この記事では「面を打つ」について解説する。

端的に言えば、面を打つの意味は「仮面を作る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「面を打つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「面を打つ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「面を打つ」の意味や語源、使い方などを見ていきましょう。

「面を打つ」の意味は?

まず、「面を打つ」には、次のような意味があります。

仮面を作る。多く、能面にいう。「翁 (おきな) の―・つ」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「面(めん)を打(う)つ」

「面を打つ」、この主たる意味は、仮面を作ることですが、この仮面は、木彫の上に塗料を盛り上げ、これをたたいて形を作ること。能楽の世界で用いられる時は、この面は「能面」です。

似たような言葉に「面打ち」があります。これは、剣道の試合において、相手の面を竹刀で打つことです。読み方は「めんうち」「つらうち」の2つ。

ただ、つらうちは面当て(つらあて)と同じ意味で、憎らしく思う人の前でわざと意地悪なことをして困らせたり、その言動だったり、つまり「あてつけ」ですので、使う際はくれぐれも注意しましょう。

「面を打つ」の語源は?

次に、「面を打つ」の語源を確認しておきましょう。

「面」は、仮面や能面など、本来の顔とは異なる仮の顔のようなもの。面を打つ、すなわち面打ちは、先に紹介した「剣道」の試合で相手の面を(顔面の代わりに)竹刀で打つことです。

この意味だけでなく、能面の作者や、素焼きの銭形・面形(めんがた)などのめんこを用いて勝負する子どもの遊びという意味もあり、これが言葉の由来とも考えられます。

\次のページで「「面を打つ」の使い方・例文」を解説!/

「面を打つ」の使い方・例文

続いて、「面を打つ」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.自分が子どもの頃、面を打つ遊びに夢中になったことを、最近ふと思い出した。
2.剣道具の1つである竹刀の剣先は、面の打ち方や防具の当てる場所を間違えると大変なことになる。
3.剣道の大会において、面を打つ基本練習を習得して応用して勝つには、手首や左右の動きをすべてしっかりイメージするのが必須だと思い知った。
4.日本ならではの能面の世界で、面を打ち続けて半世紀という専門家の方々が最も大切にすることは、お客様への意識という。

例文について、それぞれ詳しく解説していきます。

まず、例文1は、素焼きの銭形や面形などのめんこを使って勝負する「面打ち」という子どもの遊びについての意味。例文2は、剣道における勝負の1つ、相手の面を竹刀で打つ「面打ち」の意味で使われています。

例文3も同様で、剣道の試合で勝敗を分けることがある面打ちのこと。そして、例文4は、能楽の世界で面を打つ仕事、能面を作り上げる作業を行う人のことを示しています。

「面を打つ」の類義語は?違いは?

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次に、「面を打つ」の類義語(類語)について、見ていきましょう。

面を打つの類義語、はっきりとしたものはありませんが、似たような意味での「能面打ち」を解説します。

「能面打ち」

能面打ちは、能面を製作する人、すなわち能面職人のことです。または、面打ち師。面を打つだけでも、能面を作る人のことをさす場合もあります。

能楽では、さまざまな仮面が用いられ、「女面」を例に挙げると、若い女性から年老いた老女まで、数多くの種類があるのが能面の特徴の1つです。

主にヒノキなどの素材を使い、ノミを削って作ります。削ると言わず、打つと表現するのがポイント。特に、今の福井県北部の越前で、安土桃山時代以降に面打ち職人を多く輩出しました。

\次のページで「「面を打つ」の対義語は?」を解説!/

「面を打つ」の対義語は?

続いて、「面を打つ」の対義語は、あるのでしょうか。

正解から言うと、面を打つに対する対義語は存在しません。

ここで、剣道の世界における「面打ち」に対する技を確認しておきます。面打ちは基本の動作であり、剣道の精神をも象徴する、とても重要な技です。その一方、出鼻面、出鼻小手、返し胴といった技を打たれる、返り討ちに遭うリスクもあります。

面打ちは、いかに素早く正確に、対戦相手の打突部位に竹刀を当てるかが重要。正面から打ち込む技、相手の左面や右面を打ち込む左右面技がよく知られています。

「面を打つ」の英訳は?

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さらに、「面を打つ」の英訳も、調べておきましょう。

面を打つを英語にそのまま訳すと、hit the face です。strike the fece と表現されることもあります。

ほかにも、能楽や剣道などで、他の英単語を組み合わせ、用いられて面を打つと表現されることもあるのも、覚えておくポイントです。

「hit the face」

面を打つ、これを英語に直訳すると「hit the face」です。

face は顔、hit は打つという意味。顏は面でもあるので、faceでも通じます。

その他の表現もあるので、例文を見ていきましょう。

・people who forges swords or masks

刀剣や面を打つ人々

・Noh masks are made by carving wood and coloring it, so this process is  to strike a mask.

能面は木を彫って彩色して作られる、この工程が面を打つこと。

・good skilled mask makers

腕の立つ面打ちたち

・The technique of striking the head is "men-uchi" [head strike].

面を打つ技が「面打ち」だ。

・The form of attack in which the defender swings down a sword from directly above the front side is called "shomen-uchi strike".

受け手が刀を捕らえて真上から振り下ろす攻撃の形は「正面打ち」と言われる。

「面を打つ」を使いこなそう

この記事では、「面を打つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

面を打つとは、剣道の世界における基本動作の1つであったり、能楽の世界で能面を作る職人を指したりする時に、それぞれ用いられることが通例です。

特に、剣道では、面を打つことは勝負を決める重要な技。能楽と合わせ、ぜひ覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「面を打つ」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「面を打つ」について解説する。

端的に言えば、面を打つの意味は「仮面を作る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「面を打つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「面を打つ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「面を打つ」の意味や語源、使い方などを見ていきましょう。

「面を打つ」の意味は?

まず、「面を打つ」には、次のような意味があります。

仮面を作る。多く、能面にいう。「翁 (おきな) の―・つ」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「面(めん)を打(う)つ」

「面を打つ」、この主たる意味は、仮面を作ることですが、この仮面は、木彫の上に塗料を盛り上げ、これをたたいて形を作ること。能楽の世界で用いられる時は、この面は「能面」です。

似たような言葉に「面打ち」があります。これは、剣道の試合において、相手の面を竹刀で打つことです。読み方は「めんうち」「つらうち」の2つ。

ただ、つらうちは面当て(つらあて)と同じ意味で、憎らしく思う人の前でわざと意地悪なことをして困らせたり、その言動だったり、つまり「あてつけ」ですので、使う際はくれぐれも注意しましょう。

「面を打つ」の語源は?

次に、「面を打つ」の語源を確認しておきましょう。

「面」は、仮面や能面など、本来の顔とは異なる仮の顔のようなもの。面を打つ、すなわち面打ちは、先に紹介した「剣道」の試合で相手の面を(顔面の代わりに)竹刀で打つことです。

この意味だけでなく、能面の作者や、素焼きの銭形・面形(めんがた)などのめんこを用いて勝負する子どもの遊びという意味もあり、これが言葉の由来とも考えられます。

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