この記事では「七度尋ねて人を疑え」について解説する。

端的に言えば七度尋ねて人を疑えの意味は「物がなくなった時は人を疑う前にまずは自分でよく探せ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「七度尋ねて人を疑え」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「七度尋ねて人を疑え」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは、何か物がなくなってしまったり問題が起きたりしたときに、ついつい軽率に人を疑ってしまうことはありませんか?この「七度尋ねて人を疑え」という言葉は、そんな時の戒めになる言葉でもあるのです。今回はそんな「七度尋ねて人を疑え」について解説していきたいと思います。

それでは早速「七度尋ねて人を疑え」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「七度尋ねて人を疑え」の意味は?

「七度尋ねて人を疑え」には、次のような意味があります。

物が見当たらないときは自分でよく探したあとではじめて他人を疑え。むやみに人を疑ってはいけないということ。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「七度尋ねて人を疑え」は「ななたびたずねてひとをうたがえ」と読むことわざです。ここで使われている「尋ねる」とは、「質問する」という意味ではなく「探す」という意味で使われています。また、「七度」は七回探すということではなく、よく探すという度合いを表してるのです。この「七度尋ねて人を疑え」は、物がなくなった時に真っ先に他人を疑うのではなく自分でよく確認をしたうえで、何度探しても見つからなかったときにはじめて人を疑いなさいということを意味しています。
「七度尋ねて人を疑え」を使う場合、シーンは落とし物や失くし物だけに限定されません。自分の不始末で何か問題が起こった時に、自分に原因があったかどうかを確認せずにむやみに他人が原因だと疑ってしまう場合にも使用されます。軽々しく他人を疑ってはいけないという教訓を表す言葉でもあるのです。

「七度尋ねて人を疑え」の使い方・例文

「七度尋ねて人を疑え」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「七度探して人を疑え」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.財布を盗まれたと友達が大騒ぎして犯人捜しをしていたが、結局友人のかばんの奥から見つかった。七度尋ねて人を疑えとはまさにこのことだ。
2.おもちゃや人形など何かと物を失くしがちな私は、子供の頃からお母さんに七度尋ねて人を疑いなさいと言われて育てられた。
3.七度尋ねて人を疑えと言うように、仕事で何か問題が起こったらその責任を他人に押し付けるのではなく、その前後の行動を思い出して自分の何が原因だったかを省みるべきだ。

ここでは3つの例文を挙げました。ひとつひとつ意味を確認していきましょう。

1は、自分でかばんにしまったことを忘れてよく探しもせずに、誰かが故意に財布を盗んだと疑っていることを表しています。このように、だいたいの失くし物は本人の不注意によるところが多いと考えられるので、むやみやたらに人を疑っては人間関係を壊しかねません。まずは自分で何回もしっかりと探してみることが大切です。
2では、失くし物をしがちな私に対して、母親が「七度尋ねて人を疑え」ということわざを使って、まずはよく探して人を疑うのは最後にしなさいと教えています。このように、何かを失くして人を疑うのではなく、まずは自分でよく探すべきだという教訓として用いられることもあることを覚えておきましょう。

3は、仕事で何か失敗した場合、自分の責任ではないと他人に押し付けるのではなく、まずは自分の何が原因で失敗が起こってしまったのか考えるべきだという戒めとしての例文です。ここで用いられているように、「七度尋ねて人を疑え」は失くし物や落とし物をした場合だけでなく、自身の不始末の原因をよく考えずに軽々しく他人を疑ってはいけないという意味で用いられることもあります。

「七度探して人を疑え」の類義語は?違いは?

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「七度探して人を疑え」と似た意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。

「十遍探して人を疑え」

「十遍探して人を疑え」は「じっぺんさがしてひとをうたがえ」と読みます。「十遍」は10回という具体的な数字ではなく、何度もという意味です。何か物を失くした時に軽々しく人を疑うのではなくまずは自分でよく探しなさいという、「七度尋ねて人を疑え」と非常に似た意味を持ちます。

・彼女はボールペンをよく失くしてしまうが、その都度たしかに持ってきたと言い張り、周りに聞いて回っている。十遍探して人を疑えと言うように、まずは自分でよく探したり忘れない努力をして欲しいものだ。
・自分の管理能力が悪いために職場への提出書類をよく紛失してしまう。それが原因で職場の人間関係を崩さないように、まずは十遍探して人を疑えと自分に言い聞かせている。

\次のページで「「七度尋ねて人を疑え」の対義語は?」を解説!/

「七度尋ねて人を疑え」の対義語は?

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「七度尋ねて人を疑え」には明確な対義語がありません。しかし、しいてこのことわざの反対の意味を持つ言葉を挙げるなら、下記の2つが考えられるでしょう。

その1「人を見たら泥棒と思え」

「人を見たら泥棒と思え」は「ひとをみたらどろぼうとおもえ」と読みます。人を軽々しく信用してはならないという意味を持つことわざです。よく知りもしない人をはじめから信用していると、それに付け込まれて取り返しのつかない大変な事態を引き起こすことがあるかもしれないですよね。そうならないために、まずは泥棒だと思って用心するようにしなさいという教訓として用いられる言葉なのです。

1.進学を機にこの春上京する私を心配するあまり、東京は危険がいっぱいだから人を見たら泥棒と思えと母が口を酸っぱくして忠告をしてくる。
2.雰囲気の優しい女性にアンケートを求められたので答えたところ、ローンを組まないかとしつこく迫られてしまった。人を見たら泥棒と思えとはまさにこのことで、雰囲気だけで信用するのは不用心だった。

その2「火を見たら火事と思え」

少しの火でも大火事になるのかもしれないのだから用心するようにということから、用心の上にも用心しなさいという意味を持つことわざです。上記で紹介した「人を見たら泥棒と思え」と語感が非常に似ていますが、「人を見たら泥棒と思え」は対象が人に限定されているのに対して、「火を見たら火事と思え」はそれ以外のことにも使用することができるので覚えておきましょう。

1.火を見たら火事と思えというように、用心するに越したことはないのだから、出かける前のガスの元栓や窓の締め忘れがないかのチェックは念入りに行うべきだ。
2.火を見たら火事と思えと言うのだから、少しの揺れでもその後大きな地震に変わるかもしれないので、少しでも揺れを感じたらすぐに安全対策を取るべきだ。

\次のページで「「七度尋ねて人を疑え」を使いこなそう」を解説!/

「七度尋ねて人を疑え」を使いこなそう

この記事では「七度尋ねて人を疑え」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「七度尋ねて人を疑え」は、軽々しく人を疑うのではなく、物を失くした時はまず自分でよく探してから疑いなさいという意味を持つことわざです。ここで言う「七度」とは具体的な回数を示しているのではなく、「よく」「たくさん」という程度を表しているので意味を説明する際には注意しましょう。また、このことわざには自分が原因となって失敗をしてしまった場合にも使うことができます。

類義語として「十遍探して人を疑え」、対義語として「人を見たら泥棒と思え」「火を見たら火事と思え」を紹介しました。意味の違いなどをよく復習しておきましょう。

何か物がなくなった時や失敗をしてしまった時に、疑ってしまう方も疑われる方も、どちらになっても良い気持ちはしませんよね。良好な人間関係を保つための戒めとして必要な言葉ですので、しっかりと意味を覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「七度尋ねて人を疑え」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「七度尋ねて人を疑え」について解説する。

端的に言えば七度尋ねて人を疑えの意味は「物がなくなった時は人を疑う前にまずは自分でよく探せ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「七度尋ねて人を疑え」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「七度尋ねて人を疑え」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは、何か物がなくなってしまったり問題が起きたりしたときに、ついつい軽率に人を疑ってしまうことはありませんか?この「七度尋ねて人を疑え」という言葉は、そんな時の戒めになる言葉でもあるのです。今回はそんな「七度尋ねて人を疑え」について解説していきたいと思います。

それでは早速「七度尋ねて人を疑え」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「七度尋ねて人を疑え」の意味は?

「七度尋ねて人を疑え」には、次のような意味があります。

物が見当たらないときは自分でよく探したあとではじめて他人を疑え。むやみに人を疑ってはいけないということ。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「七度尋ねて人を疑え」は「ななたびたずねてひとをうたがえ」と読むことわざです。ここで使われている「尋ねる」とは、「質問する」という意味ではなく「探す」という意味で使われています。また、「七度」は七回探すということではなく、よく探すという度合いを表してるのです。この「七度尋ねて人を疑え」は、物がなくなった時に真っ先に他人を疑うのではなく自分でよく確認をしたうえで、何度探しても見つからなかったときにはじめて人を疑いなさいということを意味しています。
「七度尋ねて人を疑え」を使う場合、シーンは落とし物や失くし物だけに限定されません。自分の不始末で何か問題が起こった時に、自分に原因があったかどうかを確認せずにむやみに他人が原因だと疑ってしまう場合にも使用されます。軽々しく他人を疑ってはいけないという教訓を表す言葉でもあるのです。

「七度尋ねて人を疑え」の使い方・例文

「七度尋ねて人を疑え」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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