この記事では「しっくり」について解説する。

端的に言えばしっくりの意味は「ぴったり合う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「しっくり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「しっくり」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「しっくり」の意味や語源・使い方まとめ

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「しっくり」という言葉はご存じでしょうか?例えばお洒落なカフェやパーラーで駄菓子が出てきたら、何だかしっくりきませんよね?お仏壇にバラの花も悪くはないんだけど、なんだかしっくりこないなぁと感じませんか?今回はそんな「しっくり」という言葉について詳しく解説していきますよ。

それでは早速「しっくり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しっくり」の意味は?

「しっくり」には、次のような意味があります。

1.物と物、人の心と心が調和して安定しているさま。
2.ぴったり。
3.強く、鋭く刺激を与えるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「しっくり」

「しっくり」とは物と物、人の心と心が調和して安定するさまを言います。何だか違うなぁと感じていたけど、変えてみるとピタリとはまった、という場合にも「しっくりきた」と表現しますよ。よく使われるのが「しっくりくる」「しっくりときた」などですね。現在はほとんどの場合こちらの意味で使われますが、実はもう一つ全く違う意味を持っていますよ。「強く、鋭く刺激を与える」時や「ギュッと・チクリと」する時などにも用いられます。

「しっくり」の語源は?

次に「しっくり」の語源を確認しておきましょう。「しっくり」の語源は諸説あるようですが、有力と言われている2つの説を紹介しますね。

1つ目は裁縫で縫目が狂わないように、簡単に仮縫いをしておくことを意味する「仕付け」から由来しています。「仕付け」とは、着物を仮縫いの状態で体にピタッと合わせて「体に馴染ませる」ことから「しっくり」になったとされる説ですよ。余談ですがこの「仕付け」という言葉は、仮縫いの状態で縫い目をきちんと合わせることから、現在の「躾」という言葉の由来にもなっていますよ。

もう一つの説は、建築業において建材の各部をしっかりと噛み合わせて、ピタリとはめ込む様子を意味しています。しっかりと接合され繋がると万物は調和する、という意味を持っているそうですよ。

\次のページで「「しっくり」の使い方・例文」を解説!/

「しっくり」の使い方・例文

「しっくり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.新しいブラウスにはスカートがしっくりくる
2.和室の照明を行灯に変えるととてもしっくりときた
3.難しい言葉も先生の説明でしっくりとした

例文を3つ挙げてみました。軽微な違いですがそれぞれ違う動詞を組み合わせてみました。まず例文1はパンツよりもスカートの方が合うブラウスという事になりますね。パンツの気分でもしっくりくる上がなくてスカートに変更したりと、女性ならよくあるんじゃないかなと思います。例文2は標準仕様の照明でも悪くはないのですが、和室の隅に行灯が1つあるだけで、和の雰囲気が一気に深まりますよね。例文3は自分の経験談なのですが、言葉の意味などを調べる時、いつも自分の辞書を使っています。ですが難しい表現や長い説明で理解が出来ない事がよくありますよ。そんな時は、複数の辞書を見て一番しっくりくる説明を探しています。

このように「しっくり」という言葉は、接続する動詞が「~きた」「~となった」「~くる」などさまざまな組み合わせができるのが特徴になりますよ。

「しっくり」の類義語は?違いは?

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「しっくり」はさまざまなシーンで使えるので、類義語もたくさんありそうですね。

「ぴったり合う」

「しっくり」には「物の調和」と「人と人との調和」など意味の幅が広いので、すべてひっくるめて類義語となり得るのは「ぴったり合う」という言葉ですよ。文字通りぴったりと合うさまを表す言葉です。このパンケーキのトッピングには色とりどりのフルーツがぴったり合う、喫茶店にはコーヒーが合うなどと使えますよ。

\次のページで「「しっくり」の対義語は?」を解説!/

「しっくり」の対義語は?

ぴったり合うの意味「しっくり」の反対の言葉は何があるでしょうか?

「違和感」

「違和感」とは「いわかん」と読み、「しっくりしない感じ」または「ちぐはぐに思われること」の意。なにか違う、なにかしっくりこないという時に「違和感」という表現をしますよ。「しっくり」同様、感覚として感じる事なので使い方が難しい言葉かもしれませんね。例えば「クレープ専門店でカレーを食べて違和感を感じた」のように使います。

「違和感」と見て分かるように「感」が入っていますが、「違和感を感じる」という表現は間違いではありませんよ。ただ同じ音が続くと読む方も考えてしまうので、「違和感を覚える」や「違和感がある」などと表現するといいでしょう。

「しっくり」の英訳は?

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次に「しっくり」を英語で表現するとどうなるかを見ていきましょう。

その1「fit」

しっくりくる対象によってさまざまな英語表現があるので、ここでも類義語と同様に「ぴったり合う」という意味で「fit」を紹介しますね。日本でも「フィットする」などと使いカタカナ語になっているので、馴染み深い言葉ですね。

その2「not quite right」

もう一つの表現として「not quite right」を紹介します。「quite」は直訳すると「完全に」という意味なので、それに否定形を付けて「~とまではいかない」を「しっくりこない」と解釈しますよ。「しっくり」という言葉自体が、曖昧な感覚を表現しているので、「quite」「feel」に置き換える事もできますよ。

使い方のコツとしては、「しっくりくる」の時は「fit」を、そして「しっくりこない」と言いたい時は「not quite」で表すと通じますよ。例文を挙げるので参考にしてみてください。

「The skirt fits perfectly with this blouse.」(このブラウスにはスカートがぴったり合う。)

「 It doesn't feel right.」(なんだかしっくりとこないなぁ。)

It looks like something is not quite right to me.」(どうも私にはしっくりこないなぁ。)

\次のページで「「しっくり」を使いこなそう」を解説!/

「しっくり」を使いこなそう

この記事では「しっくり」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。「しっくり」とは「物と物や人の心と心が調和して安定すること」です。端的に言うと「ぴったり合う」という事ですね。もう一つ「強く、鋭く刺激を与える」という意味も持っています。

「しっくり」という感覚は、日常生活を送る上でとても重要な感覚ではないでしょうか。ミニマリストなどはいい例ですよね。自分にとって必要と思う最小限の物で豊かに暮らす、最高の贅沢だと思います。妥協や歩み寄りも必要な事ですが、「しっくり」という感覚を大切にして、心豊かに生活したいものですね。この記事が参考になれば幸いです。

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国語言葉の意味

「しっくり」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「しっくり」について解説する。

端的に言えばしっくりの意味は「ぴったり合う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「しっくり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「しっくり」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「しっくり」の意味や語源・使い方まとめ

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「しっくり」という言葉はご存じでしょうか?例えばお洒落なカフェやパーラーで駄菓子が出てきたら、何だかしっくりきませんよね?お仏壇にバラの花も悪くはないんだけど、なんだかしっくりこないなぁと感じませんか?今回はそんな「しっくり」という言葉について詳しく解説していきますよ。

それでは早速「しっくり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しっくり」の意味は?

「しっくり」には、次のような意味があります。

1.物と物、人の心と心が調和して安定しているさま。
2.ぴったり。
3.強く、鋭く刺激を与えるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「しっくり」

「しっくり」とは物と物、人の心と心が調和して安定するさまを言います。何だか違うなぁと感じていたけど、変えてみるとピタリとはまった、という場合にも「しっくりきた」と表現しますよ。よく使われるのが「しっくりくる」「しっくりときた」などですね。現在はほとんどの場合こちらの意味で使われますが、実はもう一つ全く違う意味を持っていますよ。「強く、鋭く刺激を与える」時や「ギュッと・チクリと」する時などにも用いられます。

「しっくり」の語源は?

次に「しっくり」の語源を確認しておきましょう。「しっくり」の語源は諸説あるようですが、有力と言われている2つの説を紹介しますね。

1つ目は裁縫で縫目が狂わないように、簡単に仮縫いをしておくことを意味する「仕付け」から由来しています。「仕付け」とは、着物を仮縫いの状態で体にピタッと合わせて「体に馴染ませる」ことから「しっくり」になったとされる説ですよ。余談ですがこの「仕付け」という言葉は、仮縫いの状態で縫い目をきちんと合わせることから、現在の「躾」という言葉の由来にもなっていますよ。

もう一つの説は、建築業において建材の各部をしっかりと噛み合わせて、ピタリとはめ込む様子を意味しています。しっかりと接合され繋がると万物は調和する、という意味を持っているそうですよ。

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