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5分でわかる「ハックスレーの滑走説」筋が収縮する仕組みを現役大学院生が解説!

よぉ、桜木建二だ。今回のテーマは「ハックスレーの滑走説」だ。この説は、1954年に2人のハックスレーにより提唱された、筋繊維のミオシンフィラメントがアクチンフィラメントを内側に引き寄せる(アクチンがミオシン側に滑り込む)ことで、筋の収縮が進行することを提唱した学説だ。筋の種類や構造、収縮のメカニズムについて生物に詳しい現役大学院生ライターCaoriと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。 物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。 学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/Caori

国立大学の博士課程に在籍している現役の理系大学院生。 とっても身近な現象である生命現象をわかりやすく解説する「楽しくわかりやすい生物の授業」が目標。

「ハックスレーの滑走説」とは

image by iStockphoto

私たち動物は、骨格筋(横紋筋)を機械的に収縮/弛緩させることで身体を動かしています。 筋の収縮には様々な学説が唱えられてきましたが、1954年にイギリスの生理学・生物物理学者であるアンドリュー・フィールディング・ハクスリーヒュー・ハクスリーがそれぞれに「筋の収縮はミオシンフィラメントの間に、アクチンフィラメントがすべり込むことによって起こる」ことを提唱しました。 この説は、提唱者2人の名前をとり、「ハックスレーの滑走説」と呼ばれます(Huxleyはハクスレー、ハックスレー、ハックスレイ、ハックスリ等とも表記されます)。 また、単に「滑り説」と呼ばれることも多いです。


この説は発表から30年以上の長きにわたり賛否両論を巻き起こしてきましたが、様々な実験によってこの説が支持され、現在ではこの説がもっとも広く受け入れられています。

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アンドリュー・フィールディング・ハクスリーは神経細胞の興奮についての基礎理論をうちたて、証明したことによって、1963年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した。

「ハックスレーの滑走説」を解説する前に、まずは基本となる筋の種類や構造、特徴について学んでいこう。

筋の種類と特徴

筋の種類と特徴

image by Study-Z編集部

筋肉は、身体のさまざまな器官を動かす働きをしていて、身体を動かす骨格筋、心臓を動かす心筋、内臓や血管を動かす平滑筋の3つに大別できます。


一般に筋肉というと骨格筋を指すことが多いです。 骨格筋は骨と骨をつないで身体を動かしたり、姿勢制御に貢献しています。 骨格筋は体性運動神経によって支配されており、自分の意志により動かすことができる随意筋です。 横紋筋はアクチンという細い筋線維と、ミオシンという太い筋線維が交互に規則正しく並んでいるため、外見上規則正しい縞模様(横紋)がみられるために横紋筋と呼ばれます。


心筋は骨格筋と同じく横紋筋ですが、自律神経に支配されている自分の意思で動かせない不随意筋です。 平滑筋も同様に自律神経に支配されている不随筋ですが、平滑筋は先端が先細りになった細長い細胞の集まりのため、骨格筋や心筋とは違い横紋は見られません。

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詳細は後述するが、今回のテーマである「ハックスレーの滑走説」では平滑筋の収縮を説明することはできない。このためここからは横紋筋について解説していくぞ。

骨格筋の微細構造

骨格筋は、長軸に沿って並ぶ筋細胞とその細胞間を埋めて束ねる結合組織からできています。 筋細胞の集まりが筋束を構成し、筋束の集まりが骨格筋です。筋細胞は多くの核を持っている多核細胞で、細長い繊維状をしているため筋繊維とも呼ばれます。 筋細胞の細胞質の大半は収縮性のある筋原線維がぎっしり詰っており、この筋原繊維が筋肉を構成する最小単位であり、この筋原繊維が収縮することで筋肉全体が収縮する仕組みです。 


筋原繊維を顕微鏡で観察すると明るく見える「明帯」と、暗く見える「暗帯」の部分があり、明帯の中央には「Z膜という仕切りがあります。Z膜の左右の明帯が「アクチンフィラメント」、暗帯の部分が太い「ミオシンフィラメント」です。Z膜から次のZ膜までをサルコメア(筋節)といい、筋収縮の単位となります。

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