この記事では「塵も積もれば山となる」について解説する。

端的に言えば塵も積もれば山となるの意味は「些細なことも積もれば大きなものとなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「塵も積もれば山となる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「塵も積もれば山となる」の意味や語源・使い方まとめ

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いろはかるたにも出てくる「塵も積もれば山となる」ですが、現代でも若者の間で「チリツモ」と略して使用するこもあるので、一度は聞いたことのある人も多いでしょう。今回は、そんな「塵も積もれば山となる」について解説をしていきたいと思います。

それでは早速「塵も積もれば山となる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「塵も積もれば山となる」の意味は?

「塵も積もれば山となる」には、次のような意味があります。

ほんの些細なものでも積もれば高大なものとなるたとえ。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「塵も積もれば山となる」は「ちりもつもればやまとなる」と読むことわざです。ここで言う「ちり」とは、小さなもの、ささいなことを意味します。そのことから、どんなに小さなものでも積み重ねることで大きくなる、どんなに小さなものでも疎かにしてはいけないと言う意味をもつ言葉なのです。
たとえば、たいした価値がないように見える一円玉でも1000枚集めれば1000円になりますよね。このように、小さなことでも積み重なることで大きなものになるという場合に使われます。
また、良いことだけでなく、小さなことを後に回して大きなツケとなって返ってくる場合などのマイナスな場面でも使用でき、小さなことでも疎かにしてはいけないという戒めとしても使用できるので覚えておいてください。

先述したように、ここで言う塵とは「ささいなもの、ほんのわずかなこと」という意味なので、ゴミやホコリと言う意味で使用しないように注意しましょう。

「塵も積もれば山となる」の語源は?

次に「塵も積もれば山となる」の語源を確認しておきましょう。

「塵も積もれば山となる」は、インドの論書であり大品般若経という仏教の教えが書かれた書物の注釈書である「大智度論」(だいちどろん)が由来であると考えられています。「大智度論」の94巻に「譬如積微塵成山、難可得移動」という一節が載っており、これが派生して「塵も積もれば山となる」が生まれたと考えられているのです。

\次のページで「「塵も積もれば山となる」の使い方・例文」を解説!/

「塵も積もれば山となる」の使い方・例文

「塵も積もれば山となる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ジュースを買うのを我慢して毎日100円ずつ貯金している。たったの100円だが、塵も積もれば山となるわけで1年間で3万6000円も節約できる。
2.塵も積もれば山となるので、お風呂に入る前の10分間を使って単語を覚えるようにしている。
3.すぐに処理してしまえばなんてことのない領収書も塵も積もれば山となり、処理するのに3時間も使ってしまった。

ここでは3つの例文を挙げました。それでは、ひとつひとつ確認していきたいと思います。

例文1は毎日ジュースを1本我慢することで1年間で3万6000円も節約できることを、例文2は少ない学習時間でもそれを習慣にすれば大きなプラスになることを表す例文です。このように、「塵も積もれば山となる」はコツコツと努力を続けることや、些細なことの積み重ねで大きな成果を生み出した場合などポジティブな意味として使用することができます。

それに対して例文3は、領収書を溜めすぎてしまったたために普段の何倍も時間がかかってしまったことを表す例文です。このように、良いことを積み重ねる場合だけでなく、後になって大きなツケがが返ってきたというマイナスな場合でも使用することができます。また、こうしたマイナスの事態を引き起こさないように戒めとしても用いられるので覚えておきましょう。

「塵も積もれば山となる」の類義語は?違いは?

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小さなことでも積み重ねれば大きなものになるという「塵も積もれば山となる」と似た意味を持つ言葉にはどんなものがあるのでしょうか。

以下の言葉を確認していきましょう。

その1「雨垂れ石を穿つ」

「雨垂れ石を穿つ」は「あまだれいしをうがつ」と読むことわざです。「雨垂れ」とは軒先などからしたたり落ちる雨のしずくのこと、「穿つ」は穴をあけるという意味を持ちます。皆さんは家の軒の下など、ちょうど雨粒が落ちてくるところに落ちているくぼんだ石などを見たことはありませんか?雨垂れは、一見何の影響もないような小さいものに見えますが、それが落ち続けることにより硬い石にも穴をあけることができるようになるのです。そうしたことから、「雨垂れ石を穿つ」はわずかな事でもそれが度重なると大事になる、コツコツ努力を重ねれば成功につながるという意味を持ちます。小さなことの積み重ねという意味では「塵も積もれば山となる」と似た意味を持つと考えられるでしょう。

\次のページで「その2「積羽舟を沈む」」を解説!/

その2「積羽舟を沈む」

「積羽舟を沈む」は「せきうふねをしずむ」と読むことわざです。「積羽」とは羽を積むということを意味し、重さを感じないどんなに軽い羽でも、あまりにもたくさんの量を積み上げると舟を沈めることができるほどの重さになります。このことから、「積羽舟を沈む」はどんなに些細で小さいことでも、それが積もっていくことで大事になったり、大きな力になることを表すのです。また、「積羽舟を沈む」は「積羽沈舟」という四字熟語でもあります。この四字熟語の場合は、「せきうちんしゅう」と呼ぶのであわせて覚えておきましょう。

その3「涓涓塞がざれば終に江河となる」

「涓涓塞がざれば終に江河となる」は「けんけんふさがざればついにこうがとなる」と読むことわざです。「涓涓」は小川などの水がちょろちょろ細長く流れるさま、「江河」は大きな川を意味しています。このことから、ちょろちょろと流れる小川もせき止めないでおくとついには大河になる、物事は初めの対処が大切であるということを表すのです。

なお、「涓涓塞がざれば終に江河となる」は、中国春秋時代の思想家であり儒教の祖でもある孔子の言行と弟子たちとの問答を収録した書である「孔子家語」が由来であると考えられています。

「塵も積もれば山となる」の対義語は?

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小さなことでも積み重ねれば大きなものになるという「塵も積もれば山となる」の対義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。

「座して食らえば山も空し」

「座して食らえば山も空し」は「ざしてくらえばやまもむなし」と読むことわざです。このことわざは、働かないでいると、どんなに財産があっても使い果たしてしまうということ表しています。何もせずにただ消費して使い果たすという意味を考えると、小さなことの積み重ねで大きなものになることを表す「塵も積もれば山となる」の反対の意味を持つと考えることができるのではないでしょうか。

「塵も積もれば山となる」を使いこなそう

この記事では「塵も積もれば山となる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「塵も積もれば山となる」は、どんなに些細なものでも積み重ねると大きなものになることを意味することわざです。小さいな良いことが積もって大きな成果になるなどのプラスの場合だけでなく、何かを後回しにして大きなツケとなって返ってくるなどのマイナスの場合にも用いることができます。また、マイナスな場面を引き起こさないための戒めとしても使用できるので覚えておきましょう。

類義語として「雨垂れ石を穿つ「積羽舟を沈む」「涓涓塞がざれば終に江河となる」の3つを挙げました。いずれも「塵も積もれば山となる」と非常に意味が似ていますが、微妙にニュアンスが異なるのであわせて確認しておくとよいでしょう。

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【ことわざ】「塵も積もれば山となる」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「塵も積もれば山となる」について解説する。

端的に言えば塵も積もれば山となるの意味は「些細なことも積もれば大きなものとなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「塵も積もれば山となる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「塵も積もれば山となる」の意味や語源・使い方まとめ

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いろはかるたにも出てくる「塵も積もれば山となる」ですが、現代でも若者の間で「チリツモ」と略して使用するこもあるので、一度は聞いたことのある人も多いでしょう。今回は、そんな「塵も積もれば山となる」について解説をしていきたいと思います。

それでは早速「塵も積もれば山となる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「塵も積もれば山となる」の意味は?

「塵も積もれば山となる」には、次のような意味があります。

ほんの些細なものでも積もれば高大なものとなるたとえ。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「塵も積もれば山となる」は「ちりもつもればやまとなる」と読むことわざです。ここで言う「ちり」とは、小さなもの、ささいなことを意味します。そのことから、どんなに小さなものでも積み重ねることで大きくなる、どんなに小さなものでも疎かにしてはいけないと言う意味をもつ言葉なのです。
たとえば、たいした価値がないように見える一円玉でも1000枚集めれば1000円になりますよね。このように、小さなことでも積み重なることで大きなものになるという場合に使われます。
また、良いことだけでなく、小さなことを後に回して大きなツケとなって返ってくる場合などのマイナスな場面でも使用でき、小さなことでも疎かにしてはいけないという戒めとしても使用できるので覚えておいてください。

先述したように、ここで言う塵とは「ささいなもの、ほんのわずかなこと」という意味なので、ゴミやホコリと言う意味で使用しないように注意しましょう。

「塵も積もれば山となる」の語源は?

次に「塵も積もれば山となる」の語源を確認しておきましょう。

「塵も積もれば山となる」は、インドの論書であり大品般若経という仏教の教えが書かれた書物の注釈書である「大智度論」(だいちどろん)が由来であると考えられています。「大智度論」の94巻に「譬如積微塵成山、難可得移動」という一節が載っており、これが派生して「塵も積もれば山となる」が生まれたと考えられているのです。

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