人を「尊ぶ」とはどういうこと?
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だれでも学校などで一度は、『人のことを尊びなさい(尊重しなさい)』と言われたことがあるのではないでしょうか。多くの方が受け入れられる言葉かと思いますが、筆者のように『嫌いなやつを重んじられない』という方も、決して少なくないでしょう。おそらく少数派であろうそんな方のために、「尊ぶ」ことの本質を考えてみたいと思います。
「尊ぶ」ことができないと敵だらけになる?
『嫌いな人を「尊ぶ」ことができない』という方は、二極化した考え方をされていませんでしょうか。認知療法で『白黒思想』とも呼ばれるこの考え方のもとでは、『正しいか間違っていないか』が判断基準になっていることでしょう。
しかし『正しさ』とは多くの場合、個人の哲学によるもの。自分の正しさにそぐわない他人を否定することは、 『他人も自分を否定しているのでは』という疑念を、無意識だとしても引き起こします。
これをこじらせると自分の行動のほとんどが否定される可能性にさらされ、身を護るために攻撃的になり、毎日が怒りと哀しみに満たされてしまうことになりかねません。本当は違うのに、周囲の人を敵だと認識してしまうということですね。これでは自分らしく振る舞うことも難しくなってしまいます。
「尊ぶ」ことのメリットとは?
一方で他人を「尊ぶ」ことができると、他人も自分を否定しないという想いにつながり、余計な闘争心がなくなって精神的に穏やかになれるのではないでしょうか。人に対して寛容になることは、自分が自分らしく生きられるようになるということ。こうしてお互いがお互いを人として大切にできるようになれば、助け合いが自然にできるようにもなるでしょう。
正当化ではなく「尊ぶ」
「尊ぶ」にあたって、一つ注意したいことがあります。それは「尊ぶ」ことは正当化することではない、ということ。極端な例ですが、ハラスメントをする人の言動を容認することは、その人を「尊ぶ」ということではありません。間違っていると思うことは、はっきりと『間違っている』と伝えてもOK。なぜならば、『間違っている』と思うあなた自身も「尊ばれる」べきだからです。
他人も自分も「尊ぶ」ことが大切
この記事では「尊ぶ」の意味について、様々な関連語とともに解説しました。また「尊ぶ」ということの、見逃されがちな意義や理由についても考察しています。
「尊ぶ」ことを自然にできている方にとっては、疑問に思う人がいることがむしろ疑問になるのではないでしょうか。とはいえ、『なぜ尊重しなければいけないのか?』と直接問われたとき、明確に答えることの難しい問題でもあると思います。大げさですが、人類の命題かもしれませんね。
この記事が「尊ぶ」という言葉の意味を確認し、『なぜ「尊ぶ」のか?』ということを考えてみるきっかけになれば幸いです。