この記事では「食い気味」について解説する。

端的に言えば食い気味の意味は「被せる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「食い気味」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「食い気味」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「食い気味」の意味や語源・使い方まとめ

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「食い気味」という言葉をご存じでしょうか?ある入学式に参加した時に、名前を呼ばれた人全員が「食い気味」に返事をしていてとても驚いた事があります。その学校の習わしなのでしょうが、学園長・理事長を始め、在校生も全員「食い気味」な返事で、あの奇異な光景は今でも忘れられません。今回はそんな「食い気味」という言葉について詳しく解説していきますよ。

それでは早速「食い気味」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「食い気味」の意味は?

「食い気味」には、次のような意味があります。

1.人が話している最中に割り込んで話をすること。
2.大袈裟な相づちを打つさま。

「食い気味」という言葉は、辞書には載っていなかったのですが分かりやすく説明しましょう。「食い気味」とは「食い込み気味」の略で、人が話してる最中でも被せて発言したり、相手が話し終わらないうちに大袈裟に相づちを打つ時などに使われますよ。人の話に割って入り込む行動は、割り込まれた方は決して良い気分ではありませんよね。話の最中に「あぁ、なるほどね」などと言われても「最後まで話してないのに」とか「あんまり聞く気ないな」と思われがちです。このように「食い気味」という言葉は、良い意味で使われる事は少なくネガティブなニュアンスを含みますよ。

「食い気味」の語源は?

次に「食い気味」の語源を確認しておきましょう。先にも述べたように「食い込み気味」という言葉の省略形で、「話や返事を食い込ませる」という意味から来ていますよ。

「食い気味」という表現を使うようになったのは、芸人さんが最初だと言われています。相方のノリに間髪入れずリアクションをする芸風が話題になり、お笑いの切れの良いノリ突っ込みが定着したとされているので、歴史は浅い言葉ですね。他にも演劇用語で「食う」は、舞台などで俳優が共演者の台詞に被せて台詞を言ってしまう失敗を表しますよ。演劇界では「食う」は致命的な失敗を意味しますが、そこから派生して主役の座などを取って代わられることを「食われる」と言います。

\次のページで「「食い気味」の使い方・例文」を解説!/

「食い気味」の使い方・例文

「食い気味」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼の食い気味の返事は、嫌な気分になるな。
2.彼女は誰と話していても食い気味に入ってくる。
3.彼はいつも食い気味に話をするから疲れるな。

例文を3つ挙げてみました。「(食い気味に)話す・返事をする・入ってくる」などの表現にしてみましたが、どれもあまり良い行動ではないのは分かるでしょうか?

例文1の「食い気味の返事」とは相手の話が終わらないうちに「それ、俺も思った」や「あー、なるほどね」など、最後まで聞かずに話を折るような返事の事を指しますよ。例文2の「食い気味に入ってくる」も同じく、話している最中に話を中断させてしまうような割り込み方だったり、全て自分の話にすり替えるような時にも使われますよ。例文3の「食い気味に話をする」はこれまでと少しニュアンスが変わります。これは分かりやすく言うと、会話や周りの人の意見などは関係なく周りに聞くことを強要するような、主導権を握りたがるタイプの人の話し方の特徴とも言えますね。

例文からも分かるように、「食い気味」という行動は相手に不快な思いをさせたり、迷惑行為にもなりかねない行動なのです。

「食い気味」の類義語は?違いは?

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「食い気味」という言葉の類義語には何があるか見ていきましょう。

その1「被せ気味」

「食い気味」の類義語として一番ふさわしいのは「被せ気味」です。「かぶせぎみ」と読みますよ。「被せる」には「上から覆う」や「間を置かないですぐ次の言葉を言う」という意味があります。間を置かずに上から覆うさまが「食い気味」と同じなので類義語として適切であると言えますよ。

\次のページで「その2「前のめり」」を解説!/

その2「前のめり」

「前のめり」は本来身体が前につんのめるさまを表す言葉ですが、転じて興味のある話題に対してどんどん質問する姿勢や大きなリアクションを取る事も表しますので、類義語としてふさわしいでしょう。大学の講義などで「前のめり」な質問を浴びせる生徒がいると、教授も嬉しいかもしれませんね。

「食い気味」の対義語は?

「食い気味」にはどんな対義語があるでしょうか?

「引き気味」

「食い気味」という言葉自体が辞書には載っていなかったので、明確な定義などはありませんが「引き気味」という言葉が対義語になり得るのではないでしょうか。最近では「ドン引き」などと使われていますが、「引く」は「退く」という意味の「向こうへ離れる・縁を切る」や、「気を引く・血の気が引く」などで用いられる「引ける」の文語系もあります。ですので「引き気味」は「食い気味」の反対の言葉としてふさわしいでしょう。心理的にも一方がグイグイ来ると、もう一方は引いてしまう傾向にありますね。

「食い気味」の英訳は?

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最後に「食い気味」の英語表現を調べてみましょう。

「interrupt」

「食い気味」という言葉は独特の日本語表現なので、「割り込む・妨げる」の意味を持つ「interrupt」を使うといいでしょう。同じ意味で「cut in」なども言い換えが出来ますよ。似た言葉で「cut off」という言い方もあり、「cut in」は割って入ってくるような時で「cut off」は遮る時に用いるので、「食い気味」を表現するなら「cut off」の方がより適切でしょう。

「He always interrupt our conversation. 」(彼はいつも食い気味に話に入ってくる。)

「Don't cut me off while I am speaking.」(私が話している時に遮って入ってこないで。)

\次のページで「「食い気味」を使いこなそう」を解説!/

「食い気味」を使いこなそう

この記事では「食い気味」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。「食い気味」とは人が話している時に割って入る事や大袈裟な相槌を打つさまでしたね。「食い気味」な人は案外周りにたくさんいるのではないでしょうか。話の最中に「あー、それ知ってる」とか「はーい、私も持ってるー」なんて言われた事あると思います。

今回の記事では、主に「話に割り込む」などのネガティブな意味で取り上げましたが、例えばお年寄りを相手にちょっとオーバーにリアクションしたり、「是非聞かせて下さい」などと言ったりするのも「食い気味」ではありますが、喜んでくれる場面でもありますね。「食い気味」がいつでも良くない印象というわけではありませんが、まず相手の話をしっかりと聞く、これに尽きると思います。この記事をきっかけに周囲の人との距離感や話を聞く姿勢を今一度振り返るきっかけになれば幸いです。 

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国語言葉の意味

「食い気味」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「食い気味」について解説する。

端的に言えば食い気味の意味は「被せる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「食い気味」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「食い気味」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「食い気味」の意味や語源・使い方まとめ

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「食い気味」という言葉をご存じでしょうか?ある入学式に参加した時に、名前を呼ばれた人全員が「食い気味」に返事をしていてとても驚いた事があります。その学校の習わしなのでしょうが、学園長・理事長を始め、在校生も全員「食い気味」な返事で、あの奇異な光景は今でも忘れられません。今回はそんな「食い気味」という言葉について詳しく解説していきますよ。

それでは早速「食い気味」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「食い気味」の意味は?

「食い気味」には、次のような意味があります。

1.人が話している最中に割り込んで話をすること。
2.大袈裟な相づちを打つさま。

「食い気味」という言葉は、辞書には載っていなかったのですが分かりやすく説明しましょう。「食い気味」とは「食い込み気味」の略で、人が話してる最中でも被せて発言したり、相手が話し終わらないうちに大袈裟に相づちを打つ時などに使われますよ。人の話に割って入り込む行動は、割り込まれた方は決して良い気分ではありませんよね。話の最中に「あぁ、なるほどね」などと言われても「最後まで話してないのに」とか「あんまり聞く気ないな」と思われがちです。このように「食い気味」という言葉は、良い意味で使われる事は少なくネガティブなニュアンスを含みますよ。

「食い気味」の語源は?

次に「食い気味」の語源を確認しておきましょう。先にも述べたように「食い込み気味」という言葉の省略形で、「話や返事を食い込ませる」という意味から来ていますよ。

「食い気味」という表現を使うようになったのは、芸人さんが最初だと言われています。相方のノリに間髪入れずリアクションをする芸風が話題になり、お笑いの切れの良いノリ突っ込みが定着したとされているので、歴史は浅い言葉ですね。他にも演劇用語で「食う」は、舞台などで俳優が共演者の台詞に被せて台詞を言ってしまう失敗を表しますよ。演劇界では「食う」は致命的な失敗を意味しますが、そこから派生して主役の座などを取って代わられることを「食われる」と言います。

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