今回は「種間競争」について解説していきます。

種間競争という言葉は、生物学で登場する用語の1つです。生態系のバランスについての理解を深めるためには、種間競争の概念が必要となる。また、近年よく話題になる環境問題について考察する際にも、種間競争の考え方が役立つぞ。このような理由から、種間競争について学んだことが無駄になることはないと言えるでしょう。ぜひこの機会に、種間競争についての理解を深めてくれ。

工学の視点で生態系について学んだことがある学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

工学部所属の現役理系大学生。環境工学を専攻している。高校時代は生物を学んでいなかったが、大学進学後に工学的な視点から生態系について詳しく学んだ。

種間競争について学ぼう!

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種間競争という言葉は、生物学について学ぶと高い可能性で目にするものです。特に生態系について理解を深める場合には、必ず勉強しなければならない概念ですよ。そして、近年注目されている「生物多様性」や「持続可能な社会」といったキーワードとも深い関係を持ちます。

この記事では、はじめに種間競争がどのようなものであるのかを説明しますね。その後、種間競争が生物群集全体にどのような影響を与えるのか種間競争を数理モデルで表現するとどのようになるのか、といった専門的な内容にも触れます。また、記事の後半では、具体的な種間競争の事例についても解説しますよ。

以下では、生物学をほとんど学んだことのないような方でも理解して頂けるように、できるだけ簡単な表現で説明を進めていくことを心がけます。ですが、見慣れない用語を見かけることもあるかもしれません。その際は、用語の意味をしっかり確認してくださいね。

種間競争とは?

種間競争とは?

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生態系内には、多数の生物種が存在していますよね。それらの中には、共通のニッチや資源を利用している種が2つ以上存在することがありますこのような競合関係にあり、お互いが不利益を被る状態にあることを、種間競争があると表現するのです。ちなみに、ニッチとは、特定の生物種が生息する領域のことですよ。また、資源の中には、生物が食べるえさなどが含まれます。

種間競争の結果は様々です。一方の種が他方を排除する行動を取り、一方の種のみが生き残るという結果もあり得ます。競合関係にあることで、お互いの進化を促し、生態系の質を向上させることも考えらますよね。そして、種間競争の中には、直接的なものと間接的なものがあります。以上のように、種間競争には複数のシナリオが存在するのです。それゆえ、種間競争が生態系にどのような影響を与えるのかを的確に予測するのは難しいのですね

\次のページで「種間競争と生態系の関係」を解説!/

種間競争と生態系の関係

種間競争と生態系の関係

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生態系の中では、絶妙なバランスが保たれることで、生物種が共存しています。絶妙なバランスというのは、生物種間の関係におけるものがほとんどです。生物種間の関係には、捕食者と被食者の関係や寄生の関係などがあり、その中に種間競争も含まれますよ

外部からのかく乱などで、生態系のバランスが崩れると、各生物種の個体数は大き変動します。例えば、種間競争の関係にある2つの種のうち、一方が何らかの要因で急速に繁殖し、個体数が増加したとしましょう。このとき、他方の種は競争に負け、個体数を減らしますよね。絶滅に至ることもあります。さらに、競争に負けた側に依存している別の生物種も、強い影響を受けますよ。

このように、生態系の一部が乱されると、生態系全体にまで影響が広がります。そして、生態系のバランスが崩れるきっかけが、種間競争の結果であることも珍しくありません

種間競争の数理モデル

種間競争の数理モデル

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人間による環境のかく乱によって、生態系が破壊されてしまうことは少なくありません。このような現象が生じることを防ぐために、日本では大規模開発の前に環境アセスメントなどが行われます。環境アセスメントでは、開発によって生態系がどのように変化するのかを予測・評価しますよ

より正確な予測や評価を行うためには、生物種間の関係について研究する必要があります。種間競争については、実験結果などに基づき、数理モデルが作られていますよ最も古い種間競争についての数理モデルは、オーストラリア出身でアメリカ人の学者であるアルフレッド・ジェームズ・ロトカが1925年に提唱したものです。

より正確な予測を行うために、数理モデルは年々進化しています近年では、人工知能(AI)を用いて、種間競争についての評価を行うことがあるそうですよ。生物学では数学を使うことは少ないというイメージを持っている方も多いかもしれません。実際は、生物学においても数学的な考え方が必要になるのですね。

種間競争の事例紹介

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最後に、種間競争の具体的な事例をご紹介します。今回は、『ゾウリムシとヒメゾウリムシの種間競争』について説明しますね。種間競争の原因や結果について注目して、以下の記事を読み進めてみてください

具体例について知ることで、種間競争についての理解がより深めることができるでしょう。それでは、種間競争の事例についての解説をはじめます。

\次のページで「ゾウリムシとヒメゾウリムシの種間競争」を解説!/

ゾウリムシとヒメゾウリムシの種間競争

ゾウリムシとヒメゾウリムシは、それぞれが単独で生息していると、両方が個体数を増やしていきます。ですが、ゾウリムシとヒメゾウリムシが同じ場所で同時に存在すると、ヒメゾウリムシのみが個体数を増やしていくのです。このとき、ゾウリムシは個体数を徐々に減らし、姿を消してしまいます

ゾウリムシとヒメゾウリムシのニッチは共通しているため、両者の間には種間競争が生じるのです。そして、この種間競争の結果はヒメゾウリムシがゾウリムシを淘汰するというものですよ。このような完全な淘汰が行われるのは、ニッチの一致度が極めて高いからです

ニッチの一致度が低いヒメゾウリムシとミドリゾウリムシの競争では、どちらか一方が姿を消すということはありません。ヒメゾウリムシとミドリゾウリムシは共存が可能で、同じ場所に生息している場合も、個体数を増やし続けることができるのです。

種間競争について学ぶ意義

種間競争というのは、共通のニッチや資源を利用している2つ以上の種が競合関係にあり、お互いが不利益を被る状態のことをさします。種間競争は生物種間の関係の1つであり、生態系に影響を与えうる要素となっていますよ。それゆえ、生態系について考える際に、種間競争を無視することはできません。

近年注目度が高まっている環境問題への対応策の中には、生態系保全を目的とした環境アセスメントなどがあります。これらの対応策を的確に実施するためにも、種間競争についての知識が必要不可欠です。このような話題は報道で取り上げられることが多いですから、雑学として種間競争について知っておくことで損をすることはないはずですよ。

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理科生物

3分で簡単種間競争!生態系のバランスとの関係は?具体例を交えて現役理系学生ライターがわかりやすく解説!

今回は「種間競争」について解説していきます。

種間競争という言葉は、生物学で登場する用語の1つです。生態系のバランスについての理解を深めるためには、種間競争の概念が必要となる。また、近年よく話題になる環境問題について考察する際にも、種間競争の考え方が役立つぞ。このような理由から、種間競争について学んだことが無駄になることはないと言えるでしょう。ぜひこの機会に、種間競争についての理解を深めてくれ。

工学の視点で生態系について学んだことがある学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

工学部所属の現役理系大学生。環境工学を専攻している。高校時代は生物を学んでいなかったが、大学進学後に工学的な視点から生態系について詳しく学んだ。

種間競争について学ぼう!

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種間競争という言葉は、生物学について学ぶと高い可能性で目にするものです。特に生態系について理解を深める場合には、必ず勉強しなければならない概念ですよ。そして、近年注目されている「生物多様性」や「持続可能な社会」といったキーワードとも深い関係を持ちます。

この記事では、はじめに種間競争がどのようなものであるのかを説明しますね。その後、種間競争が生物群集全体にどのような影響を与えるのか種間競争を数理モデルで表現するとどのようになるのか、といった専門的な内容にも触れます。また、記事の後半では、具体的な種間競争の事例についても解説しますよ。

以下では、生物学をほとんど学んだことのないような方でも理解して頂けるように、できるだけ簡単な表現で説明を進めていくことを心がけます。ですが、見慣れない用語を見かけることもあるかもしれません。その際は、用語の意味をしっかり確認してくださいね。

種間競争とは?

種間競争とは?

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生態系内には、多数の生物種が存在していますよね。それらの中には、共通のニッチや資源を利用している種が2つ以上存在することがありますこのような競合関係にあり、お互いが不利益を被る状態にあることを、種間競争があると表現するのです。ちなみに、ニッチとは、特定の生物種が生息する領域のことですよ。また、資源の中には、生物が食べるえさなどが含まれます。

種間競争の結果は様々です。一方の種が他方を排除する行動を取り、一方の種のみが生き残るという結果もあり得ます。競合関係にあることで、お互いの進化を促し、生態系の質を向上させることも考えらますよね。そして、種間競争の中には、直接的なものと間接的なものがあります。以上のように、種間競争には複数のシナリオが存在するのです。それゆえ、種間競争が生態系にどのような影響を与えるのかを的確に予測するのは難しいのですね

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