪事を働く際に用いられ、「同病相憐れむ」は病気や悩みや苦しみを持つ者同士に使われるので、使用シーンの違いを覚えておきましょう。

1.他の女の子と遊びに行く時は、彼女に友人の名前を出すようにしている。友人も同様に僕の名前を使って遊び回っているので、まさに同悪相助だ。
2.同悪相助と言うように、詐欺師は一人で活動するのではなく、グループで個人それぞれに役割を決めて活動することが多いらしい。

「同病相憐れむ」の対義語は?

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「同病相憐れむ」には明確な対義語が存在しません。しいて反対の意味を持つ言葉を挙げるなら、自分と同じ性質や趣味、系統の相手に対して嫌悪感を持つという意味の「同族嫌悪」が考えられるでしょう。具体的な使用例は以下を参考にしてください。

1.同僚が後輩の媚びた態度が嫌だと言うが、自分で気づいていないだけで同僚も上司に媚びた態度をとることが多々あるので同族嫌悪であると言える。
2.嫌なことをハッキリと断れないところがコンプレックスなあまり、同じように断れず何でも引き受けてしまう人を見るとイライラする。これは完全な同族嫌悪だろう。

\次のページで「「同病相憐れむ」を使いこなそう」を解説!/

「同病相憐れむ」を使いこなそう

この記事では「同病相憐れむ」の意味や使い方などを説明しました。

「同病相憐れむ」は同じ病気、同じ悩みや苦しみをもつ人は互いにいたわりあい、同情しあうという意味を持つことわざです。

このことわざは、後漢の初期に中国の趙曄によって記された春秋時代の呉と越に関する歴史書である『呉越春秋』に由来していることも覚えておきましょう。

類義語として「同舟相救」「同悪相助」を挙げました。「同病相憐れむ」と意味が似ていますが、微妙にニュアンスが異なるので違いを押さえておきましょう。

同じ悩みを持つ者同士で傷を舐め合うことは本来あまり良くないこととされていますが、同じ苦しみや病気を持つ人と一緒にいることで心の傷が癒えたり、同じだからこそ分かち合えて乗り越えられることももちろんあります。この言葉の意味をよく理解することは、人と人との関わりを深める一助にもなるのではないでしょうか。

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【ことわざ】「同病相憐む」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「同病相憐れむ」について解説する。

端的に言えば同病相憐れむの意味は「同じ悩みや苦しみを持つ者同士はお互いに同情し合う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「同病相憐れむ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「同病相憐れむ」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「同病相憐れむ」ということわざの意味をご存知ですか。日常では滅多に使われない言葉なので、その意味を知らない人も多いのではないでしょうか。今回はそんな「同病相憐れむ」について解説していきたいと思います。

それでは早速「同病相憐れむ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「同病相憐れむ」の意味は?

「同病相憐れむ」には、次のような意味があります。

同じ病気、同じ悩みや苦しみをもつ人は互いにいたわりあい、同情しあう。
デジタル大辞泉(小学館)

「同病相憐れむ」は「どうびょうあいあわれむ」と読むことわざです。同じ病気や悩み、苦しみを持つもの同士は、お互いの苦しみを理解することができるため同情し合ったり、いたわり合うことができるという意味を持ちます。

「同病相憐れむ」の語源は?

次に「同病相憐れむ」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、後漢の初期に趙曄によって記された春秋時代の呉と越に関する歴史書である『呉越春秋』から来ています。この書物の「闔閭内伝」には「同病相憐れみ、同憂相救う」と記載されており、これがもとになったと考えられています。「同病」は同じ病気や苦しみ、「同憂」は同じ悩みを意味するので覚えておきましょう。

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