この記事では「まごつく」について解説する。

端的に言えばまごつくの意味は「迷ってうろうろする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「まごつく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「まごつく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「まごつく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「まごつく」の意味は?

「まごつく」には、次のような意味があります。

まご‐つ・く
[動カ五(四)]迷ってうろうろする。うろたえる。まごまごする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

まごつく」は簡単に言うと「迷ってうろうろする」という意味です。

少し具体的に説明すると、ここで言う「迷って」というのは「どうしていいのかわからない」というニュアンスになります。例えば不慣れなことをやっているときや、行ったことのない場所に初めて行ったときなど、何かわからないことに遭遇したら焦ってしまいますよね。そんな場面で当惑している様子を「まごつく」と表現することができます。

「まごつく」の語源は?

次に「まごつく」の語源を確認しておきましょう。

「まごつく」の元となった言葉に「まごまごする」という表現があります。「まごまごする」は「方法・方向・なすべきことなどがわからず当惑して適切な行動ができないでいるさま」を指す言葉です。

では「まごまご」は何を指すのでしょうか。こちらは諸説あります。馬を引いて荷物を運ぶ人を指す「馬子」からきている説や、「迷子」からきているという説などです。正しい語源は定かではありませんが、個人的には「迷子」という言葉をヒントに連想すると、意味が頭に入りやすいのではないかと思います。

\次のページで「「まごつく」の使い方・例文」を解説!/

「まごつく」の使い方・例文

「まごつく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.仕事で訪れた外国の空港で言語がわからず、まごついてしまった。
2.不慣れな中国語の翻訳にまごついてしまう。
3.初めてアクセスしたサイトの機能や勝手がわからなくてまごつく

例文のように、「初めてやること」「不慣れなこと」がスムーズにできずに手間取ってしまったり、迷って進行できなかったりといった場面で使うことができる表現です。先ほど語源のところで紹介した通り、「まごまごする」という表現に置き換えても問題ありません。

「まごつく」の類義語は?違いは?

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次に、「まごつく」に関連する類義語をいくつか紹介していきます。それぞれの言葉との意味や使い方の違いをチェックしてみましょう。

その1「あわてる」

漢字では「慌てる」「周章てる」などと表現します。「何をしてよいかわからず、うろたえさわぐ」「ひどく急ぐ」といった意味で、日常生活でもよく使う表現ではないでしょうか。「動揺してどうしていいかわからなくなる」という点で「まごつく」と共通した意味を持っています。

微妙なニュアンスの違いとしては、「あわてる」には「早くなんとかしたい」という切迫感があるのに対し、「まごつく」はそうした懸命さは薄いという点です。「まごつく」はどちらかと言えば、そうした切迫感よりも、とにかく「不慣れなせいで」動揺しているというニュアンスの方が強いと言われています。

ちなみに「周章てる」という漢字を使った「周章狼狽(しゅうしょうろうばい)」という四字熟語もありますので、こちらも知っておくとよいでしょう。

\次のページで「その2「うろたえる」」を解説!/

その2「うろたえる」

「うろたえる」は漢字で表記すると「狼狽える」となり、「狼狽」の漢字だけで「ろうばい」と読む熟語にもなる言葉です。意味はどれも「不意の出来事に驚いてあわてる」を指します。こちらも「動揺してどうすればいいかわからない状態」という意味では「まごつく」とも意味が一致する表現です。

「うろたえる」の特徴は「不意の出来事」「予想していなかった事態」に対して驚き、動揺している状態を指している点にあります。それに対し「まごつく」は、その1でも紹介したとおり「不慣れなこと」「初めてやったこと」に動揺しているというニュアンスですので、そこに違いが存在しているのです。

その3「面食らう」

3つ目は「面食らう(めんくらう)」という言葉です。「不意のことでとまどう」という意味を持っていて、「まごつく」と類似した意味を持つ表現になっています。

「不意のことで」とあるように「面食らう」はどちらかというと「うろたえる」に近い表現です。「予想外のことに驚いて」「不意を突かれて」どうしていいかわからなくなる状態を指しますので、「不慣れで」という前提を持つ「まごつく」とのニュアンスの違いはそこに存在しています。

ちなみに「面食らう」はくだけた話し言葉として用いられることが一般的ですので、使いどころには注意しておきましょう。

「まごつく」の対義語は?

「不慣れなことに迷ってうろうろする」という意味の「まごつく」ですが、どんな対義語が挙げられるでしょうか。

まごつくの対義語は「落ち着く」

対義語の定義が難しい表現ですが、強いていうなら「落ち着く」といった表現が挙げられるのではないでしょうか。「不慣れなことに動揺している状態」の逆の状況を考えてみると、「落ち着いて行動できている状態」になるかと思います。

「まごつく」の英訳は?

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最後に「まごつく」の英語表現について見ていきましょう。

まごつくは英語で「confused」

「まごついている」「困惑している」という状況を指す「confused」という表現があります。これは「confuse」という動詞の形容詞系で、そのまま動詞として使った場合には「人をまごつかせる」「人を困惑させる」といった意味になる単語です。be動詞や「get」といった単語と一緒に用いたり、「confuse」を受動態形にして「be confused by 〜(〜によってまごつく)」と表現したり、「confusion」という名詞形で使用したりと、前後関係や文章によって柔軟に使い分けることができます。

その他にも、成句では「at a loss」で「どうしていいかわからない」と表現することも可能で、こちらも「まごつく」と訳すことができるでしょう。

以下に例文を用意しておりますので、ぜひチェックしてみてください。

\次のページで「「まごつく」を使いこなそう」を解説!/

I was confused by her expression, so I didn’t say anything.
彼女の表情にまごついてしまい、何も言わなかった。

Don’t give me so much information, you’re confusing me.
そんなにいろいろ言わないでくれ、まごついてしまうじゃないか。

Unable to find the exit, I was at a loss.
出口がわからず、まごついてしまった。

「まごつく」を使いこなそう

この記事では「まごつく」の意味・使い方・類語などを説明しました。

意味を勘違いしていた、なんとなくのイメージしか持っていなかったという方も多いかもしれません。記事の内容を読んで「不慣れなことに」をキーワードとして、正しい意味をしっかりと頭に入れておいてもらえると嬉しいです。また、語源のところで紹介した「まごまごする」とう表現についてもセットで覚えておくようにしてくださいね。

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国語言葉の意味

「まごつく」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員がわかりやすく解説!

この記事では「まごつく」について解説する。

端的に言えばまごつくの意味は「迷ってうろうろする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「まごつく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「まごつく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「まごつく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「まごつく」の意味は?

「まごつく」には、次のような意味があります。

まご‐つ・く
[動カ五(四)]迷ってうろうろする。うろたえる。まごまごする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

まごつく」は簡単に言うと「迷ってうろうろする」という意味です。

少し具体的に説明すると、ここで言う「迷って」というのは「どうしていいのかわからない」というニュアンスになります。例えば不慣れなことをやっているときや、行ったことのない場所に初めて行ったときなど、何かわからないことに遭遇したら焦ってしまいますよね。そんな場面で当惑している様子を「まごつく」と表現することができます。

「まごつく」の語源は?

次に「まごつく」の語源を確認しておきましょう。

「まごつく」の元となった言葉に「まごまごする」という表現があります。「まごまごする」は「方法・方向・なすべきことなどがわからず当惑して適切な行動ができないでいるさま」を指す言葉です。

では「まごまご」は何を指すのでしょうか。こちらは諸説あります。馬を引いて荷物を運ぶ人を指す「馬子」からきている説や、「迷子」からきているという説などです。正しい語源は定かではありませんが、個人的には「迷子」という言葉をヒントに連想すると、意味が頭に入りやすいのではないかと思います。

\次のページで「「まごつく」の使い方・例文」を解説!/

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