この記事では「承服」について解説する。

端的に言えば承服の意味は「従うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「承服」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。他人とのもめ事を好まないので、相手の言うことをすぐに承服してしまう。そのくせ大して出世していないので、もう少し自分の意見も出してたらと今さら後悔。

「承服」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「承服」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「承服」の意味は?

「承服」には、次のような意味があります。

《古くは「しょうぶく」「じょうふく」とも》相手の言うことを承知してそれに従うこと。「とても—しかねる条件」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「承服」

承服」(しょうふく)という言葉には、「聞き入れて従うこと」という意味があります。

普段の生活では、「承服」という言葉を使う場面はほとんどありません。おもにビジネスシーンで使われる言葉です。しかも、文書やメールで用いる文語として目にすることになります。

「承服」の使い方・例文

「承服」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「承服」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.その程度の内容では承服できない。
2.大変申し訳ありませんが、急な納期変更のお願いには承服しかねます。
3.先日ご提案いただきました件についてですが、会社の者と話し合いを重ねた結果、それは承服しがたいとのことでした。

「承服」という言葉を「承服しました」などと肯定文で使用することはほぼないと言っていいでしょう。ビジネスでは大げさ過ぎるとして、あまり使われない傾向です。その場合は「かしこまりました」などを使います。

また、「承服いただく」も使われません。「承服」には「従う」という意味があるため、「承服いただく」では「こちらの言うことに従え」と言っているようにも聞こえてしまいます。よって、「ご了承いただく」などにすると良いでしょう。

例文2や3を見れば気付いたかもしれませんが、「承服しかねる」や「承服しがたい」というように、「承服」が不可能であることをやんわりと表す使い方をしています。もし、取引先などに対して「賛成できない」や「納得いかない」などとストレートに返答した場合、相手はどう思うでしょうか。相手との関係性にもよりますが、言われた側からすると面目が立たなくなります。ですので、「承服しかねる」などの婉曲的な表現が必要となるのです。

「承服」の類義語は?違いは?

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ところで、「承服」の類義語には何があるのでしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「承知」「承諾」

ビジネスなどでは、相手のオファーなどに対して「はい」の返事をするのに使うのは、「承服」の他にも「承知」や「承諾」があります。同じ「承」という漢字を使いますが、果たして違いはあるのでしょうか。

承知」を辞書で調べると、「知っていること」「聞き入れること」「相手の事情を理解して許すこと」という3つの意味があります。つまり、「話を聞き入れる」ことが「承知」の主幹となる意味です。「受け入れる」ことに重きを置く「承服」とはその点で違いがあります。

次に「承諾」の意味も見てみましょう。辞書には「相手の意見や要望などを聞いて受け入れること」とあります。つまり、「承知」とはあまり意味の上では変わりません。と同時に、「承服」とは意見を聞くまでか受け入れるのかの違いが出てきます。ただし、「承諾」は契約を結ぶときや依頼を引き受けるときの返事として使われることがありますので、「承知」よりは引き受ける度合いが強いと言ってもいいでしょう。

「承服」の対義語は?

さらに、「承服」の対義語も見ていきましょう。

\次のページで「「不服」」を解説!/

「不服」

「承服」には「不服」という対義語があります。普段の生活でも「不服」という言葉を使う人は多いのではないでしょうか。

辞書で「不服」を見てみると、「納得がいかず不満に思うこと、またそのさま」などと書いてあります。納得がいかないという思いと、納得できないという表情をすることのどちらも「不服」となるわけです。

しかし、実際に「不服」という言葉を使ってしまうと、何かと角が立つことになるでしょう。得意先に「その提案は不服に存じます」などと言うと、相手はいい顔をしないはずです。よって、「使い方・例文」の項目で紹介した「承服しかねる」や「承服しがたい」といった表現を使うことになります。

「承服」の英訳は?

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では、「承服」は英語でどう表現すれば良いのでしょうか。

「accept」「agree」

「accept」と「agree」は、どちらも中学校で学ぶレベルの比較的易しい英単語です。それでも「承服(する)」の英訳として用いることができます。なお、「承服」は「できない、しかねる」を付けて肯定では使わないと前の項目で説明しましたが、その場合は否定文にして「accept」や「agree」を使いましょう。

accept」は「受け入れる、引き受ける」などの意味があり、様々な場面で使えるので便利に思えるでしょう。例として、「accept a gift」で「贈り物を受納する」、「accept things as they are」で「現状を甘受する」です。そして、「提案を承服する」は「accept a suggestion」などとなります。

一方、「agree」には「受ける」という意味合いはありません。「同意する、同感である」という意味となります。たとえば、「提案に承服する」を「agree」で表現するには、「agree to the proposal」などとすると良いでしょう。

「承服」を使いこなそう

この記事では「承服」の意味・使い方・類語などを説明しました。

仕事の得意先に「それは不服です」などとは、よっぽど信頼関係を築いていない限り口に出すことはできないでしょう。そんなときに便利な言葉が「承服」です。「承服しかねます」などと言えば、角が立つことはなくなります。よくよく考えると、「承服しかねる」は「受け入れることをするのはできない」という意味ですので、回りくどいと感じるかもしれません。しかし、それこそが人間関係を円滑にするための知恵です。この「承服」という言葉の使い方を覚えて、ビジネスを有利に運んでいきましょう。

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国語言葉の意味

「承服」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

1.その程度の内容では承服できない。
2.大変申し訳ありませんが、急な納期変更のお願いには承服しかねます。
3.先日ご提案いただきました件についてですが、会社の者と話し合いを重ねた結果、それは承服しがたいとのことでした。

「承服」という言葉を「承服しました」などと肯定文で使用することはほぼないと言っていいでしょう。ビジネスでは大げさ過ぎるとして、あまり使われない傾向です。その場合は「かしこまりました」などを使います。

また、「承服いただく」も使われません。「承服」には「従う」という意味があるため、「承服いただく」では「こちらの言うことに従え」と言っているようにも聞こえてしまいます。よって、「ご了承いただく」などにすると良いでしょう。

例文2や3を見れば気付いたかもしれませんが、「承服しかねる」や「承服しがたい」というように、「承服」が不可能であることをやんわりと表す使い方をしています。もし、取引先などに対して「賛成できない」や「納得いかない」などとストレートに返答した場合、相手はどう思うでしょうか。相手との関係性にもよりますが、言われた側からすると面目が立たなくなります。ですので、「承服しかねる」などの婉曲的な表現が必要となるのです。

「承服」の類義語は?違いは?

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ところで、「承服」の類義語には何があるのでしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「承知」「承諾」

ビジネスなどでは、相手のオファーなどに対して「はい」の返事をするのに使うのは、「承服」の他にも「承知」や「承諾」があります。同じ「承」という漢字を使いますが、果たして違いはあるのでしょうか。

承知」を辞書で調べると、「知っていること」「聞き入れること」「相手の事情を理解して許すこと」という3つの意味があります。つまり、「話を聞き入れる」ことが「承知」の主幹となる意味です。「受け入れる」ことに重きを置く「承服」とはその点で違いがあります。

次に「承諾」の意味も見てみましょう。辞書には「相手の意見や要望などを聞いて受け入れること」とあります。つまり、「承知」とはあまり意味の上では変わりません。と同時に、「承服」とは意見を聞くまでか受け入れるのかの違いが出てきます。ただし、「承諾」は契約を結ぶときや依頼を引き受けるときの返事として使われることがありますので、「承知」よりは引き受ける度合いが強いと言ってもいいでしょう。

「承服」の対義語は?

さらに、「承服」の対義語も見ていきましょう。

\次のページで「「不服」」を解説!/

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