今回は「地球放射」について解説していきます。

地球放射とは、地球から常に放出されているエネルギーのことです。近年、頻繁に話題となる地球温暖化問題を考察する上で、この概念は重要になるぞ。この記事では、地球放射についての基礎知識を説明するのはもちろんのこと、地球温暖化問題についても簡単に触れている。ぜひこの機会に、地球放射についての理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

地球放射について学ぼう!

この記事のメインテーマは、地球放射ですよ。地球放射は地学、環境学、水文学などを学ぶと目にする用語です近年最も注目されている環境問題である地球温暖化問題について考察する際にも、地球放射の概念は重要となります

この記事では、前半部分で地球放射の基礎知識、後半部分で地球温暖化問題についての解説を行いますね。説明には、物理の知識もある程度用いる必要があります。そのため、見慣れない用語を目にすることがあるかもしれません。そのような場合は、用語の意味をしっかりと確認してくださいね。それでは早速、地球放射の基礎知識について学んでいきましょう

放射とは?

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地球放射について詳しく学ぶ前に、放射とは何かということを述べておきますね。放射は熱の移流および拡散のメカニズムの一種で、熱輻射温度輻射とも呼ばれます。ちなみに、放射以外で熱の移流および拡散のメカニズムを挙げると、対流・熱伝導などがありますよ。

放射は、物体を構成する分子や原子の熱運動が電磁波に変換されて、物体から放出されます。常温で、放射による電磁波の波長は、赤外線と同じくらいになりますよ。放射の熱量は、シュテファン=ボルツマンの法則に基づいて、計算することができます。絶対温度Tの黒体から放出される放射は、σT4と表現できますよ。ここで、σはシュテファン=ボルツマン定数です。

地球放射とは?

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地球放射は、地球の地面から宇宙空間に向けて放出されるエネルギーのことです。地球放射は放射の一種であり、赤外線と同じくらいの波長の電磁波によってエネルギーが輸送されますよ。

シュテファン=ボルツマンの法則では、物体の温度によって放射のエネルギー量は決まります。それゆえ、緯度の異なる地域では、地球放射のエネルギー量も異なった値をとるのです

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地球温暖化問題

ここからは地球放射と関係が深い地球温暖化問題について解説していきます。地球温暖化問題は、グローバル規模(全球規模)の環境問題です。そのため、世界中の人々が同時に対策を取り組む必要があります。地球温暖化による気候変動が人類にもたらす影響は多大であり、迅速な対応が求められているところです

効果的な対策を打ち出すためには、地球温暖化についての科学的な理解がなされている必要がりますよね。気候変動を予測する数理モデルには、地球放射の概念が組み込まれています。このような背景を踏まえて、今回は気候変動予測モデルの話を主軸として、地球温暖化問題について述べますね。

地球を出入りするエネルギー

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気候変動について考察する際、地球を出入りするエネルギーの収支を定量化することが重要となります。なぜなら、地球に入ってくるエネルギーと地球から出ていくエネルギーの大小関係から、平均気温がどのように上昇するのかが分かるからですよ。

地球に入ってくるエネルギーのほとんどは、太陽放射です。太陽放射は、いわゆる日射のエネルギーのことですよ。大気や雲に反射されなかった太陽放射は地表面に到達し、その一部が地面に吸収されます

そして、地球から出ていくエネルギーの大部分が地球放射ですよ。地球放射については、記事の前半で解説した通りです。ここでは地球放射に加えて、地表面から大気へのエネルギー移動が存在することを覚えておきましょう。このエネルギー移動は蒸発などによって生じます。

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温室効果とは?

温室効果とは?

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先ほどの説明で、地球の熱エネルギー収支について、ほぼすべて理解ができるように思われますよね。しかしながら、熱エネルギー収支について考える上でもう一つ重要な要素があります。それが温室効果です。

空気中に含まれている二酸化炭素、メタン、水蒸気などの気体分子は、地球から放出される地球放射の一部を吸収します吸収されたエネルギーは、気体分子から再放出され、その一部は地表面の方向に戻ってくるのです。この現象が温室効果であり、このような性質をもつ気体のことを温室効果ガスと呼びますよ。大気中の温室効果ガス濃度が増加すると、地球から出ていくエネルギーは減少します。それによって、地球の平均気温が上昇するのです

人類は石炭、石油、天然ガスを燃やしてエネルギーを取り出していますよね。この際に、温室効果ガスである二酸化炭素が大量に放出されます。このような人為的に排出される二酸化炭素が近年の地球温暖化の原因だとされているのです

温暖化を阻止するために必要な対策

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地球温暖化を防止するためには、温室効果ガスの人為的な排出をゼロにする必要があります。しかしながら、現段階において、準備なしに温室効果ガス排出ゼロを実現することはできません。ですから、世界各国は漸次的に温室効果ガス排出を抑制していく方針で対策を進めています。気候変動サミットでは、多くの国家が温室効果ガス排出削減の目標を表明していますよ。

人為的に排出される温室効果ガスの大半は、石炭、石油、天然ガス由来の二酸化炭素です。したがって、これらを二酸化炭素を排出しないエネルギーに置き換える必要がります。例えば、太陽光発電・風力発電・水力発電・原子力発電などは電気を作り出す際に二酸化炭素を排出しません。火力発電をこれらの発電方法で置き換えることは有効な地球温暖化への対策となりますよ。さらに、二酸化炭素を排出しない方法で作られた電気を利用して、自動車を走らせたり、暖房を行ったりすることもできます。

地球放射について学ぶ意義

この記事では、地球放射は一体どのようなものであるのかを解説し、それと関係性の深い地球温暖化問題についても述べました。何度も言及していますが、地球温暖化問題は近年話題にされることが多い環境問題ですよね。今を生きる私たちが目を背けることができない問題ですよ。

このような背景からも、雑学として地球放射について知っておくことは無駄ではないと言えます。ぜひこの機会に、地球放射について学んでみてくださいね。

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3分で簡単地球放射!地球温暖化問題との関係は?現役理系学生ライターがわかりやすく解説

地球温暖化問題

ここからは地球放射と関係が深い地球温暖化問題について解説していきます。地球温暖化問題は、グローバル規模(全球規模)の環境問題です。そのため、世界中の人々が同時に対策を取り組む必要があります。地球温暖化による気候変動が人類にもたらす影響は多大であり、迅速な対応が求められているところです

効果的な対策を打ち出すためには、地球温暖化についての科学的な理解がなされている必要がりますよね。気候変動を予測する数理モデルには、地球放射の概念が組み込まれています。このような背景を踏まえて、今回は気候変動予測モデルの話を主軸として、地球温暖化問題について述べますね。

地球を出入りするエネルギー

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気候変動について考察する際、地球を出入りするエネルギーの収支を定量化することが重要となります。なぜなら、地球に入ってくるエネルギーと地球から出ていくエネルギーの大小関係から、平均気温がどのように上昇するのかが分かるからですよ。

地球に入ってくるエネルギーのほとんどは、太陽放射です。太陽放射は、いわゆる日射のエネルギーのことですよ。大気や雲に反射されなかった太陽放射は地表面に到達し、その一部が地面に吸収されます

そして、地球から出ていくエネルギーの大部分が地球放射ですよ。地球放射については、記事の前半で解説した通りです。ここでは地球放射に加えて、地表面から大気へのエネルギー移動が存在することを覚えておきましょう。このエネルギー移動は蒸発などによって生じます。

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