

初期微動と主要動は地震学で登場する用語だ。このように表現すると難しいように思われるが、この概念は中学校の理科の授業でも取り扱われるような基本的なものだぞ。そして、これらの用語と関係性が深い初期微動継続時間という考え方についても、この記事で紹介する。ぜひこの機会に、初期微動と主要動についての理解を深めてくれ。
地学に詳しいライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/通りすがりのペンギン船長
現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。
初期微動と主要動について学ぼう!
初期微動および主要動という概念は、地震学の基礎知識の1つです。地震学と聞くと難しそうな印象を抱いてしまうかもしれませんが、この概念は中学校の理科の授業で勉強する内容ですよ。みなさんの中にも、初期微動や主要動という言葉を聞いたことがあるという方がおられでしょう。もちろん、この記事はこれらの言葉をはじめて聞いた方でも簡単に理解できるような説明をしていますので、安心してくださいね。
記事の前半部分では、初期微動および主要動という言葉がそれぞれ持つ意味やそれらの正体について詳しく解説します。また、これらの言葉と関わりが深い『初期微動継続時間』という用語の意味も説明しますね。そのあとは、初期微動や主要動といった地震のメカニズムを利用した科学技術である緊急地震速報についても説明しますよ。それでは解説をはじめます。

まずは、初期微動および主要動がどのようなものであるかを学ぶぞ。
初期微動と主要動の違い
一般的な地震で観測される揺れは、上に示した図のようになることが知られていますよ。このようなグラフは地震計によって記録されています。横軸は時間の経過、縦軸は地面の変位を表していますよ。地面の変位というのは、地面が元あった位置からどの程度ずれたかを表しています。
このグラフを読み取ると、地震は高周波で小刻みな揺れから始まって、その後に低周波で大きな揺れに移行することがわかりますよね。そして、これらの揺れにはそれぞれ名前がつけられていますよ。最初の小さな揺れを初期微動、後の大きな揺れを主要動と呼びます。私たちが体で揺れを感じるのは主要動です。初期微動は人間には感じられませんが、猫などの動物は初期微動も感知することができるようですよ。
また、初期微動が継続する時間のことを初期微動継続時間といいますよ。初期微動継続時間は、観測地点が震源から遠いほど長くなることが知られています。この性質を利用して、震源の正確な位置や地震発生時刻が計算されているのです。

地震計が記録するグラフの形を覚えておけ。
初期微動の正体

image by iStockphoto
地震は、震源から観測点まで波として伝わってきます。初期微動の原因となる小刻みに揺れる波は、P波と呼ばれていますよ。P波の伝達速度は非常に速いことが知られています。ちなみにP波のPは『プライマリー』を意味していますよ。プライマリーは、『最初の』という意味をもっています。
また、P波は縦波です。縦波とは、進行方向と揺れ(変位)の方向が平行な波のことをさします。P波以外に、空気中や水中を音も縦波であることが知られていますよ。
こちらの記事もおすすめ

5分でわかる「地層」地層のでき方や化石年代について理系ライターがわかりやすく解説 – Study-Z ドラゴン桜と学ぶWebマガジン
\次のページで「主要動の正体」を解説!/