この記事では「即物的」について解説する。「即物的」は知名度が低い言葉です。文字通りの知名度もそこそこ程度ですが、知っていると思っている奴でも、結構誤解して覚えていることが多い。そのせいで、本来の意味がほとんど知られていない言葉と言えるな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「即物的」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「即物的」の意味は?

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「即物的」の意味は以下のとおりです。

1 主観を排して、実際の事物に即して考えたり、行ったりするさま。
2 物質的なことや金銭的なことを優先して考えるさま。

出典:goo辞書「即物的」

「即物的」は、総合して言うと「良くも悪くも目の前のことだけを考えている」という意味です。1の引用はどちらかと言うと良い意味となります。目の前の現実に集中し、思想的なものを排除して行動を起こすという、リアリストなあり方を表現しているわけです。

対して、2の引用はやや悪い意味に使用されることもあります。仁義や思いやり、思想や感情など、精神的なものを顧みない。ただ目の前にある金品なり物質なりが優先であり、目に見えない・使えないものは優先しないという態度も示します。どちらも現実主義ではありますが、ニュアンスはどちらかというと正反対です。

「即物的」ってなんて読むの?

「即物的」の読み方は「そくぶつてき」です。漢字そのものは簡単であり、小学生でも読むことは可能でしょう。ただし、知らなければ「もっと変わった読み方なのでは?」と不安になってしまう言葉でもあります。覚えるまでもない難易度の読み方ですが、「難しく考える必要はない」ということは、覚えておいて損はありません。

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「即物的」ってどう使う?

「即物的」は以下のように使用します。

1.彼の意見は、いつも「即物的」で会社の理念から外れている。
2.君は何かと言うとお金のことばかり。どうしてそう、「即物的」なんだい?
3.もう少し「即物的」に考えて仕事をしなければ、タスクは溜まっていく一方だ。

「即物的」は言葉の持つニュアンスの幅が広いです。そのため使える場面は多いとも言えますが、言い換えると使い方のパターンがいくつもあり、自由度が高くて慣れるのに時間がかかるとも言えます。

「即物的」はリアリストである、物質主義である、という意味を持っている言葉です。それが良い方向に働く時もあれば、悪い方向に働く時もあり、印象やニュアンスがいとも簡単に変化するのはそれが理由と言えます。そのため、使用する際は相手からどう取られるかを常に意識しなくてはなりません。

「即物的」って良いこと?悪いこと?

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前述しましたが、「即物的」という言葉そのものには、良い意味も悪い意味もありません。そのため、使用状況によって好印象にも悪印象にもなり得ます。では、具体的にどのような受け取られ方をするものなのでしょうか。それを以下のトピックで解説していきます。

ただし、本記事の解説はあくまで参考です。常に解説と同じ状況になると限ったわけではないことは、念頭に置くようにしましょう。

「即物的」って考えなしなの?

「即物的」はしばしば「考えなしの人」と言及する意味で使用されます。頭が悪いという意味ではなく、長いスパンで物事を考えられない人。目の前のことに飛びついてしまい、後々困ったことになるのがわからない人、というニュアンスになるのです。

もちろん、考えた結果目の前のものを優先すると結論づけた人もいるでしょう。そういう人は「即物的」とは言いません。しかし外から見ると、その人がどういった考えを経て目の前のことを取ると決めたのかはわからないため、しばしば「即物的」と言われてしまうケースもあるようです。

「即物的」は現実主義?

「即物的」はしばしば現実主義の人というニュアンスも持ちます。いわゆるリアリストのことです。本当に目の前のことしか見えていないというよりは、これから起こることよりも目の前で起こっていることを優先する人、というイメージで捉えてください。

これから起こることに対し、いたずらに不安がったりしない代わりに、希望を持ったり甘い見通しを立てたりということもなく、ただ目の前で起こっていることの解決だけを気にする。「即物的」は、少なめなケースではありますが、そういった意味も持ち合わせています。

\次のページで「「即物的」は悪いこととして取られやすい」を解説!/

「即物的」は悪いこととして取られやすい

総合して言うと、「即物的」は悪いこととして捉えられがちです。目の前のことを見るのが必要なときもありますが、あえて「即物的」という言葉を使用される場合は、目の前のこと「しか」見えておらず、思慮が浅い。人間的にどうなのかと思う、というニュアンスで使われるケースが多いです。

もちろんそういう意味は本来ありませんが、現実問題としてそういったイメージがやや強いため、使用する際は注意を払いましょう。

「即物的」の類義語は?

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「即物的」の類義語は、「現実的/本当のこと」などと、「享楽的/刹那的/一瞬の快楽/後先考えない」などがあります。それぞれ微妙にニュアンスが異なるため、置き換えの際はどういう意味で使われているのか注意が必要です。

「現実的/本当のこと」などは、「理想や思想に惑わされない/目の前で起きている現実に即して動く」という意味で「即物的」が使用される場合に使えます。こちらはどちらかというと、褒める意味で使われるケースが多いです。

対して「享楽的/刹那的/一瞬の快楽/後先考えない」は、目の前のことに飛びついてばかりで、それがどうなる結果を引き起こすかに考えが至っていないという意味で使われている場合に置き換えます。こちらは悪いニュアンスが強いため、注意して下さい。

「即物的」と「現金な人」とは違うの?

「現金な人」という言葉があります。これは自分の利益を優先し、周りのことはさておいて、自分にとって損か得かを最優先にものを考える人という意味です。思想性が薄く、ただ多く利益が出る方に簡単になびくというニュアンスがありますが、これは「即物的」とは似て非なる言葉となります。

「現金な人」は前述したように、より多く得を取れる方を優先して行動を決定。対して「即物的」な人は、単に得が多いことではなく現実性を加味しています。1年経ったら10万円もらえるが、今は1万円しかもらえないという場合、現金な人は10万円を期待し待つことを選びますが、「即物的な人」は貰えるかわからない10万円より、目の前の1万円を選ぶ。そういったイメージで捉えてください。

「即物的」になった方が良いことも

「即物的」は人に対して発言すると、やや悪い印象を抱かれがちな言葉と言えます。しかし、自分一人で行動する際はあえて「即物的」になることも大切です。

現代は多くの情報に溢れており、未来を予想しよう、先の先まで推測してトラブルを防ごうと考えすぎるあまり、今何をすべきなのか?という目の前のことがおろそかになりやすくなっています。未来のことを考えるのは大切ですが、一方で、どんなに予測しても予測しきれることなどありません。たまには未来のことを「考えてもわからないもの」と割り切って、行動を起こしてみましょう。

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人に使うと悪印象?「即物的」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

「即物的」は悪いこととして取られやすい

総合して言うと、「即物的」は悪いこととして捉えられがちです。目の前のことを見るのが必要なときもありますが、あえて「即物的」という言葉を使用される場合は、目の前のこと「しか」見えておらず、思慮が浅い。人間的にどうなのかと思う、というニュアンスで使われるケースが多いです。

もちろんそういう意味は本来ありませんが、現実問題としてそういったイメージがやや強いため、使用する際は注意を払いましょう。

「即物的」の類義語は?

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「即物的」の類義語は、「現実的/本当のこと」などと、「享楽的/刹那的/一瞬の快楽/後先考えない」などがあります。それぞれ微妙にニュアンスが異なるため、置き換えの際はどういう意味で使われているのか注意が必要です。

「現実的/本当のこと」などは、「理想や思想に惑わされない/目の前で起きている現実に即して動く」という意味で「即物的」が使用される場合に使えます。こちらはどちらかというと、褒める意味で使われるケースが多いです。

対して「享楽的/刹那的/一瞬の快楽/後先考えない」は、目の前のことに飛びついてばかりで、それがどうなる結果を引き起こすかに考えが至っていないという意味で使われている場合に置き換えます。こちらは悪いニュアンスが強いため、注意して下さい。

「即物的」と「現金な人」とは違うの?

「現金な人」という言葉があります。これは自分の利益を優先し、周りのことはさておいて、自分にとって損か得かを最優先にものを考える人という意味です。思想性が薄く、ただ多く利益が出る方に簡単になびくというニュアンスがありますが、これは「即物的」とは似て非なる言葉となります。

「現金な人」は前述したように、より多く得を取れる方を優先して行動を決定。対して「即物的」な人は、単に得が多いことではなく現実性を加味しています。1年経ったら10万円もらえるが、今は1万円しかもらえないという場合、現金な人は10万円を期待し待つことを選びますが、「即物的な人」は貰えるかわからない10万円より、目の前の1万円を選ぶ。そういったイメージで捉えてください。

「即物的」になった方が良いことも

「即物的」は人に対して発言すると、やや悪い印象を抱かれがちな言葉と言えます。しかし、自分一人で行動する際はあえて「即物的」になることも大切です。

現代は多くの情報に溢れており、未来を予想しよう、先の先まで推測してトラブルを防ごうと考えすぎるあまり、今何をすべきなのか?という目の前のことがおろそかになりやすくなっています。未来のことを考えるのは大切ですが、一方で、どんなに予測しても予測しきれることなどありません。たまには未来のことを「考えてもわからないもの」と割り切って、行動を起こしてみましょう。

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