この記事では「瓦斯」について解説する。

端的に言えば瓦斯の意味は「ガス」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「瓦斯」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「瓦斯」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「瓦斯」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「瓦斯」の意味は?

「瓦斯」には、次のような意味があります。

1.気体。「ガス状星雲」
2.燃料用の気体。特に、都市ガスのこと。「ガスを引く」「ガス管」
3.「毒ガス」の略。「ガスマスク」
4.濃い霧。「山頂付近にガスがかかる」
5.ガソリンのこと。「ガス欠」
6.「ガス焜炉(こんろ)」の略。「鍋をガスにかける」
7.「ガス糸」の略。
8.おなら。屁(へ)。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ガス」

「瓦斯」の読み方は「ガス」です。「瓦斯」は外来語であるため普通カタカナで表記します。「ガス」を「瓦斯」と書くようになったのはいつ頃からかはっきりしませんが、少なくとも明治初期には使われていました。「瓦斯」という漢字に特に意味はなく、音の似た漢字を使っただけのまったくの当て字です。

「瓦斯」の語源は?

次に「瓦斯」の語源を確認しておきましょう。「瓦斯」が「ガス」の当て字であることはすでに述べました。「瓦斯」はあらゆる気体の総称です。霧のように人畜無害のものから人間の生活に欠くことのできないガソリン、都市ガスのほか怖ろしい毒ガスまでその意味する範囲は非常に広くなっています。

「瓦斯(ガス)」の概念を考案したのは旧フランドル(現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部)出身の化学者ヤン・パブティスタ・ファン・ヘルモントです。彼はさまざまな実験を繰り返した結果「ガス」の概念を考え出しました。「ガス」は混沌を意味する「カオス」をヒントにした造語です。

\次のページで「「瓦斯」の使い方・例文」を解説!/

「瓦斯」の使い方・例文

「瓦斯」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。

1.「瓦斯」はプロサッカーチームFC東京の愛称だ。
2.日本で瓦斯灯は明治時代以降普及した。
3.「瓦斯」は「ガス」の当て字だ。

日本で初めて「瓦斯」という言葉が使われたのは、明治初期に仮名垣魯文(かながきろぶん)、総生寛(ふそうかん)によって書かれた『万国航海 西洋道中膝栗毛』です。そのなかに「瓦斯の光に~」との記述があります。『万国航海 西洋道中膝栗毛』は題名でわかるとおり、江戸時代に十返舎一九によって著された『東海道中膝栗毛』にならった滑稽本です。また1847(弘化4)年に津山藩(現在の岡山県津山市)の蘭学者・宇田川榕菴(ようあん)によって書き上げられた『舎密開宗(せいみかいそう)』のなかには「諳模尼亜(アムモニア)の本相は瓦斯なり」と記されています。舎密は、オランダ語で化学の意味の「chemie(ケミー)」を音訳したものです。

例文に挙げたFC東京の愛称が「瓦斯」なのは、Jリーグ加入前の運営母体が東京ガスであることに由来しています。なお東京ガスの登記上の商号は東京瓦斯株式会社です。

「瓦斯」の類義語は?違いは?

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次に「瓦斯」の類義語を見ていきましょう。これは「瓦斯」の定義の仕方によっていくらでも関連語を挙げられますから、主なものを紹介します。

その1「ガソリン」

「瓦斯」の類義語として真っ先に思いつくのが「ガソリン」でしょう。「ガソリン」は漢字で「瓦斯倫」と書き「瓦斯」の”親戚”と言えます。揮発性が高く、静電気程度の火種でも簡単に爆発しますから取扱に注意が必要です。主に燃料として、ガソリンエンジンや携帯用コンロなどに使われます。

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その2「霧」

プロのカメラマンは、季節によって撮影対象が霧に阻まれてきれいに撮れなくなる状態を「ガスってる」と言って嫌う傾向にあります。霧だけに限らず、霞(かすみ)、靄(もや)などにより視界がぼんやりした状態全般を指す言葉です。このような霧、霞、靄も「瓦斯」の類義語と言えるでしょう。

その3「スモーク」

「スモーク」とは舞台での演出に使われる「煙」のことです。普通に日本語で「煙」と言えばいいのですが、芸能界では慣例的に「スモーク」と呼ばれています。特にダンサーがグループでダンスを踊っている時にスモークが流れると舞台が盛り上がって効果的です。煙でいぶして燻製(くんせい)にすることも「スモーク」と言い「スモークチーズ」「スモークサーモン」などで皆さんもおなじみでしょう。

「瓦斯」の対義語は?

「瓦斯」は気体ですから、その対義語は「固体」でしょうか。しかし逆に「固体」の反対語を「瓦斯」とするのは無理があります。なぜなら「固体」の対義語は「瓦斯」だけとは限りません。水や空気など数多くあり「瓦斯」だけには絞れないのです。したがって「瓦斯」の対義語はないと言えます。

「瓦斯」の英訳は?

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最後に「瓦斯」の英訳を見ていきましょう。「瓦斯」そのものが英語に漢字を当てたものですが「瓦斯」にはいろいろな種類があります。

その1「gas」

「gas」は日本で一般的に「瓦斯」と呼ばれるもの全般を指しています。なおアメリカ英語で「gas」は「ガソリン」の口語的表現です。したがって日本のガソリンスタンドはアメリカ英語では「gas station」と言います。

その2「petrol」

「petrol」とはイギリス英語で「ガソリン」のことを指します。日本にあるガソリンスタンドを英国人に説明するために「gasoline stand」と言っても通じません。その場合は「petrol station」と言うようにしてください。

\次のページで「その3「gasoline」」を解説!/

その3「gasoline」

「gasoline」は日本でも「ガソリン」と言います。ただし英語で「gasoline」という表現はまず使いません。ほとんどの場合「gas」で通じます。

その4「fog」

「fog」とは「霧」のことです。霧が濃くて景色がよく見えないような時に「ガスっている」というような使い方をします。

「瓦斯」を使いこなそう

この記事では「瓦斯」の意味・使い方・類語などを説明しました。私たちがよく使う「ガソリンスタンド」という言葉は英語では「gas station」です。「ガソリンスタンド」は和製英語の一つと言えます。このようにいかにも外来語だと思って使っている言葉でも、日本独自で発生した和製英語であることが多いのです。外国の方と話すときは、今一度それが正式な英語として通用するのか確認するようにしましょう。

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国語言葉の意味

「瓦斯」の意味や使い方は?例文や類語を元広報紙編集者がわかりやすく解説!

この記事では「瓦斯」について解説する。

端的に言えば瓦斯の意味は「ガス」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「瓦斯」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「瓦斯」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「瓦斯」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「瓦斯」の意味は?

「瓦斯」には、次のような意味があります。

1.気体。「ガス状星雲」
2.燃料用の気体。特に、都市ガスのこと。「ガスを引く」「ガス管」
3.「毒ガス」の略。「ガスマスク」
4.濃い霧。「山頂付近にガスがかかる」
5.ガソリンのこと。「ガス欠」
6.「ガス焜炉(こんろ)」の略。「鍋をガスにかける」
7.「ガス糸」の略。
8.おなら。屁(へ)。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ガス」

「瓦斯」の読み方は「ガス」です。「瓦斯」は外来語であるため普通カタカナで表記します。「ガス」を「瓦斯」と書くようになったのはいつ頃からかはっきりしませんが、少なくとも明治初期には使われていました。「瓦斯」という漢字に特に意味はなく、音の似た漢字を使っただけのまったくの当て字です。

「瓦斯」の語源は?

次に「瓦斯」の語源を確認しておきましょう。「瓦斯」が「ガス」の当て字であることはすでに述べました。「瓦斯」はあらゆる気体の総称です。霧のように人畜無害のものから人間の生活に欠くことのできないガソリン、都市ガスのほか怖ろしい毒ガスまでその意味する範囲は非常に広くなっています。

「瓦斯(ガス)」の概念を考案したのは旧フランドル(現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部)出身の化学者ヤン・パブティスタ・ファン・ヘルモントです。彼はさまざまな実験を繰り返した結果「ガス」の概念を考え出しました。「ガス」は混沌を意味する「カオス」をヒントにした造語です。

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