1.その程度の内容では承服できない。
2.大変申し訳ありませんが、急な納期変更のお願いには承服しかねます。
3.先日ご提案いただきました件についてですが、会社の者と話し合いを重ねた結果、それは承服しがたいとのことでした。
「承服」という言葉を「承服しました」などと肯定文で使用することはほぼないと言っていいでしょう。ビジネスでは大げさ過ぎるとして、あまり使われない傾向です。その場合は「かしこまりました」などを使います。
また、「承服いただく」も使われません。「承服」には「従う」という意味があるため、「承服いただく」では「こちらの言うことに従え」と言っているようにも聞こえてしまいます。よって、「ご了承いただく」などにすると良いでしょう。
例文2や3を見れば気付いたかもしれませんが、「承服しかねる」や「承服しがたい」というように、「承服」が不可能であることをやんわりと表す使い方をしています。もし、取引先などに対して「賛成できない」や「納得いかない」などとストレートに返答した場合、相手はどう思うでしょうか。相手との関係性にもよりますが、言われた側からすると面目が立たなくなります。ですので、「承服しかねる」などの婉曲的な表現が必要となるのです。
「承知」「承諾」
ビジネスなどでは、相手のオファーなどに対して「はい」の返事をするのに使うのは、「承服」の他にも「承知」や「承諾」があります。同じ「承」という漢字を使いますが、果たして違いはあるのでしょうか。
「承知」を辞書で調べると、「知っていること」「聞き入れること」「相手の事情を理解して許すこと」という3つの意味があります。つまり、「話を聞き入れる」ことが「承知」の主幹となる意味です。「受け入れる」ことに重きを置く「承服」とはその点で違いがあります。
次に「承諾」の意味も見てみましょう。辞書には「相手の意見や要望などを聞いて受け入れること」とあります。つまり、「承知」とはあまり意味の上では変わりません。と同時に、「承服」とは意見を聞くまでか受け入れるのかの違いが出てきます。ただし、「承諾」は契約を結ぶときや依頼を引き受けるときの返事として使われることがありますので、「承知」よりは引き受ける度合いが強いと言ってもいいでしょう。
「承服」の対義語は?
さらに、「承服」の対義語も見ていきましょう。
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