「即物的」は悪いこととして取られやすい
総合して言うと、「即物的」は悪いこととして捉えられがちです。目の前のことを見るのが必要なときもありますが、あえて「即物的」という言葉を使用される場合は、目の前のこと「しか」見えておらず、思慮が浅い。人間的にどうなのかと思う、というニュアンスで使われるケースが多いです。
もちろんそういう意味は本来ありませんが、現実問題としてそういったイメージがやや強いため、使用する際は注意を払いましょう。
「即物的」の類義語は?
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「即物的」の類義語は、「現実的/本当のこと」などと、「享楽的/刹那的/一瞬の快楽/後先考えない」などがあります。それぞれ微妙にニュアンスが異なるため、置き換えの際はどういう意味で使われているのか注意が必要です。
「現実的/本当のこと」などは、「理想や思想に惑わされない/目の前で起きている現実に即して動く」という意味で「即物的」が使用される場合に使えます。こちらはどちらかというと、褒める意味で使われるケースが多いです。
対して「享楽的/刹那的/一瞬の快楽/後先考えない」は、目の前のことに飛びついてばかりで、それがどうなる結果を引き起こすかに考えが至っていないという意味で使われている場合に置き換えます。こちらは悪いニュアンスが強いため、注意して下さい。
「即物的」と「現金な人」とは違うの?
「現金な人」という言葉があります。これは自分の利益を優先し、周りのことはさておいて、自分にとって損か得かを最優先にものを考える人という意味です。思想性が薄く、ただ多く利益が出る方に簡単になびくというニュアンスがありますが、これは「即物的」とは似て非なる言葉となります。
「現金な人」は前述したように、より多く得を取れる方を優先して行動を決定。対して「即物的」な人は、単に得が多いことではなく現実性を加味しています。1年経ったら10万円もらえるが、今は1万円しかもらえないという場合、現金な人は10万円を期待し待つことを選びますが、「即物的な人」は貰えるかわからない10万円より、目の前の1万円を選ぶ。そういったイメージで捉えてください。
「即物的」になった方が良いことも
「即物的」は人に対して発言すると、やや悪い印象を抱かれがちな言葉と言えます。しかし、自分一人で行動する際はあえて「即物的」になることも大切です。
現代は多くの情報に溢れており、未来を予想しよう、先の先まで推測してトラブルを防ごうと考えすぎるあまり、今何をすべきなのか?という目の前のことがおろそかになりやすくなっています。未来のことを考えるのは大切ですが、一方で、どんなに予測しても予測しきれることなどありません。たまには未来のことを「考えてもわからないもの」と割り切って、行動を起こしてみましょう。