この記事では、「虐げる」について解説する。
「虐げる」はひどい扱いをするってことですね。この理解は一般的なセンスだと思っているが、しかし国家間や宗教間の対立で世界的にしばしばみられる行いのようだし、日常のなかですら、子供と大人の間などでたびたび問題になっている。加害者側は教育やしつけだと、確信犯的にやっているケースも多いでしょう。「虐げる」による悲しい結果を避けるために、第一歩として言葉の意味や定義をしっかり押さえておくことが必要です。
今回は『よく考えたら自分も親に虐げられてたかも』って呟いてたライターのぷーやんを呼んです。「虐げる」の意味と使われ方について、説明してもらおうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。親から子へ「虐げる」行為が遺伝的に伝染していく現象に、強い関心を寄せている。

「虐げる」の意味って?

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「虐げる」の意味を調べていく前に、読み方を確認しておきましょう。「虐げる」は「しいたげる」と読みます。

「虐げる」を辞書でみてみよう!

まず国語辞典での辞書引き結果をみてみます。

[動ガ下一][文]しひた・ぐ[ガ下二]《「しえたげる」の音変化》むごい扱いをして苦しめる。虐待する。いじめる。「異教徒を―・げる」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「虐げる」

「虐」は、虎が爪で獲物を押さえつけていることを表わしている漢字。これが転じて、辞書にあるようにひどいことをして相手を苦しめる、という意味が成り立っています。しばしばテレビで「虐待」のニュースをみかけますね。「虐待」は「虐げる」ことを日常的に繰り返すことを意味しています。

例文で「虐げる」の使い方を確認!

辞書で言葉の意味を確かめたあとは、例文で使い方をみていきましょう。

1.圧政によって長年「虐げられ」てきた市民が、団結して王政を打破した。
2.自己肯定感が低いと、相手を「虐げる」ことで自分を保とうとしがちだ。
3.「虐げられ」て育った人は、自分の子供を同じように「虐げ」ようとしてしまう傾向があるらしい。

例文1はフランスの市民革命など、世界史上で幾度も起こったものです。例文2はみるからに悪業ですが、やっている本人には自覚がないもの。例文3は学校などに強い縦社会がある場合にも、よくみられる光景ですね。例文2や3のように自分がなってしまっていないか、気をつけたいものです。

\次のページで「「虐げる」の類義語3選!」を解説!/

「虐げる」の類義語3選!

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それでは「虐げる」の類義語をご紹介します。

苛(さいな)む:苦しめる

「責任追及のために叱る」や「苦しめる・いじめる」という意味合いの言葉です。『罪の意識に苛まれる』というようなセリフは、どこかで聞いたことのある方も多いでしょう。

いびる:いじめて苦しめる

特に下の立場の人に対して使われますね。そのほか、「無理を言って困らせる」ニュアンスもあるようです。

酷遇(こくぐう)する:むごい扱いをする

聞きなれない言葉かもしれませんが、字面からなにを意味するか読み取ることは容易な表現ですね。漢字を分解すると、『酷い待遇をする』となります。

「虐げる」の対義語はなにがある?

似た意味の言葉を確認したら、次は反対の意味の言葉も知っておきましょう。ここでは「虐げる」の対義語を3つご紹介します。

かわいがる:目をかける

かわいらしいと感じて優しく扱うことですが、「ひいきする」というようなニュアンスを含むことも。一時期力士の「かわいがり」が問題になりましたが、反語的に「しごく」ことを表現するのに使われることもあるようです。

\次のページで「慈しむ:愛情を注いで大事にする」を解説!/

慈しむ:愛情を注いで大事にする

仏教で出てきそうな言葉ですね。『見返りを求めない愛情』『無償の愛情』を含蓄する表現です。

優遇する:手厚く待遇する

よく取り計らうことを意味する「融通(ゆうづう)を利かせる」とは語感も意味もにていますので、ないまぜにならないようにご注意ください。

「虐げる」は英語ではなんという?

「虐げる」の類義語や対義語を示してきました。グローバル化が進んでいる昨今においては、これらに加えて英語訳も知っておきたいところです。「虐げる」は英語でどんなふうに表現されるのでしょうか。

oppress:虐げる・重圧感を与える

「虐げる」のほか「重圧感を与える」と訳されます。「press(プレッシャーをかける)」に反対方向を意味する接頭辞「op」がくっついている形で、「プレッシャーをかけられる」という意味合いに。

grind down:虐げる・苦しめる

「細かくすりつぶす」という意味ですが、人に当てはめて「虐げる」「苦しめる」とも使われます。

tread:虐げる

「踏みつける」から転じて、「虐げる」というニュアンスでも用いられることのある単語です。

「虐げる」は連鎖する?

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両親や保育士などによる虐待のニュースが後を絶ちません。これらの痛ましい事件でも、多くのケースで加害者は最初から子供のことを嫌いだったわけではないようです。なぜ「虐げる」関係は連鎖してしまうのでしょうか。

\次のページで「キーワードは「愛着」」を解説!/

キーワードは「愛着」

虐待という行為に及んでしまう心理的な課題を考えるとき、愛着という概念について知ることが助けになるでしょう。1960年代に理論が提唱された愛着は、人の社会性に多大な影響を与えます。

小さいころに特定の人(養育者)から愛情を受けられずに虐待をされると、この愛着が上手に形成されません。その結果として、対人関係に課題(怒りっぽい・支配的・消極的など)を持つ、生き辛い子供に成長してしまいます。この養育者との対人関係の性質は、3割ほどが大人になっても受け継がれるというデータもあるようです。

「虐げる」関係の連鎖は親子に限らない!

幼少期の愛着形成が、子供の虐待と関連する可能性があることを示しました。一方で、「虐げる」「虐げられる」という構図が受け継がれるのは、親子関係のみに限りません

学校の先輩後輩の関係がわかりやすいでしょう。厳しい(あるいは理不尽な)先輩からの指導が伝統化されている学校では、かつて後輩だった生徒たちが先輩になったとき、同じように後輩に厳しい態度で接することが多いですね。筆者の大学の同期も、高校時代がそうであったと聞きました。

自分が後輩だったときはそんな先輩からの仕打ちが嫌だったはずなのに、『自分もそうされてきたから』と同じことをしていたようです。閉鎖的な環境だと、こうしたことが起こりやすいのでしょう。

「虐げる」関係をみかけたら…

もしも「虐げる」「虐げられる」という関係性を周囲の人が持っていたら、『それはよくない』と言える勇気を持ちたいものです。特に親子関係のような閉鎖的な関係では、周囲からの手助けや忠告がないと、なかなか変わるきっかけをつかめないでしょう。

指摘されると反射的に怒り出したり、そっぽを向かれたりすることもあるかもしれません。しかしそんなネガティブな感情も否定せずに大らかに受け入れてくれる存在が、愛着の不安定な方には一番必要なのだと思います。

「虐げられた」ことがあっても自分はしないために

この記事では「虐げる」について類義語・対義語・英語訳を交えて包括的に解説するとともに、「虐げる」という関係性の連鎖について考察しています。

だれにでも嫌いなタイプの人はいるでしょう。またたとえ子供相手でも、イライラを抑えきれなくなるシーンはあるのではないでしょうか。そういったときに、相手を自分の思い通りにする、あるいは変えてやろうとか、力づくでねじ伏せるといった「虐げる」行為に及ぶことは、相手も自分も不幸にします。留意したいことは、『腹が立つ』という感情が沸くこと自体には、なんら問題はないということ。むしろ自分のネガティブな感情をきちんと認識することが、「虐げる」関係性の連鎖を止める第一歩となります。

この記事が「虐げる」という言葉の理解を深め、いじめや虐待をみかけたときのアプローチの仕方の参考になれば幸いです。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
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国語言葉の意味

「虐げる」は国家や宗教もする行為?類語・対義語・例文・英語とともに言葉の意味をwebライターが解説!

この記事では、「虐げる」について解説する。
「虐げる」はひどい扱いをするってことですね。この理解は一般的なセンスだと思っているが、しかし国家間や宗教間の対立で世界的にしばしばみられる行いのようだし、日常のなかですら、子供と大人の間などでたびたび問題になっている。加害者側は教育やしつけだと、確信犯的にやっているケースも多いでしょう。「虐げる」による悲しい結果を避けるために、第一歩として言葉の意味や定義をしっかり押さえておくことが必要です。
今回は『よく考えたら自分も親に虐げられてたかも』って呟いてたライターのぷーやんを呼んです。「虐げる」の意味と使われ方について、説明してもらおうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。親から子へ「虐げる」行為が遺伝的に伝染していく現象に、強い関心を寄せている。

「虐げる」の意味って?

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「虐げる」の意味を調べていく前に、読み方を確認しておきましょう。「虐げる」は「しいたげる」と読みます。

「虐げる」を辞書でみてみよう!

まず国語辞典での辞書引き結果をみてみます。

[動ガ下一][文]しひた・ぐ[ガ下二]《「しえたげる」の音変化》むごい扱いをして苦しめる。虐待する。いじめる。「異教徒を―・げる」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「虐げる」

「虐」は、虎が爪で獲物を押さえつけていることを表わしている漢字。これが転じて、辞書にあるようにひどいことをして相手を苦しめる、という意味が成り立っています。しばしばテレビで「虐待」のニュースをみかけますね。「虐待」は「虐げる」ことを日常的に繰り返すことを意味しています。

例文で「虐げる」の使い方を確認!

辞書で言葉の意味を確かめたあとは、例文で使い方をみていきましょう。

1.圧政によって長年「虐げられ」てきた市民が、団結して王政を打破した。
2.自己肯定感が低いと、相手を「虐げる」ことで自分を保とうとしがちだ。
3.「虐げられ」て育った人は、自分の子供を同じように「虐げ」ようとしてしまう傾向があるらしい。

例文1はフランスの市民革命など、世界史上で幾度も起こったものです。例文2はみるからに悪業ですが、やっている本人には自覚がないもの。例文3は学校などに強い縦社会がある場合にも、よくみられる光景ですね。例文2や3のように自分がなってしまっていないか、気をつけたいものです。

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