この記事では「鼻持ちならない」について解説する。

端的に言えば鼻持ちならないの意味は「言動が我慢できない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「鼻持ちならない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。「鼻持ちならないと感じる人とも平気な顔で仕事をするのが大人というもの」という彼女が慣用句「鼻持ちならない」について解説する。

「鼻持ちならない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鼻持ちならない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鼻持ちならない」の意味は?

「鼻持ちならない」には、次のような意味があります。

1.言語や行動ががまんできないほど不愉快である

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鼻持ちならない」

「あの奥さん…鼻持ちならないわぁ」

「本当に鼻持ちならないヤツだよ」

「鼻持ちならない」はこのような使い方をします。「鼻持ちならない」は「言語や行動ががまんできないほど不愉快である」という意味なので対象となる人の言動や人となりがどうしても好きになれない場合に用いる言葉ですね。

では、人に「鼻持ちならない」と思われるのはどんな人が多いのでしょう

先ず「自分本位の人」。人は誰でも自分が大事。それは当然のことなのですが、周りの人のことを考えず、常に「自分さえ良ければ良い」と考えてしまう人は好かれるはずがありません。次に「状況によってに言動を使い分ける人」も「鼻持ちならない」と思われますね。男性がいると急によく気がつく女になったり、損得勘定で行動したり、状況によって態度や言葉遣いが変わったりする人が周りにいたら「何?この人!」と、思って不愉快になってしまいます。また容姿や学歴、経済面等…自分の優れていることを強調し、「相手を見下すような性格の人」周囲を不快にさせますね。

「鼻持ちならない」の語源は?

次に「鼻持ちならない」の語源を確認しておきましょう。

「鼻持ちならない」の「鼻もち」とは「臭いニオイを我慢すること」。「この芳香剤は長持ちする」というように、長期間もちこたえることができることを「長持ち」といいますよね。同じように「鼻もち」は「臭いニオイに対して、もちこたえることができる(我慢できる)」という意味です。

その「鼻もち」に「ならない」という否定の言葉が続いているので「鼻持ちならない」は「臭いニオイを我慢できない」という意味になります。ニオイは目に見えるもののように視覚で捉えることができないものですね。「鼻持ちならない」は「言動が我慢できない」という意味ですが、言動の他にもその人が醸し出す「目には見えない雰囲気が我慢できない」という意味も表しています。

\次のページで「「鼻持ちならない」の使い方・例文」を解説!/

「鼻持ちならない」の使い方・例文

「鼻持ちならない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.クラスの男子に「可愛い」と人気のA子は甘えたしゃべり方をするので、女子には陰で「鼻持ちならない」と言われている。

2.政権を担うということは「日本の未来を担う」ということだ。国民から「鼻持ちならない」と言われるようなことがあっても、やるべき政策は実行しなければならない。

3.その老人はかなり遠い親戚に首相経験者がいるということを自慢しているが、本人には品性の欠片もない。あれでは周囲から「鼻持ちならない」と言われても仕方がない。

古い話ですが「ぶりっ子」という言葉が1980年代に流行りました。「可愛い子ぶる」という言葉から生まれたこの言葉は女子の間ではあまり良い意味で用いられていませんでした。「男子の前ではぶりっ子しちゃって…」陰で揶揄されることが多かったのです。ぶりっ子するような女子は同性から「鼻持ちならない子」と言われることが多かったのですね。

耳ざわりのよいことを言うだけなら簡単です。しかし国のことを考えると国民の喜ぶことばかりを言い続けることはできません。どれだけ「鼻持ちならない」と言われて嫌われてもやるべきことはしっかりと行うのが為政者の使命です。

品性というものはその人の人間性を表します。自慢というものは度を過ぎると聞く周りの人を不快にしますよね。品性のある人は聞く人を不快にするような自慢話をしません。品性は「さあ、身に付けよう」と思って簡単に身に付くものではなく、その人の生き方によって自然と身に付くものです。

「鼻持ちならない」の類義語は?違いは?

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それでは「鼻持ちならない」の類義語をみていきましょう。

「鼻をつまむ」

鼻をつまむのはどんな時でしょう。

嫌な臭いを嗅ぎたくない時ですね。「鼻つまみ者」という言葉がありますが、これは「嫌な臭いのように近寄りたくなく、遠ざけたい人」のことです。

「鼻持ちならない人」は「言動が不愉快である人」という意味ですが「鼻つまみ者」は「嫌われて当然な人」という意味。「鼻をつまむ」は「鼻持ちならない」より強い表現であると言えます。

\次のページで「「鼻持ちならない」の対義語は?」を解説!/

「鼻持ちならない」の対義語は?

続いて対義語です。

「尊敬」

「あの人のことは尊敬している」…誰かを尊敬する時、その誰かのことをどう思っていますか。

先ずその相手に対して良いイメージをもっていなければ尊敬はできませんね。嫌いな人を尊敬したいと思う人はいません。そしてその人はきっと素晴らしい人であるはずです。

尊敬とはその人の言動や人格の素晴らしさを尊く思いその状態に近付きたいと思うこと。「鼻持ちならない」とは反対の意味合いをもった言葉です。鼻持ちならない人を尊敬する気持ちにはなることはありませんね。

「鼻持ちならない」の英訳は?

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では「鼻持ちならない」を英語で表現してみましょう。

英文1.  As he always shows off expensive clocks, he is an odious person.

彼はいつも高価な時計を見せびらかしているので、鼻持ちならない人だ。

英文2.  He is the stinking  man who always boasts that his son works for a leading company.

彼は息子が一流企業で働いていることをいつも自慢する鼻持ちならない男だ。

英文1は直訳すると「彼はいつも高価な時計を見せびらかしているので、いやらしい人です」。「odious」が「いやらしい」という意味。「彼は高価な時計を見せびらかすことで自分の裕福さを自慢する鼻持ちならない人」ということを表している英文ですね。

英文2の 「boasts」は「鼻にかける」という意味で、原型は「boas」。the stinking  man」は「不愉快な男」という意味で「鼻持ちならない男」と訳すことができます。直訳すると「彼は息子が一流企業で働いていることをいつも自慢する不愉快な男だ」となりますね。

\次のページで「「鼻持ちならない」を使いこなそう」を解説!/

「鼻持ちならない」を使いこなそう

この記事では「鼻持ちならない」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「鼻持ちならない」には「言語や行動ががまんできないほど不愉快である」という意味があり、類義語には「鼻にかける」、対義語には「尊敬」、英語では「odious」「stinking」という単語が日本語の「鼻持ちならない」という慣用句に当たること等がわかりましたね。

「鼻」という単語を用いたことわざや慣用句は沢山あります。調べてみましょう。そしてそれらの意味や使い方がわかったら、日常会話の中で使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「鼻持ちならない」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「鼻持ちならない」について解説する。

端的に言えば鼻持ちならないの意味は「言動が我慢できない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「鼻持ちならない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。「鼻持ちならないと感じる人とも平気な顔で仕事をするのが大人というもの」という彼女が慣用句「鼻持ちならない」について解説する。

「鼻持ちならない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鼻持ちならない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鼻持ちならない」の意味は?

「鼻持ちならない」には、次のような意味があります。

1.言語や行動ががまんできないほど不愉快である

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鼻持ちならない」

「あの奥さん…鼻持ちならないわぁ」

「本当に鼻持ちならないヤツだよ」

「鼻持ちならない」はこのような使い方をします。「鼻持ちならない」は「言語や行動ががまんできないほど不愉快である」という意味なので対象となる人の言動や人となりがどうしても好きになれない場合に用いる言葉ですね。

では、人に「鼻持ちならない」と思われるのはどんな人が多いのでしょう

先ず「自分本位の人」。人は誰でも自分が大事。それは当然のことなのですが、周りの人のことを考えず、常に「自分さえ良ければ良い」と考えてしまう人は好かれるはずがありません。次に「状況によってに言動を使い分ける人」も「鼻持ちならない」と思われますね。男性がいると急によく気がつく女になったり、損得勘定で行動したり、状況によって態度や言葉遣いが変わったりする人が周りにいたら「何?この人!」と、思って不愉快になってしまいます。また容姿や学歴、経済面等…自分の優れていることを強調し、「相手を見下すような性格の人」周囲を不快にさせますね。

「鼻持ちならない」の語源は?

次に「鼻持ちならない」の語源を確認しておきましょう。

「鼻持ちならない」の「鼻もち」とは「臭いニオイを我慢すること」。「この芳香剤は長持ちする」というように、長期間もちこたえることができることを「長持ち」といいますよね。同じように「鼻もち」は「臭いニオイに対して、もちこたえることができる(我慢できる)」という意味です。

その「鼻もち」に「ならない」という否定の言葉が続いているので「鼻持ちならない」は「臭いニオイを我慢できない」という意味になります。ニオイは目に見えるもののように視覚で捉えることができないものですね。「鼻持ちならない」は「言動が我慢できない」という意味ですが、言動の他にもその人が醸し出す「目には見えない雰囲気が我慢できない」という意味も表しています。

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