この記事では「受け売り」について解説する。「受け売り」は慣用句として、意味もシンプルで使いやすい。日常で使える場面は多い。ただその反面、捉えようによっては自分の見られ方に影響する言葉だから、多用できても多用しない方が良いという側面もあるな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「受け売り」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「受け売り」ってどういう意味?

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「受け売り」の意味は以下のとおりです。

1 製造元・問屋などから卸してきた品を転売すること。
2 ある人の意見や学説をそのまま他人に説くこと。

出典:Weblio辞書「受け売り」

そもそもの意味合いとしては引用1の転売のようなことであり、他人の商品を卸し(受け)て、それを他の人に再度売る(売り)という行為を示していました。それがだんだんと、実物の商品ではなく情報が対象になったのです。現在では「受け売り」というと、人から聞いた話を他の人にそのまま流すという意味になっています。

しかも、単に情報と言うだけではなく、意見や学説など、誰かに方針を説くような情報が多いです。また、場合によっては、さも自分が意見の発案者であるかのように振る舞うというニュアンスが混ぜられることもあります。

「受け売り」の読み方は?

「受け売り」の読み方は「うけうり」です。漢字そのものは特に難しくもなく、一般的であるため、予備知識なしでも読むことは難しくないでしょう。対して、「うけうり」という音だけ聞いて「受け売り」という表記を連想するのは難しいです。そういった意味では、知識は必要と言えます。

なお、まれに「受け」の部分の漢字が「請け」になっている場合もありますが、意味は変わりません。また、まれに「受け売り」の「け」の字が抜けて「受売り」と表記されていることもありますが、これも読み・意味共に変化はないため、安心してください。

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「受け売り」の使い方は?

「受け売り」は以下のように使用します。

1.これは友人からの「受け売り」だが、勝負は時の運とも言う。あまり落ち込みすぎるな。
2.彼は良いことを言ってるように聞こえるけど、あれってほとんどお兄さんの「受け売り」なのよ。
3.やっと「受け売り」分として置いてあった在庫がはけたよ。

1、2の例文はどちらも意見に対する「受け売り」の例です。人の意見を、自分を介してまた他の人に伝えているという意味になっています。意見に対して「この意見」「あれ」などと指示しておき、「受け売りだ/である」という風に繋げることが多いです。3は商品に対する「受け売り」の例ですが、現在の日本ではなかなかこの用法は使われていません。

「受け売り」の印象について

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「受け売り」は状況によって印象の変わる言葉です。ある人にとっては良い印象を抱くきっかけになり、ある人にとっては悪印象を引き起こすことになるでしょう。その違いはどこから生まれるのかということについて、以下で解説していきます。

重要なのは、どのような印象を与えるか踏まえた上で使うことです。場合によっては、悪印象と分かりつつ使わなければいけないときもあるでしょう。しかし、それを想定した上で使用できているのであれば、立派に「受け売り」を使いこなせていると言えます。

「受け売り」を使うと謙虚に見える?

「受け売り」は時に、謙遜目的で使われることがあります。誰かが意見を言い、それに対して賛辞が集まった時などに、「実はこれは○○さんの受け売りでして…」などと発言することで、「自分の功績ではありませんので」と暗に言い含めているわけです。

意見を出した際の態度にもよりますが、意見そのものよりも、状況に適した意見を出せているという印象が強ければ、これは謙遜と取られます。結果的に「遠慮深い人だ」という印象が強くなり、好印象となるわけです。

自分の意見が無い人と思われることも!

「受け売り」は他人の意見を別の人が言う行為を示します。つまり、その人自身から出てきた意見ではない、という捉え方ができるわけです。そのため、あまり多用していると「自分の意見を言わない人」と思われることがあります。そうでなくても、聞いていた人から「それで、あなたはどう思うんですか?」と聞き返される場合もあるでしょう。

「受け売り」そのものが悪いわけではありません。しかし、今は一体誰の意見が求められているのか?ということに注意して、自分の意見が必要なときは「受け売り」に頼らないようにしましょう。

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「鬱陶しい」と思われることもある?

「受け売り」は多用していると、「鬱陶しい」と思われてしまうこともあります。話を聞いている人たちは、目の前の話をしている人に集中して聞こうとしているわけです。それなのに話している側が「受け売り」ばかり話していると、「あの人は受け売りしか言わない」「何かと言うと受け売りばかりで鬱陶しい」と思われてしまいます。

人は良く知らない、目の前にもいない人の意見ばかり、大量に聞きたいなどと思ってはいません。今関わっているのは目の前の人なのだという意識を持つことが大切です。

「受け売り」の類義語は?

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「受け売り」の類義語は、「言伝/また聞き/伝聞/取次」などです。ただし、いずれも「人から聞いた話を別の人に伝える」という意味はあるものの、「自分の意見のように言う」というニュアンスは薄れています。

「言伝/取次」などは、はっきりと「○○さんがこう言ってました」と明かしているような、情報の仲介であることをオープンにした言葉です。重要なのは情報が正しい発信者から正しい受信者に伝わることであり、内容が正確であることが要求されます。

また、「また聞き/伝聞」などは、「ちらりと聞いた話を人に伝える」というニュアンスです。つまり、情報を発信した人から正式に聞いたわけではなく、耳に挟んだことを他の人に広める行為を指しています。

「受け売り」は良いのか悪いのか

本記事では解説において、「受け売り」を多用するとデメリットが大きいということを説明しました。しかし、では「受け売り」は悪いことなのかと言われると、それは違います。本当に悪いのは「受け売り」ではなく、「受け売り」に自分の意志が介在しないことなのです。

人は新しいことを学ぶとき、必ず最初は「受け売り」からスタートします。学校の授業、新しい仕事などは、必ず誰かから教えられて覚えていくもの。そして次第に理解が深まり、自分のものになった時から、「受け売り」の状態を卒業し自分の意見として発信できるようになるのです。

「受け売り」はしてもかまいません。しかしそこには、「この受け売りを発信することでどういう効果を期待しているのか」、ということを考えた末の結論がなくてはならないのです。

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多用すると人が離れていくことも?「受け売り」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

「鬱陶しい」と思われることもある?

「受け売り」は多用していると、「鬱陶しい」と思われてしまうこともあります。話を聞いている人たちは、目の前の話をしている人に集中して聞こうとしているわけです。それなのに話している側が「受け売り」ばかり話していると、「あの人は受け売りしか言わない」「何かと言うと受け売りばかりで鬱陶しい」と思われてしまいます。

人は良く知らない、目の前にもいない人の意見ばかり、大量に聞きたいなどと思ってはいません。今関わっているのは目の前の人なのだという意識を持つことが大切です。

「受け売り」の類義語は?

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「受け売り」の類義語は、「言伝/また聞き/伝聞/取次」などです。ただし、いずれも「人から聞いた話を別の人に伝える」という意味はあるものの、「自分の意見のように言う」というニュアンスは薄れています。

「言伝/取次」などは、はっきりと「○○さんがこう言ってました」と明かしているような、情報の仲介であることをオープンにした言葉です。重要なのは情報が正しい発信者から正しい受信者に伝わることであり、内容が正確であることが要求されます。

また、「また聞き/伝聞」などは、「ちらりと聞いた話を人に伝える」というニュアンスです。つまり、情報を発信した人から正式に聞いたわけではなく、耳に挟んだことを他の人に広める行為を指しています。

「受け売り」は良いのか悪いのか

本記事では解説において、「受け売り」を多用するとデメリットが大きいということを説明しました。しかし、では「受け売り」は悪いことなのかと言われると、それは違います。本当に悪いのは「受け売り」ではなく、「受け売り」に自分の意志が介在しないことなのです。

人は新しいことを学ぶとき、必ず最初は「受け売り」からスタートします。学校の授業、新しい仕事などは、必ず誰かから教えられて覚えていくもの。そして次第に理解が深まり、自分のものになった時から、「受け売り」の状態を卒業し自分の意見として発信できるようになるのです。

「受け売り」はしてもかまいません。しかしそこには、「この受け売りを発信することでどういう効果を期待しているのか」、ということを考えた末の結論がなくてはならないのです。

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