

端的に言えば鬼の霍乱の意味は「体の丈夫な人が珍しく病気にかかること」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んだ。一緒に「鬼の霍乱」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/ヒマワリ
今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「鬼の霍乱」についてわかりやすく丁寧に説明していく。
「鬼の霍乱」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto
「鬼の霍乱」の読み方は「おにのかくらん」です。あまり聞き慣れない慣用句ですが、年配の方がしばしば使っていますね。「霍乱」と言う言葉も、馴染みが無い人が多いと思います。いったいどんな意味なのでしょうか。
また誤用の多い言葉でもありますから、この機会に自信を持って使えるようしっかりと覚えましょう。
それでは早速「鬼の霍乱」の意味や語源・使い方を見ていきます。
「鬼の霍乱」の意味は?
まず初めに「鬼の霍乱」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「鬼の霍乱」には、次のような意味があります。
1.ふだんきわめて健康な人が珍しく病気になることのたとえ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「鬼の霍乱」
2.病気しそうにも思われない、ふだん丈夫な人が珍しく病気をすること。
出典:新明解国語辞典(三省堂)「鬼の霍乱」
上記の通り「鬼の霍乱」は、ふだん丈夫な人が珍しく病気になった時に使われる慣用句です。
「珍しく病気にかかる」と言う意味が正しいのですが、この「珍しい」と言う意味が転じて、「珍しい行動をする」と言う間違った意味で使われている事がありますので注意しましょう。
また、「鬼の攪乱」と書き間違えることも多いです。「攪乱」(または撹乱とも書く)は「かき乱す」と言う意味ですね。そのほかにも「鬼の錯乱(さくらん)」と、間違えやすいようです。
このように、書き間違い、意味の間違いなど、誤用がとても多い慣用句ですから気をつけましょう。
「鬼の霍乱」の語源は?
次に「鬼の霍乱」の語源を確認しておきましょう。
「霍乱(かくらん)」という言葉は、日常では使うことがなく、知らない人も多いと思いますので説明します。
「霍乱」とは、手を振りまわしもがく、と言う意味の「きかくりょうらん(揮霍撩乱)」から由来した、漢方医学の専門用語です。東洋医学においては、暑気あたりなどを指します。現代で言うところの「日射病」の事ですね。また、夏にひきやすい胃腸風邪なども、「霍乱」に分類されます。
また、「鬼」は強い人を比喩している表現です。つまり「鬼の霍乱」は、「強いはずの鬼が、暑気あたりになる」ことを例えにしているのですね。このことから、「普段丈夫な人が珍しく病気になる」と言う意味の「鬼の霍乱」と言う慣用句が生まれたのです。
\次のページで「「鬼の霍乱」の使い方・例文」を解説!/