
「手をこまねく」の使い方・例文
それでは「手をこまねく」の本来の意味での使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.ニュースでは最新の新型ウイルス関連の情報が毎日たくさん発信されているが、日々の生活に対する具体的な対策は出ないまま手をこまねいている。
2.全国に対して最新のオンラインソフトの開発を今日発表したいが、サイト管理人に何か問題が発生したのか会場に現れず、自分はそのまま手をこまねくしかできなかった。
例文1では何かをしなければならないのにしていない、というニュアンスで用いられています。一方で例文2では本当に何もすることができない、というニュアンスです。このように「手をこまねく」は主体となる本人に行動する能力があるか否か、行動するべきかそうでないかに関わらず使用することができます。ただし、動くことが可能なのにあえて何もしないという場面ではあまり使われません。

「手をこまねく」のように、本来の意味とは異なる意味が広く使われている、という言葉は他にもたくさんある。例えば「流れに掉さす」の本来の意味は「流れに乗って、ある物事の勢いを増すような行動をする」だが、「流れに逆らって、ある物事の勢いを失わせるような行動をする」という意味であると誤解している人が多い。自分は言葉の本来の意味を理解しているかどうか、この機会に確認してみてはいかがだろうか。
その1「指をくわえる」
「指をくわえる」は「うらやましがりながらも、何も手を出せずにいる」という意味の慣用句です。積極的に加わりたい、手を出したいと思っているにも関わらず「手をこまねいて」いるというニュアンスですね。「手をこまねく」は行為に対して積極的でも消極的でもどちらでも使うことができますが、「指をくわえる」は行為に対して積極的である場合に用いられることがほとんどです。
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