

「貪る」って、だらだらとなにかを続けているってことだよな。俺はこの言葉を聞くと、なんとなく食い散らかしているような場面をイメージする。あんまりきれいな言葉じゃない印象を持っているんだが、実際はどうなんだろうか?
今回は隙あらば惰眠を「貪る」ライターである、ぷーやんを呼んだ。お得意の「貪る」の意味と使われ方について、説明してもらおう。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ぷーやん
webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。抗う意志もなく煩悩を「貪る」日々を過ごしている。
辞書にみる「貪る」
辞書引きするには、読み方がわからないといけませんね。「貪る」は「むさぼる」と読みます。それでは「貪る」が辞書でどのように書かれているか、みてみましょう。
[動ラ五(四)]《「むさ」は「むさと」と同語源、「ぼる」は「欲 (ほ) る」の意》
1 飽きることなくほしがる。また、際限なくある行為を続ける。「暴利を―・る」「惰眠を―・る」
2 がつがつ食べる。「残飯を―・る野良犬」
[可能]むさぼれる
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「貪る」
「貪る」は「むさと」と「欲 (ほ) る」と書かれていますね。「むさと」は「むやみに」や、「やたらと」という意味の副詞ですので、これが「欲る」と合わさると、「際限なく欲しがる」となるわけですね。
一方で2つ目の意味に「がつがつ食べる」とありますので、「貪る」をたくさん食べることだと理解されている方も多いのではないでしょうか。しかしもともとの意味は「際限なく欲しがる」ということですので、ご注意ください。
例文で「貪る」の使い方を確認!
「貪る」がどういう言葉なのかを押えましたので、次は例文で使い方をみていきます。
1.寒くなってきた季節は布団が恋しく、ついつい惰眠を「貪って」しまいがちだ。
2.ダイエットのために無理な食事制限をしているせいで、ときおり「貪る」ように食べ過ぎてしまうことがある。
3.どんなピッチャーにも対応できる打法の考案に行きづまった彼は、「貪る」ように毎日遅くまで素振りをし続けている。
例文1と2は、欲望に負けて本能の赴くままに行動することを、「貪る」と表現していますね。このように「貪る」は欲望に忠実な様子を表す言葉ですので、あまりいいイメージを持たれないことが多いのかもしれません。
ちなみに例文2のように食事制限でダイエットをするならば、毎日食べたものと摂取カロリーを記録することをおすすめします。筆者はこの方法で、基礎代謝との差分カロリーから計算した通りに10kgのダイエットに成功しました。

「貪る」は『欲しがり続ける』っていう意味なのか。食欲だけじゃないし、散らかしているわけでもないんだな。この時点ですでに勉強になったぜ。さて言葉の意味については、類義語や対義語などを押さえて外堀を埋めておくと、安心して使いこなせるぞ。「貪る」に関連する言葉を調べて、ニュアンスの外堀を埋めていこうか。
がっつく:程度を超えてものを欲しがる
口語的なよく聞く表現ですね。「貪るように食べる」という意味もあります。
阿漕(あこぎ):欲張りでやり方がずうずうしい
弱気な人につけこむような売り方を指して、『阿漕な商売』と呼ばれているのを聞いたことがないでしょうか。この言葉の由来は三重県の『阿漕ヶ浦』です。禁漁区であった阿漕ヶ浦で密漁していた漁夫の伝説から様々な物語が派生し、室町時代に現在の意味が定着したとのこと。
業突く張り:欲張りで頑固
仏教用語の「業」と「蹲(つくばい)」が語源の言葉。「蹲」は「しゃがむ」や「ひれ伏す」という意味ですが、『ひれ伏したふりをして相手を陥れる』というニュアンスで用いられることもあるようです。
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