今回は「雲ができる仕組み」について解説していきます。

雲ができる仕組みというのは、多くの方が一度は疑問に思ったことがある話題ではないでしょうか。小学校や中学校の授業で雲ができる過程について簡単に学ぶが、細かい部分までは学習しないことが多いぞ。この記事では、できる限り簡単な表現を使って、雲ができる仕組みを詳細に述べる。ぜひこの記事を読んで、雲ができる仕組みについての理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

雲ができる仕組みを知ろう!

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皆さんは上空に浮かんでいる雲の正体やでき方をご存知でしょうか。この内容は、小学校や中学校の理科の授業でも扱われていますので、ぼんやりと理解されている方も多いかと思います。ですが、雲ができる仕組みを厳密に説明するのは意外にも難しいのです雲について深く理解するには、地学だけでなく、物理学や化学の知識も必要になるからですよ

この記事では、科学全般の知識があまりない方も理解できるように簡単な表現を用いて説明を行います。ですが、専門的な内容にも触れますので、サイエンスに興味がある方も楽しんで記事を読むことができるでしょう。それでは早速、雲のでき方について学んでいきましょう。

1.湿った空気が空高くまで運ばれる

1.湿った空気が空高くまで運ばれる

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雲のもとになるものは、空気中の水蒸気です。水蒸気は水が気体になったものですよ。水蒸気は無色透明であるため、人間の目では見ることはできません。雲ができる過程で一番最初に起こるのは、地上付近の水蒸気を多く含んだ湿った空気が空高くにまで運ばれる現象です

湿った空気が空高くにまで運ばれるメカニズムはどのようなものなのでしょうか?一般的に、湿った空気は上昇気流によって空高くにまで運ばれることが知られていますよ

上昇気流が発生する場所は複数あります。具体的には、前線面山のまわり低気圧の中心部気温が高く地面が暖められている場所などがありますよ。逆に、高気圧の中心部のように下降気流が発生するところでは、雲はできません。

2.湿った空気が冷却される

2.湿った空気が冷却される

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湿った空気が空高くにまで運ばれる過程において、空気の冷却が生じますよ。この現象は、断熱膨張という用語を用いて説明することができます。断熱膨張は、外部との熱エネルギーのやり取りがない状態で、空気が膨張することです

断熱膨張では、空気の体積が大きくなります。このとき、空気の塊には外に向かって、押し出すような力が働いていると考えられますよ。つまり、空気の塊は外部に仕事をしているのですこの仕事に必要なエネルギーは、空気自体がもつ熱エネルギーから供給されます。先ほど述べたように、外部との熱エネルギーのやり取りがありませんから、このようになるのです。

以上の理由から、断熱膨張が進行すると、空気の塊がもつ熱エネルギーは減少していくことがわかります。そして、熱エネルギーと絶対温度は比例関係にあるので、断熱膨張に伴い、空気の温度が下がることがわかりますよね

\次のページで「3.水蒸気が凝縮されて雲が形成される」を解説!/

3.水蒸気が凝縮されて雲が形成される

3.水蒸気が凝縮されて雲が形成される

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水蒸気をたくさん含む空気を冷却すると、水分が凝縮されて、水滴が現れます。暖かい部屋に冷たい飲料を注いだコップを置いておくと、コップの外側壁面に結露が生じる現象と同じメカニズムです。

空高くにまで運ばれた湿った空気の場合でも、同じような現象が見られます空気の塊に含まれる水蒸気が凝結されて小さな水滴になり、その水滴が集合して雲になりますよ。また、水滴がさらに冷却されると、結晶化して氷の粒に変化します。この氷の粒も雲の成分となりますよ

これで雲のでき方の流れが理解できたように思われます。しかしながら、これだけでは雲のでき方は完全に説明できたことになりません。次の節で、さらに専門的な内容に触れていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

雲についてより詳しく学ぼう!

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ここまでは、雲が出来上がる仕組みについて、全体的な流れを説明しました。以下では、雲のでき方について考えた時に、疑問に思う方が多いと思われる項目について説明していきますね

子供たちに『雲はどのようにしてできるの?』と聞かれた時に、大人の方が以下のように答えられると子供たちに納得してもらえるかもしれませんね

\次のページで「水蒸気が簡単に凝縮する理由」を解説!/

水蒸気が簡単に凝縮する理由

先ほど、雲は水蒸気が凝縮されることで形成されると述べました。ですが、単に水を凝縮させるときよりも、雲が形成されるときのほうが凝縮しやすいことが知られています。それはなぜでしょうか?

それは凝結核が存在するからです。凝結核とは、空気中に存在するちりなどのことですよ。凝結核となるちりには、人為的に排出されたエアロゾルなどが含まれています。凝結核が凝結が始まる際に、足場のような役割を担うのです

雲はなぜ落ちてこない?

雲を構成しているのは、非常に小さな水滴と氷の粒です。これらはそれぞれ液体と固体であり、重量がありますそれにも関わらず、雲が空に浮かび続けられるのはなぜなのでしょうか

その理由は、雲の粒の落下速度が極めて遅いからです雲の粒は約毎秒1cmで落下します。ストークスの式を用いると雲の粒の落下速度が計算できますよ。さらに、雲の粒が落下によって移動したとしても、上昇気流によって再度持ち上げられますこのようなメカニズムがあるので、雲は空に浮かび続けることができるのです

また、雲の粒の落下速度が極めて遅い理由についても考えてみましょう。雲の粒は非常に小さいため、重力の影響をほとんど受けません。そして、雲の粒は空気の中に存在しているため、空気抵抗を受けることになります。空気抵抗の大きさは物体のサイズにはあまり影響されないのです。それゆえ、雲の粒を落下させようとする力は少なくなり、それに伴って落下速度も遅くなるのですね

雲が白い理由

最後に、雲が白く見える理由について考えてみましょう。雲を構成している水滴や氷は、いずれも無色透明であることが知られています。しかしながら、空に浮かぶ雲は白く見えますよね。このようになる理由は、ミー散乱という現象によって説明することができます。

ミー散乱というのは、光の波長と同程度のサイズの粒子に光が当たった際に見られる現象ですミー散乱では、光が粒子に当たったときに、全方向に等しく光が散乱します。また、ミー散乱は波長依存性が少なく、どのような色でもほぼ同じ強度で散乱しますよ

雲を構成する粒も太陽光の波長と同じくらいの大きさですから、ミー散乱が生じます太陽の光は白色なので、その光が雲で散乱されると、雲自体が白く見えるのですね。ただし、活発な雨雲は厚みがあるため、光が透過しづらくなります。そのため、私たちの目には、雨雲が灰色に見えるのです。

\次のページで「雲ができる仕組みを学ぶ意義」を解説!/

雲ができる仕組みを学ぶ意義

この記事では、雲はどのような過程を経て出来上がるのかについて述べました。そして、雲のでき方を学んだ際に、多くの方が疑問に思うであろう部分についても説明しましたよ。今回説明した事柄は、多くの子供たちが不思議に思っていることでもあるでしょう。しかしながら、大人であっても詳しく知っている方は少ないかと思います。

このようなことから、雑学として雲ができる仕組みを知っておくことで損をすることはないと言えますよ。ぜひこの機会に雲ができる仕組みについて詳しく学んでみてくださいね。

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地学理科

3分で簡単雲ができる仕組み!水蒸気が凝縮されることで形成される?理系学生ライターがわかりやすく解説!

今回は「雲ができる仕組み」について解説していきます。

雲ができる仕組みというのは、多くの方が一度は疑問に思ったことがある話題ではないでしょうか。小学校や中学校の授業で雲ができる過程について簡単に学ぶが、細かい部分までは学習しないことが多いぞ。この記事では、できる限り簡単な表現を使って、雲ができる仕組みを詳細に述べる。ぜひこの記事を読んで、雲ができる仕組みについての理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

雲ができる仕組みを知ろう!

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皆さんは上空に浮かんでいる雲の正体やでき方をご存知でしょうか。この内容は、小学校や中学校の理科の授業でも扱われていますので、ぼんやりと理解されている方も多いかと思います。ですが、雲ができる仕組みを厳密に説明するのは意外にも難しいのです雲について深く理解するには、地学だけでなく、物理学や化学の知識も必要になるからですよ

この記事では、科学全般の知識があまりない方も理解できるように簡単な表現を用いて説明を行います。ですが、専門的な内容にも触れますので、サイエンスに興味がある方も楽しんで記事を読むことができるでしょう。それでは早速、雲のでき方について学んでいきましょう。

1.湿った空気が空高くまで運ばれる

1.湿った空気が空高くまで運ばれる

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雲のもとになるものは、空気中の水蒸気です。水蒸気は水が気体になったものですよ。水蒸気は無色透明であるため、人間の目では見ることはできません。雲ができる過程で一番最初に起こるのは、地上付近の水蒸気を多く含んだ湿った空気が空高くにまで運ばれる現象です

湿った空気が空高くにまで運ばれるメカニズムはどのようなものなのでしょうか?一般的に、湿った空気は上昇気流によって空高くにまで運ばれることが知られていますよ

上昇気流が発生する場所は複数あります。具体的には、前線面山のまわり低気圧の中心部気温が高く地面が暖められている場所などがありますよ。逆に、高気圧の中心部のように下降気流が発生するところでは、雲はできません。

2.湿った空気が冷却される

2.湿った空気が冷却される

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湿った空気が空高くにまで運ばれる過程において、空気の冷却が生じますよ。この現象は、断熱膨張という用語を用いて説明することができます。断熱膨張は、外部との熱エネルギーのやり取りがない状態で、空気が膨張することです

断熱膨張では、空気の体積が大きくなります。このとき、空気の塊には外に向かって、押し出すような力が働いていると考えられますよ。つまり、空気の塊は外部に仕事をしているのですこの仕事に必要なエネルギーは、空気自体がもつ熱エネルギーから供給されます。先ほど述べたように、外部との熱エネルギーのやり取りがありませんから、このようになるのです。

以上の理由から、断熱膨張が進行すると、空気の塊がもつ熱エネルギーは減少していくことがわかります。そして、熱エネルギーと絶対温度は比例関係にあるので、断熱膨張に伴い、空気の温度が下がることがわかりますよね

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